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展開予想 総集編

水星の魔女0〜6話までと総集編を加味して展開予想をしてみる。

0.概要

本作テーマは「親世代と子世代の対立」「人間とは何か?」というSFあるあるの問い、そしてラストはテンペストと同じ「許し」の三本柱かと思う。特に「許し」は復讐譚カテゴリにあるテンペストの際立って特徴的な部分であるので、ここを外すなら本作のプロスペラの計画は失敗する事になり、話全体として考察は成立しないかと思われる。

1.前提

話の展開を読ませるのであれば、狂人を置いてはならない。展開を理知的に考えるには登場人物が全て理知的に思考をする必要性があり、話の展開上邪魔な奴を意味無く包丁で差し貫く狂人を置いたらそれは推理ものではなくホラーであろう。
その為、プロローグにおけるデリング指示によるヴァナディース機関襲撃事件など、普通に考えて頭がおかしい事象には「普通に考えて頭がおかしい展開になる事が必然である理由」がある。例えば「ゆりかごの星」ではプロスペラが自身の復讐に我が子スレッタを用いる描写があるが、多くの考察では「一般的に考えて危険な行為を伴うはずの復讐に大事な我が子を使う」のが普通に考えてあり得ない事から様々な考察バリエーションを生んでいる。狂人配置は「だって狂ってるから」で凡ゆる想定を無視出来るため「考察には向かない」

可能な限り「発狂しているから」という想定は除外しなければならない。まず以ってそんな何でもあり前提を持ち出す考察は「考察を主とする話」に向かない頭の悪い人の所作である。

2.まだ見ぬ先に新たな情報がある事を前提とする

今までの展開を見る限り、視聴者の前には「推理に必要な全てのパズルピース」は提示されていない。よって現時点ではどの様な展開予測にも必ず「今出ていない予想」が含まれるが、ジグソーパズルの枠サイズだけは決まっている。それは放映枠だ。
考察班はいくらでも自由な想定をぶっ込んで構わないのだが、その結果として全24話(プロローグとゆりかごの星は無くても成立しなければならない。あれはパズルの枠内の話ではない)に収まらないのであれば、不成立である。恐らくは今後展開する外伝や小説で補足説明があるとしても、あくまで補足説明に過ぎない程度であるだろう。
この尺の制限により「ニャントロ星人が介入してた」「薔薇十字団が秘密の魔法知識で……」は排除される。もう水星の魔女は主要人物紹介で尺の1/4を使っている。更に前提説明回入れてたら時間が足りぬ。

3.各人は各人の人生を歩んでいる(各人の動機考察)

一見……というより、作者の誘導によりどう見てもダブスタクソ親父にしか見えないデリングにも、普通に考えて親らしい部分や男、経営者や元軍属としての側面がある(これを無視するのは前提に反する)
ならばこう仮定してみよう。デリングにはヴァナディースを即時殲滅する理由に足る動機があった。それは6話までの話を見る限り「ガンダム開発者(チーム?)の中に人体実験や貧しい人々を高待遇で釣り、虐待する組織がある」辺りが妥当だろう。そんな外道が存在するならば、被害が広がる前・証拠がある程度揃った状態で強襲するのも「妥当な判断」と言える。しかしそれが真の黒幕の偽情報による物だとしたら?
つまりこうだ、人体実験を厭わない「邪悪なショッカーじみたガンダム開発組織」が自分達に向けられる粛清を防止する為に「ヴァナディースが人体実験してる」と若き日のデリングに吹き込むのだ。
そうするとデリング氏は「迂闊に他人の言に騙されてはいけない」という教訓を得て、信頼できる筋以外からの情報に警戒する様になる筈だ。2話の彼のムーブはこの仮定を置いた場合に納得できる物にならないだろうか? また、敵が見えない中では「ガンダムっぽい物はとりあえず禁止」というやり方もある程度は已む無しであろう。彼は大企業グループの総裁であり暇ではないのだから。

プロスペラはどうか。ゆりかごの星を見る限りは「スレッタとエアリアルを使う気がある」様に見えるが、一つ見落としがある。プロスペラ自身は何をするのであろうか?
何か作戦を実行する場合、一番良いのは自身が作戦指揮を執る事である。復讐がどの様な物であれ、可能であればプロスペラが現場指揮を行うのは極めて合理的かつ効率的だ。現場で判断できるから。

