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(エクス)キャリバーンの話でもしようか

こんなのまとめサイトで見たのさ。

キャリバーンが怪物は怪物でもゴブリンじみた弱っちー奴って話はしたが(迂闊に思えるだろうが、最近の若い子は検索先から更に深掘りしないから大丈夫なんじゃよ?)、ここにアーサー王の剣であるカリバーンのイメージも更に……と言う可能性はある。何故なら大河内クンはあまり頭が宜しくないからである。

むちむちっ☆

さて、中世ヨーロッパオタクおじさんの解説行くゼ!

問題となるアーサー王の話って言うのは、大体10世紀頃から書物に出てくる。雛形となる人物は多分居たのだろうが、その方の武勲を酒場や飲み会の席で弾き語りする吟遊詩人という奴が居てですね……

話盛られてるんだよ

割とマジでこんな感じ↓

前話に当たる「ヘンケン・ド・ロマーニュの可変剣」での出来事を盛りに盛って英雄譚にしてしまい、「可変剣のロマーニュ」を「ヘンケン・ド・ロマーニュ」と言う非実在英雄にしたって言うのが話の流れだ。
多分この現実世界でもアーサー(王ではないと推測される)は居たには居た。ただ吟遊詩人たちが「もっと刺激的に! もっとカッコよく!」「実はランスロットもアーサー王の配下で……」と各人がそれぞれ想い想いにエピソード強化して更に他人のアーサー王詩吟に刺激受けて……を繰り返した結果「なんでそんな凄い奴居たのにフランクのカエル食いにいじめられてんだ俺ら?」まで行ったと推測されます。

で、この山ほどあるホラ話を真面目に蒐集して纏めたのが「トマス・マロリー」と言うおっちゃんで、このまとめがいわゆる今日こんにち我々が知るアーサー王の原型である。

アーサー王の剣については色々混じったせいで不整合があるんだけども、恐らくその原型はローランの歌に出てくる主人公ロランの愛剣、デュランダーナ(デュランダル)であろう。ロランは湖の妖精に育てられて後にサラセン人と勇猛に戦うも死んでもーたシャルルマーニュの十二勇士パラディンの1人である。彼の剣デュランダルは柄の中に聖遺物が納められててなまら強い。余りに名剣なんで敵に倒されそうになった際に(剣をわざと壊すために)石に叩き付けたら石が切れたって具合だ。

エクスカリバーのエピソードで、若き日のアーサーがどっかで石に刺さってる剣を抜いたというのも、選定の剣であると共にもう一つの意味がある。

10世紀の西洋刀剣、鋼じゃ無く鉄を焼き入れして硬くしてたんよ。

だから割と折れるし曲がる。槍や斧ならまだしもロングソード形状だと容赦なく破損する。だから石を断つデュランダルや石に刺さってたエクスカリバーは「アホみたいに頑丈」であると当時の人には認識される訳さ。

恐らくエクスカリバーはそれぞれの吟遊詩人により……

1.超頑丈! デュランダルみたいに!
2.抜いたものが王になる選定の剣なのだー(王権神授説でもあり王剣でもある)
3.いやいや皆様物を知らない、エクスカリバーは鞘の方がすごくて、鞘持ってると傷を負わないんですよ!(酔っ払いは勝手な事を言った)
4.え? ならエクスカリバーは何処に? いや、アーサー王が湖の精に返しましたが?(サクっとホラを吹く)
5.なんでって……あの剣はアーサー王が湖の精から借りた物で……(矛盾解消しようとしたらまた矛盾)

こんな感じよ。まとめちゃったからえらいことになってるが、石に刺さった剣を抜いて王になったというのと、その他のエクスカリバーエピソードは「全て別々のアーサー王2次創作」のエピソードなのに トマス・マロリーは別々の2次創作を一つにまとめちまったんだよ!

ハーメルンに出てる水星の魔女2次創作を全部混ぜたらどーなるか考えてみるがいい。

ド混沌


になるのは言うまでもない。全裸の天王星女とか頭アナハイムで更に天狗が出てくるんやぞ? 更にグエルはかめくんに会う。 

で、だよ。このみんなの後付け設定の中で、「石から引き抜かれた」エピソードで使われてそうな名前が「エクスカリバー」であり、酔っ払って舌だきゃーよく回る吟遊詩人が考えた語源の一つが「ラテン語の エクス カルス リベリア、つまり石から引き抜かれた剣という意味さ!」

と言う与太である。


今は文献調査で「元はコルブラントとかそんな名前で、意味的には光り輝く剣って辺りだと思う」と言われている。この頃はアーサー王2次創作趣味人である吟遊詩人による脚色が少なかったのであろう。これがカリブヌスとかキャリバーンになって行く過程で話が盛られて行くのだが、選定の剣、英雄の剣の意味が定着するのは「音的に」接頭音「エクス」が付いてからだと思うます。キャリバーンには音的に「何かから取り出された」は無いし、10世紀成立の初期型アーサー伝説は恐らく同じ頃に成立したローランの歌や狂えるオルランドからの影響を多大に受けているだろう。ローランの系統がキリスト教の影響が強いのに対して、アーサー王の方はケルトとかの古い話の影響見られるから、選定の剣の話はケルト被れのアーサー王2次創作趣味人による物なのであろう。

と言う訳で、良く出来た中世ヨーロッパ趣味人ならキャリバーンと言う名に英雄だの選定だのの意味は無いと設定するだろう。生半可な知識で作劇するナノ河内は半可通じみた話をやりかねない。

私はナノ河内の

部分には多大な信頼を寄せている。アホだからやらかしかねない……そう言う意味での信頼だが。

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!