磁石人

不意に弱点を攻撃されると

理由がよく分からなくても

全てに力が入らなくなってしまう


例えばなんの前触れもなく

いきなり脇腹をくすぐられたら

笑ってしまうし涙が出てしまったりする

もちろんそこに笑う理由も泣く理由もない

よくよく考えれば全然面白くもないし

ましてや悲しくもない


私はこしょばい感覚と笑いが

昔からいまいち結びつかない

なんとなく笑うことにしているけど

この感覚にこのリアクションで合ってる?

と思いながらその場をやり過ごすためだけに

とりあえず笑ってるのかもしれない


誰かに自分の足元をすくわれた時

悔しさや悲しさや怒り苛立ち

感情の前に涙が溢れてしまうときがある

何気ない一言が

心に刺さって抜けないときがある

なんで泣いているのかも分からないのに

涙が溢れて止まらなくて

とにかく辛いはずなのに

もう一人の私が大げさだなあ、と

俯瞰して見ていたりもする


磁石のように自分に似過ぎている人には

拒絶反応を示してしまうのかもしれない

もう一人の自分を鏡とした時に目に入る

自分自身の目を瞑りたくなるところに

思いっきり顔を背けてしまうのかもしれない


相手を変えることは難しいというが

だからと言って

相手のために自分を変えてばかりいると

アイデンティティーふらふらの

気遣いと装った臆病の塊人間が出来上がる


人間にはいろんな側面があると思う

人間には誰しも

S極だってN極だってある

接する切り口を変えるだけで

超拒絶し合う関係にもなり得るし

超惹き合ってしまうかもしれない


とても磁力の強い人、

私の周りにはそんな人がいるのだけれど

大人になってある程度の距離を保って

人との距離を測りながら

上手いこと過ごしている日々の中で

こんなにも感情をかき乱されて

こんなにも感情をあらわにして

付き合っていける人がいること

とても素敵なことだなと最近思う


拒絶しまくっている最中は

本当に最悪な気持ちなんだけど

こんな年になってまで

本気で喧嘩できる人、

なかなかいないやん?

いろんな感情にしてくれるし

いろんな発見をくれる

改めてアイデンティティーとは

他者との比較で成り立つものだなあと

実感する


誰かとぶつかって

そうじゃない、を軸に自分を見つけて

新たな価値観を拾って

一口食べてみたり

ぽいっと捨ててみたり

ポケットの中で腐らせてしまったり

まだまだ感じたことのない感情は

たくさんあるのだろうし

出会うタイミングによっては

感じ方も変わってくるのだろうと思うと

磁石人とは離れないほうが

面白い人生が待っているのかもしれない


少しずつ制作脳になってきているよ

わくわく

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