まず彼女の動機から考えてみよう。普通に考えたら恩師と旦那を殺されたヴァナディース襲撃事件は復讐を決意するに値する大事件である。
こう考えてみよう。ある人物にトカレフ(拳銃)で肉親殺された人間がトカレフという拳銃に復讐を誓うであろうか? 否であろう。普通は撃ったやつを憎む筈である。では、撃った奴は適当なゴロツキで、殺人指令を出した人物がいたならば?
もちろんこの場合は殺人指令を出した奴を復讐対象にするだろう。
このように考えて行った場合、上記のデリング氏の判断が十分に理知的であると仮定した場合に存在し得る「邪悪なショッカーじみたガンダム開発組織」がエルノラ・サマヤの真の復讐対象である事は十二分にあり得る。通常だとプロスペラがデリングを追い詰めて銃の引き金を引く時にこの事実が明らかになって、調査が振り出しに戻るというのが定番だが、本作は24話しかない。既にデリングを唆した悪の組織には気付いており、それを炙り出す為にエアリアルとスレッタを学園に放り込んだと考えるべきであろう。調査の過程で彼らが邪教の暗黒儀式的な実験してるのも掴んでいると見て良い。デリングに対する嫌疑が無く、いきなり殺しに来たりはしないという確信がなければ魔女裁判に出ないだろうし。
明らかにエルノラ・サマヤ似で彼女が身に付けていた髪留めを「今も付けている」スレッタ・マーキュリーは、過去のエルノラを知るヴァナディース機関関係者であれば注意を引く存在であるし、スレッタの母がプロスペラという人物である事は公開情報であるから(シャディクがそれを確認している)、プロスペラが復讐を画策していると知らない(これを知っているのは現在のプロスペラの復讐部門担当部下と本人、そしてエアリアルだけである)悪の組織側は、現在の彼らの集大成であるガンダム・ファラクト&エラン4号コンビを遥かに凌駕して人体に対する悪影響の無いエアリアルを見てプロスペラにコンタクトを取りたがるに違いない。
エアリアル達が起こす学園内でのドタバタこそがプロスペラが望むあらしテンペストであり、それに釣られて彼女の島にやってきた悪の組織を始末するのが「彼女の復讐」である。この場合、エアリアルを建造したと見做されるプロスペラこそが危険に晒される事になるし、大企業の子弟が生活していてセキュリティが高い(筈の)アスティカシア学園はスレッタにとっても安全な場所になる。民度が低いのは大誤算だが(苦笑)
またあらしテンペストにより炙り出されたエラン4号は貴重な証拠であり証人だ。ファラクトの建造やテストは人目につかない場所でやるだろうし、彼から引き出せる情報は多岐に渡る。彼の救命と確保は彼女の復讐計画を大躍進させるだろう。みすみす手札を捨てる筈がない。

次に悪の組織。
人倫がぶっ飛んでいるので一見狂人ポジだが、作中描写の中にそれを許容する要素がある。アーシアン差別だ。アーシアンには食いかけの弁当に噛んだガム吐き捨てても良いという狂った世界であるからして(しかもそれやったの良家の子女であるアス高生徒だぞ?)、アーシアンはかなり過酷な差別を受けているのだろう。すると人体実験してるけど、ヒトとは言えアーシアンだからギリギリセーフという「作中世界での常識」が存在し得る可能性がある。
アーシアンとスペーシアンの対立があるとされており、更にそれが現代日本の尺度で見たら半端ない苛烈さだとして、だ。デリング氏は割と差別感情が少ない。彼の学校には(経済格差的に貧乏を極めてはいるが)アーシアン学生が存在する。差別極まってたらアーシアンをMS学校に入れたりはしないだろう。すると当然デリング氏はアーシアンだからと言って人体実験しても良いとは考えないだろうし、悪の組織がアーシアンを使った人体実験でガンダム作ってるのを知ったら激怒する。(ミオリネ母ちゃんアーシアン臭いし)

