水星の魔女の構造的欠陥
ネガティブに見えるタイトルだから、先に注意しとく。謎解きや考察やらせる関係上仕方ない部分なんだ。本作の視聴対象(つーか、ターゲットユーザー)的に仕方のない事である。
では書いて行こう。第7話のミオリネのムーブが私から見ると若干粗いのである。ミオリネは天才肌で反抗期という難しいキャラなんだが、天才性というかクレバーな演出が若干弱いだよ。
例えば株式会社ガンダム設立部分、新規事業立ち上げなのに「どこでどんな収益上げるか」「どんな市場があり、新会社でどのセグメント攻めて5〜6年でどれだけの需要が見込めるか」なんかが全く無いのだ。この手のプレゼンで収益計画無いとかマジか。経営戦略や経済学知らない私でも分かる。こんなプラン(というか、やりたい事でしかない!)では金誰も出してくれんだろう。会社でイベントやったり新商品開発する時も似たような事するんだけど「こーゆーのやりたいなー。2000億くれ!」では読まれもせんぞ。実務としてそういうのやって来た身としてはガバガバ過ぎて笑いも起こらない。若いみんなはもうちょっとまともなプランを練るようにしような!
でもね、きょうびアニメとか委員会方式で作ってる監督とかプロデューサーは超ガッチガチにリアルな描写できると思うんだよ。だって彼らそういう企画書書く側なんだもん。しかし敢えてガバくしたのには、私が見る限り2つの理由がある。
1つ目がターゲットユーザーへの配慮である。中高生とか20代をターゲットに定めたなら、流石にプロジェクト立てて金引っ張るなんて事は未経験だろう。ガバくてもガバいとは思わないだろうし、リアルに描いてもリアルさが分からん。デリングが3%出資した意味や理由も、年嵩の連中のコメントやまとめ記事で知ったのではあるまいか。やたらリアルに描いてターゲットユーザーの没入感削ぐのは悪手である。
2つ目が厄介なんだが……ミオリネは天才設定だが、有能過ぎると話や事情を察して対応してしまい、本作の特徴である「考察」を阻害してしまうんだわ。
例えば7話冒頭で決闘後「いきなりエランが学校に来なくなった」なんてのは、基本的には「なんでだろ?」と疑問に思うべきである。スレッタの決闘勝利報償である「エランさんのことを知りたい」が履行されていない点について、決闘委員会にカチコミかけるぐらいはしても良い。スレッタのことに関しては誠心誠意尽くす設定なんだよね?
しかし、そうなるとシナリオコントロール出来なくなり「考察要素」が死ぬ。
故にミオリネは瞬発的な発想や変化する場における対応力には優れるが、長期的な視点や限定的な情報からの先読み・未来予測が苦手という「経営戦略科より、プレイングマネージャーや現場監督に向く」残念な子になりがちなの。
まぁ、この辺は大河内君も気付いていて、ちゃんとそういう方向にキャラ作って演出してるのだが、今のところそれを各話脚本担当が完全に理解しているかというと疑問が残る。
この辺、ミオリネを天才設定にしたままで考察をウリの真ん中に置いてしまったミスですかなぁ、と。ちょいとこの辺が気になるおじさんだった。
方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!