マーリンについて二言三言。

注意。本稿には放置少女に出て来るマーリンがつよつよだとか、こーするとえーよみたいな話は【微塵も出てきません】

よし、これで長文読んで頭が痛くなる様な子は防げた筈だ。では中世ヨーロッパ警察とかファンタジーGメンおじさんの「生活には役立たないが人生を豊かにする能書き」行くぞ！

マーリンというのはアーサー王伝説に出て来る魔法使いなのだが、魔法使いと言うと魔導書担いだジジイを思い浮かべる人はちょっと思いとどまって欲しい。

今Bingに描かせた魔法使いだが、まぁまぁこんなジジイを思い浮かべているのではあるまいか。マーリンは魔法使いではあるがケルト文化圏の魔法使い……ドルイドなのであるっ！

で、ドルイドについて説明しなきゃならんのだが、基本ケルト文化圏だと歌や韻律を持ちいて人心を惑わしたり丸め込んだり、惚れ薬とか魅了の魔法使ったりする連中なんね。アーサー王の親父のウーサーが敵の嫁さんに惚れた時も姿を魔法で変えて夜這いやらせたりしてる(で、この時仕込まれたのがアーサー王なんだが、後に微妙な問題となった)

さて。
アーサー王物語は大体10〜11世紀ぐらいに成立したお話だ。漫画で言うとヴィンランド・サガに近い時代で「まだキリスト教がそんなに広まっていなかった」
だから、ガッチガチのキリスト教文化圏では異端とか背教者扱いされる「魔法の力」が結構出て来るわけです。特にドルイドなんて異端ど真ん中でマーリンなんかは本来従順な神の僕の立派な「キリスト教圏の王様の話」に出てきちゃいかんのですわ。

なので、知られているほどマーリンはアーサー王物語で大活躍しない。

マロリーの「アーサー王の死」が成立したのが15世紀後半。初期のアーサー王伝説生まれてから400年ぐらい経過してて、なろうやカクヨムの野良作家により設定が盛られ改変され続けて400年だ。その間キリスト教は熱心な坊さんにより布教が進み、後の方になればなるほどキリスト教色が強まる。ガラハドなんか聖杯見つけてアセンションしますからね！

と言う訳で、キリスト教が流行って行くと同時にマーリンは扱い辛くなって行き、いつの間にかどっか消えてしまうのである。一応その辺の経緯を書いた話もあるのだが……大体マーリン、魔法で女性を魅了してベッドを共にしようとしたら大失敗とか「そんなエピソードが多い」のよ。ウーサーとの話も夜這い関係だしな！　歌い手や聞き手もキリスト教徒になって行くのだから異端のドルイドが大活躍してはいかんのである。
ここで放置少女のイラストを見てみよう！

なんじゃお前は？
少なくとも本は羊皮紙のデカくて分厚い撲殺兵器であるべきである。1024歩譲ったとしても、だ。ドルイドは普通口伝だから本とか無いと思うがな！
そしてそのお召し物。古い時代のイギリスにあるまじき薄布！　羊毛の厚手の服では無いのか。

中東エリアぐらいまでならシルクロードで絹織物来てるはずだが、流石ヨーロッパど僻地であるイングランドには伝わってないのではないか。昔なんかで読んだが、絹の旗掲げたら異様に軽くてパタパタする旗見て逃げ出した軍隊あるって言うぜ？

で、これ。

寿命がやたら長いとか不死の研究したとか……ワイ、そんなのスプリガンでしか聞いたことが無いンゴ……

作中でマーリンの弟子である事が明かされる不老不死ウーマン

つかね、汎ヨーロッパの土着信仰的にはいつまでも若い姿のままで過ごせる死者の国があるんですよ。アヴァロンとかティル・ナ・ノーグとかヴァルハラとか。【不老不死を研究する意味が無い】
キリスト教だって「最後の審判の後に永遠の生が約束されている」訳でして。
「たけきものもついには滅びる」ってガッチガチの東洋思想(インド発祥のウパニシャッド哲学的発想)なんですが。

なんかこー、設定がよく分からんから設定をねじ込みました的な「伝奇作家がよくやる手」を見せつけられてる様で、ワイ的にはちょっとキツいのである。

で。まぁ。
放置少女やる様な子だと「強い！　MR聖！　強くない訳が無い！」でマッハ取得に走るだろうし、事実解禁30分後にGetしたツワモノもおる。割とフリーダムな放置少女運営だからやらない可能性は極めて高いのだが……マーリンに嫌気がさして巨石の下とかに封印した湖の乙女がいるんだけど、そいつニヴィアンってゆーんだよね……

後に円卓の騎士のペレアスと結婚し、アーサー王は死ぬわガラハドは天に召されるわでどったんばったんの円卓の騎士の中、ペレアスはニヴィアンの内助の功で安楽に暮らしたという……

おまけ「アーサー王の微妙な問題」
ぶっちゃけ、他人の嫁さんに懸想して一発ヤってしもたので、アーサーはウーサーの「不倫の子」と言えなくも無い。無論不義密通はキリスト教的にアウトであり(アーサー王の敵役であるモードレッドが不義密通&近親姦&継母狙いのトリプル役満である事を思い出そう！)、いや、アーサーは不義密通の子じゃないよ的な言い訳が捏造されたって事例がありましてな……
なお、北欧系文化圏の神話見る限り、わりと近親姦許容傾向があった模様。