恐らくはこの悪の組織に加担しているベルメリアはプロスペラの真意を知らない(末端だから組織全容は何も知らないという筋もある) すると自分の所属組織の手引きでエルノラが旦那と恩師を失って復讐を計画しているという事実も知らず、別の動機で「自分達と同じように」ガンダム適合者を作っていると誤解する可能性もある。実はプロスペラ(エルノラ)にとっては既にクリア済みかヴァナディース襲撃に比べればちみっちゃいが、ベルメリア的には復讐の動機に足る事件の復讐と誤解しても問題は無い。プロスペラ的には軽いものだから30秒ぐらいの描写で足りるし、テロップで21年前と示せば良いだけだ。まぁ、ガンド化した事故なり事件だろう。21年前発言に対してプロスペラは何の返答も反応も示していない。ベルメリアはアーシアンだから実験はセーフ派であるから、実験に娘を使うセンパイは私たち以上の外道であると誤解している節があるし、ならばウチの方がマシだからウチに参加しなよまである。ヴァナディース襲撃の絵図書いた悪の組織の人間からしたら悪夢であろうが、ヴァナディース関係者にそんな事話すわけには行かないから大変モニョるであろう。

4.以上のことから

プロスペラはエラン4号を助ける。顔を変えるか仮面を付けてスレッタの兄とかでアス高に入れるだろう。アス高は民度は低いがセキュリティレベルは高い。隠すならもってこいの場所だ。
地球寮の占いインド娘が占った「スレッタに兄弟がいる」というエアリアルを見出した占い結果を上書きしてしまうだろう(ていうか、あれエラン4号生存のための伏線)
短期的には21年前発言とクローン説とエアリアルの中にエリクト話が加熱するであろう。まぁ勝手に誤解して盛り上がり、真実開陳で大ショック受ける方が話を楽しめるかもしれない。大体だな、一人称が「僕」でエアリアルとエラン4号の人称一致を引っ掛けに使うという筋を考えないのは節穴さんだ。
スレッタが「エアリアルになんか似てる」とか言うかも知れないが、それはエアリアルと交戦中に「エアリアルという存在」を知ったからで、別にエアリアルの中身とは関係が無い。

デリングとプロスペラの和解は既定路線。悪の組織撲滅の為に共闘するし、その過程でデリングがプロスペラに真摯な謝罪して視聴者の印象はグルングルン回転する。

悪の組織の拠点は地球上であろう。ミオリネ母に対するデリングの処遇(ミオリネがデリングを恨む理由)は悪の組織絡みであり、無駄にアグレッシブなミオリネは勝手に安全なアス高を飛び出して父の真意を知り和解する。

スレッタは野生の本能でスレッタ兄(エリックかキャリバンという偽名を名乗り、高確率で仮面のお兄ちゃん)がエラン4号である事を見抜くか勘付く。当初それは家族への思慕やブラコン・ファザコンと錯覚されるが、これはスレミオ展開のヤマタニ作る為のギミックだ。仮面兄ちゃんはテンペスト内での「キャリバン」ポジションでパートナーが生まれない可能性がある(少なくともメインキャラとはくっつかない)

シャディクは後々「探偵ポジション」に収まると思う。スレッタを疑い、エアリアルを疑い、スレッタ兄を疑う。というか、謎を主体的に解きに行きそうなのがミオリネとシャディクしかいない(涙)
ミオリネにはスレッタ相手にヤキモキする役が与えられるだろう。推理してる暇がねぇ。

スレッタ兄はルブリスなんとかに乗って高機動引打ち芋砂やってシャディクにバレ、スレッタに勘付かれる。仮面の兄なんだからリンク4で通常の3倍速かつ赤熱化でシャアリスペクトやると見た。データストームは発生しない。

ナディムが生存の可能性。明確に死んだ描写が無い人物は生存の可能性がある。ただしカルド博士はテンペストのシコラクスに相当するので死んだままかも。ナディムは生きているがデータストームで廃人化しており、再三述べている「エアリアルがガンドロイド化してスレッタの妹になる」過程で正常化技術が実用化されるのでは無いか。

5.最後に

5000文字以上書いてるから多分この予想は広まらない。若い子長い文章読まないネ。
このネタは「下手に敷衍するとむしろ水星の魔女をつまらなくしてしまうのでは無いか」と危惧して秘蔵するつもりだったのだが……私が見る限りネット工作員が必死に誤導やってるし、動機考察や「各キャラが何を知り得て何を知り得ないか」などの推理基本テクも知らない辺り、考察という名の雑談は終わることが無いだろうかと思う。最後まで読んでしまった人はご愁傷様。いい意味で私の考察や予見が外れる事を共に祈ろう。

私の予見を遥かに上回る大河内脚本があるならば、それは当に祝福であるかと思う。

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!