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魔女は女性?

ガチの中世ヨーロッパには多少の知見があるニキです(挨拶)
水星の魔女関連記事を探して読んでて「これはワイが解説せなあかんなぁ」と思ったので長広舌ちょうこうぜつが自動開始されるである。

諸兄は中世ヨーロッパというと、ドラクエやなろう作品の舞台であるナーロッパ的な「割と近代に近い時代」を考えるのだが、大体学術的な意味合いに於いて、ヨーロッパの中世というのはローマ帝国崩壊後からルネッサンス前辺りを指す。まだキリスト教がそれほど広まっておらず、ヨーロッパの古い伝統が残ってた頃だ。漫画のヴィンランド・サガなんかはガッツリ中世してますな。

でだ。
キリスト教化はフランク王国のクローヴィス王がキリスト教に帰依(聖油を注がれた)した頃から始まるのだが、南側からローマがあって、その北にフランク王国、そしてその北はノルド人とかケルトがひゃっはーしてる蛮族エリアで、東側はゲルマンがやはりひゃっほぅしてた。つうかフランク王国含めて大体みんなヒャッハーしてた。

彼らの元の文化がそもそもヒャッハー系なのである。
(目を覆いたくなる残酷な事実)


で、彼らの元々の文化(色々あるのだが、割と似た部分もある)では、男は勇壮に戦い(そして略奪)、勇壮に死ぬのが誉れ的な部分がある。実は女も防衛戦では盾構えてシールドウォール作ったりもしたが(戦いに負けたら戦利品にされちまうからな!)基本余り戦いはしなかった。
でよ、彼らの文化圏には魔法(と見做される呪術儀式)もあるのだが、勇壮に戦い勇壮に死ぬぜ!の男衆は余り魔法を好まなかった。魔法使うは女々じゃ!という薩摩兵児的な感覚があったのかもしれない。(ヴィンランドサガのトルケルとかごっついヴァイキングおじさんが魔法使いたがるか考えてみよう!)

で、時代は下りキリスト教が入って来るのだが……キリスト教というのは神以外の超自然の力は全て悪魔の力と認識する悪癖があり、非キリスト教圏の(主に)女衆が伝えたまじない関係を全部「悪魔の力じゃ、異端じゃ!」とかやりだしたのである。まぁ実際非キリスト教文化なのでキリスト教から見たら異端なんですが。

この様な経緯がある為に、Witchという言葉は魔女と訳されたのだが、実は男の魔女も居た。んな訳ねーだろ男はWizardだろと早合点する向きも有るだろうが、WitchとWizardは語源が違う。Mageなんかとも違うのだ。
もう遠い昔に失われた言葉なんで学説や推測の域を出ないが、あの辺の印欧語族では男をwiċċa、女をwiċċeと使い分けてたなんて話もある。結局男のwiċċaは殆どいないから「言葉としては無くなり」wiċċeの音が英語に音写されてwitchになった模様。だからwitchに男性形が無く、仕方無しにmale-witchみたいな複合語になるの。

で、一般に魔女狩りなんて言葉があるが、これは英語のWitch-Huntの直訳に過ぎず、定訳として魔女狩りと訳しているが……早い話実情としては「異端狩り」なんですなぁ。

魔女周りではwitch-craftなんて言葉もあるが、ニュアンスとしては魔法というより前時代感出した翻訳として「まじない」に近い。軽く生贄捧げて亀卜きぼくするみたいな。
そも西洋における「魔法」というのはイスラム圏における鬼神の使役(ソロモン王)とかの系列のイメージが強く、些か学術的なニュアンスがあるの。魔女周りはキリスト教化前の土着宗教のまじないってニュアンスがあり、古臭く非学術的なイメージ付いてるのね。

先に述べた様にキリスト教伝来以前の古い風習や魔法がみんな「異端」扱いされたもんだから、現代日本人があの時代に転移して、うっかりキリスト像や十字架の前で柏手打とうものなら異端審問ですわ(苦笑) そして魔女(witch)扱い。痛いの痛いの飛んでけーとかも異端じゃ。痛みを飛ばして消すとか悪魔の業じゃ。悪魔よ去れ!(必死)
こんな具合だから魔女認定なんてなんぼでもできる。これは私も実際目にして驚いたのだが、(過剰気味に)熱心なキリスト教徒は同僚が風邪ひいて今日休みーと伝えたら「祈りましょう」とマジで言う。神様にお祈りして快癒を願うのだ。(非キリスト者のワイはドン引きした)

なお、(過剰気味に)熱心なキリスト教徒さんは後に退社して(プロテスタントだったんで)牧師になる修行する為に会社辞めただよ。
過剰に熱心ではないキリスト教さんは信徒グループ内と外でちゃんと対応変えるから安心だ。それでも食前の祈りとか堅持してるんで分かる人には分かるんだけどね。

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!