溝
向き合いたくない感情ほど
時が経つとすぐに消えて無くなってしまう
向き合いたくない物などなかったかのように
当たり前の日々でその溝は埋まってしまう
今はちょうどその溝の中にいる
だからこの時がなかったことになんて
されないように記しておこうと思う
しょうもないSNSにあがる動画を見て
感情の上澄みの方だけでクスッとして
時間を誤魔化し今日1日が終わった
私の1番の親友であり家族、私の一部でもある
愛犬のはなちゃんが昨夜新しい旅に出た
実家を出るときからこうなるかもと
どこかで思ってはいたけど
別れは本当に突然なんだね
最近実家のある大阪には有難いことに
ライブが増え月の半分くらい帰っていた
その度に狂ったように私の帰りを喜んで
満足げに膝の上に座ってたのに
確かに長生きしていたこともあって
少しだけ手がかかるようになっていた
私は一度ライブのリハに遅刻しそうで
お世話をせず家を出てしまったのよね
それがきっかけではないかもしれないけど
その日を境に急激に体調が悪くなった
お世話ちゃんとできなくて本当にごめん
月に2、3回帰っていたけど
その度に大幅に弱っていく姿に
心が追いつかなかった
心の中では分かっていたことだけど
本当はまだまだ一緒にいれると思っていた
こんなに体調を崩していても
それを近くで毎日見ていない私は
また一緒に暮らせると思っていた
冷静に考えると状況は分かるんだけど
どうしても目を背けたかった
私が悩んで精神が弱っていたとき
家族が崩壊しそうだったとき
いつも繋ぎ止めてくれていたのは彼女で
中学生の頃いっちょ前に
消えてしまいたいと思っていた私を
この世に繋ぎ止めてくれたのも彼女でした
いつも全力の愛を注いでくれた
幸せを与えてもらってばっかりだったな
はなが辛そうなとき
ママは私のライブ音源を聴かせていたらしい
Twilightという曲があるのだけれど
その曲を聴かせると
いつも落ち着いて眠れてたんだって
それがすごく嬉しくて涙が出た
音楽は言葉の壁を超えると強く信じてきたけど
音楽は心に話しかけることができる物なんだね
亡くなる数時間前、辛そうだったから
Twilightを口ずさんだのね
そしたら何も反応がなかった目が開いて
キラキラしだしたの
ママが言ってること半信半疑だったし
ママの思い込みだと思ってたけど
本当にはなの心に届いてるんだって思って
声が震えて最後までちゃんと歌えなかった
この曲最後の歌詞が
そばにいるよ 見えなくとも
触れなくとも ここにいるよ
っていうんだけど
自分の曲に自分が助けられた瞬間だった
私は心に話しかけられるから
容れ物が例えなくなってしまっても
心はなくならないから
私の容れ物をちょっと分けてあげるし
おいしい物いっぱい食べてあげる
だからずっとそばにいてほしい
ずっと聴こえるように
はなに忘れられないように
おっきな声で歌っていこうと思った
容体が悪くなってからは一瞬で
ずっと横で励ましていたけど
いつ息が止まってしまったのか分からなかった
気づいたら心臓が止まっていて
温もりが少し冷めてきて
少しでも綺麗な状態でいさせてあげたいから
悲しみに浸る間も無くお葬式の準備をして
まだいなくなった実感はないまま
お別れしてしまった
まだ今も隣で寝ている気がしてしまう
内心悲しみに暮れているのに
淡々と葬儀を執り行う私を含めた家族が
とても変な感じだった
心が置いてけぼりにされて
目の前の景色だけが目まぐるしく変わっていった
感情を置いてけぼりにして
頭だけで会話をしている感じ
そう思うと会話って
ちゃんと心を通して成立しているんだね
昨日明け方ソファで寝ていたら
急に目が覚めて脇腹に
黒い動物が寝ているのが見えた
はなが黒かったからびっくりした
はなが会いに来てくれたのかと思ったけど
たぶんあれは猫だ
猫はいつも私の布団に絶対入ってこないから
本当にびっくりした
でもいつも一緒に寝てたからちょっと嬉しかった
また一緒にぎゅーってして寝ようね
長々と書いてしまった
私、空まで届くように頑張るから
ずっと見ててね、本当に大好きだよ
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