荷造り

望んだ覚えはないが

勝手に与えられてしまった人生という空白を

どのように埋めていくのか日々考える

まるで空っぽのスーツケースに

これから先への期待を込めて

パッキングをしていくように

ほんと今のわたしには刺激が足りない

足りなさすぎる

お金なんてもんはどうにでもなるよ、

１７歳の時のわたしが大人に教えてもらった

唯一役に立っている言葉

念には念を、と丁寧にパッキングしても

それらをどこでどう役に立たせるかだけを

考える旅になってしまう

目的と手段が逆転してしまって

道は逸れてしまっていた

高校生の頃のわたしのように

ママに何も言わず髪をオレンジに染め

家を飛び出して

知らない外国人のおじいちゃんと

enjoy your life! と夜道を歩き

いろんな出会いを経て

いろんな恋をして

思わぬハプニングに翻弄されながら

１分１秒の選択がその後を大きく変える

そんな生き方をしたい

寝坊して乗りたい電車に乗れなくても

目的地までたどり着けなくても

そうしないと出会えなかった景色があったから

あの頃に比べれば殻は何重にも厚くなっていて

オモンネー大人になってんな、と思う

使うべき場所がたくさんあるので

お金を無駄遣いすることは今のわたしにとって

決して許されるべきことではないのだろうけど

お金なんてどうにでもなるんだから

大人が教えてくれたんだから

明日アンプを買おう

そしてまた路上ライブの旅に出よう

今決めた

ほんとはカミカワユウナという名前も

捨ててしまいたいくらい

何気なくノートパソコンを開いて

何気なく文字を綴り出して

眠れない気持ちを誤魔化していただけだったけど

enjoy your life! だよね

スコットランド人のおじいちゃんとの約束は

今でも頭の奥の片隅でずーっと光ってる

少し飽きてしまったので飛び出すことにした

ギターと紙とペンがあれば

わたしはどこへだっていけるのだから