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キャリバーンは覚醒しない

罪深きヤングメンよ、罪深きヤングウィメンよ。当方アーサー王検察の苫洲間鹵利トマス・マロリーである。

本日朝、ぽぇぽぇと水星の魔女関係まとめ記事を読んでいた所、カリバーンがエクスカリバーに覚醒するんだしみたいなびっくり仰天する様なコメントを見てしまい。今部屋の隅でガタガタ震えておる次第だ。

えっ! アーサー王物語
知らないの?


マジかと天を仰ぐ次第である。君らが歴史年表暗記や化学反応式アレルギーだったり、微積分を見ると寝込む残念な人間であるのは把握していたが、まさかエンタメ関係の事まで無智無学無教養だとは知らなかった。おお神よ! 迷いまくってどーしょーもない子羊さんズに恩寵を!(アーメン)

ざっくりアーサー王のエクスカリバーまとめ

(マロリーの「アーサー王の死」準拠)

1.若きアーサーは森だがどっかで石に刺さった剣を抜きます。実はこの剣はイングランドの正統なる王になるべき人しか抜けない剣なのでアーサーは王になります。

2.何故か抜いた筈の剣とは別に湖の精から魔剣エクスカリバーを貰います。この剣は魔剣なので切れ味が鋭く、鉄を木のように切り裂けるのです。また、その鞘を持つものは切り付けられても血を流さないで済む魔法がかかってまして……鞘の方が凄くね?

3.王妃ギネヴィアと円卓の騎士一のイケメンであるランスロットが不義密通(不倫)こいて戦争が起きます。

4.アーサー王の異父姉であるモーガン・ル・フェイが魔法の鞘盗んでポイーしてしもたのでアーサー王が死にかけます。アーサー王はエクスカリバーを湖の精に返す様配下のペディヴィアに命じて、何とか返還。傷を癒す為に西方浄土アヴァロンに向かいます。事実上死亡です。

覚醒イベントは御座いませぬ。


覚醒って……何見てたんだろ、コメント主。fgo辺りで覚醒イベントあるんやろか。


ここから詳細解説。
アーサー王の話は10世紀頃、実在したであろうアルトリウスとかなんかそんな感じの将官をベースに話を盛った英雄物語です。当時の剣は富と力の象徴であり、更にヨーロッパでは鋼の生産が限定的だったので、鋼の剣は実質スーパーテクノロジーで作られたライトセーバーやビームサーベルだと思っといて下さい。
で、皆もなろうやカクヨムで見ている様に、昔の英雄詩もパクリパクられエスカレーションするもんでして、マジックアイテムは湖の精がくれるもので(その変形が金の斧、銀の斧の話な)、英雄は王の血筋で彼の得て用いる剣はレーザーブレードです。配下には12人の高潔な騎士が集います。あと不倫は文化で騎士は良く発狂します。こわいですね(棒)

で、話を盛る過程で石に刺さった剣を抜くってエピソードが最初の方にあり、本来独立した騎士の英雄譚が「彼もアーサー王の円卓12騎士として馳せ参じたのであったー」とアーサー王物語に連結するわけですよ。皆もご存知ですね……魔界転生かな?(すっとぼけ)
で、この初期エピソードが生まれた頃のアーサー王の剣の名がカリブルヌスで、その後は吟遊詩人や書写屋がスペル間違ったりして名前が変わって行っただけ。

で、複数の語り手が整合性無視して思い思いに話を盛った結果、アーサー王の剣は石から引き抜いた奴と湖の精から貰った奴の2振り存在する事になり、ITが存在せずググったりWikipedia参照できない彼らは「アーサー王のだからエクスカリバーじゃん?」とガバい仕事をし、それをまとめたトマス・マロリーもエクスカリバーが2本ある様なまとめ方をしたと。

大体、エクスカリバーは【聖剣】ではない。つか、キリスト教的には聖剣であってはならないのである。
同時期に発生したローランの歌における彼の剣「デュランダル」は聖剣である。束の中に聖遺物が収められているからだ。尚デュランダルもものっそい切れ味が良い程度の能力しかない。

で、だね。
アーサー王の剣が湖の精により魔力付与されてたとすると、キリスト教文化圏的には神以外の超常の力を使っているので異端判定喰らうんですよ(涙) つまりアーサー王物語成立当初はキリスト教浸透前だから「湖の精」が出て来たのだが、ローランの歌が成立したフランスだかフランクだかは割と初期からキリスト教に(王侯貴族は)帰依してたから聖遺物入ってんの。後超常現象控えめなの。

恐らくだが、ローランの歌が色々あってランスロットの話になり、ランスロットの話と選定の剣を抜く王者の話がガッチャンコしてアーサー王の話になってる予感。

水星の魔女でキャリバーンがエクスカリバーだってダブルミーニングの話を見かける訳だけど、エクスカリバーなら鞘を捨てない限り使用者傷付かないし、それを扱えるスレッタはプロスペラに育てられたが、元は地球の王族の裔であった……みたいな部分もないので

単なる駄洒落


だと思うし、癒えぬ傷という意味ではエクスカリバーではなく「漁夫王の槍」じゃねーかなと。つまり、ロンギヌスの槍である。

アーサー王のエクスカリバー(の鞘)とロンギヌスの槍は効能的に対になってるんやないかなぁと思う。ネタを重ねるなら寧ろキャリバーンはロンギヌスの槍(漁夫王バージョン)とイメージ重ねてやると、最後聖杯が現れて昇天アセンションして消えるって筋書きに出来るかと思う。


つまり、大河内は中世ヨーロッパだけではなくアーサー王物語も知らぬ(号泣)

俺は超悲しい。

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