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狂人としてはならぬ

案外みんなスレッタを「理解が及ばぬ狂人とかサイコパス」として見てるのね。ちょっと意外。

安易に狂人認定したらいかんのよ。それは事態や人物を理解すると言う行為から一番遠いやり方だ。ヒトは理屈が通じない事態に遭遇すると「理解する努力を放棄して」その様なレッテルを貼る。つうか物語の作劇の話でも書いたが……狂人設定の人間出すと、どんな理不尽な展開や事象を引き起こしても「狂人だから」で解決出来てしまいロジックの組み立てが出来なくなる。そんな話は視聴しててつまらんぞ。
一見、悪趣味極まりない作劇・脚本家の手によりサイコタヌキにされたスレッタであるが、もし本当に心が壊れてるのだとしたら、2クール目冒頭はミオリネが付き添って心療科行くシーンから始めなきゃならん。デリングも入院だろうし大忙しだな、ミオリネちゃん。

実際スレッタの身になって考えてみよう。これまでやって来た「戦闘」は、危なげではあるが命は保障された?決闘に過ぎない。
しかし12話ではサクッとプロスペラが射殺かまして人を死体に変えている。あの場での戦闘は命が保障されない鉄火場なのね。

MSで戦ってるから視聴者は誤解すると思うのだが


決闘と同じ様に見える12話の戦闘、下手すると死ぬんですわ。Cパートのスレッタは「下手すると死ぬ数分間の濃密な戦い」終えた後なの。
結果的にMS戦では誰も殺めなかったが別にそれは意図しての事ではなく、うっかりしたら殺してたし殺されてた。たまたま初キルが生身の人間でミオリネを狙ってただけで、状況的にはテロ屋の2〜3人血祭りに上げててもおかしくはない。

超絶巨大な殺意の発現

手でペチンして殺すのも、絶対的殺すガンビットもりもりライフルでバスターランチャーかますのも、大して変わんないと思うのだが。たまたまこの時は殺せなかったが、下手すりゃ一発で1日エース狙えたやで。

もう、戦闘で敵MS相手に引き金絞った段階で「一線は超えてる」んだよ。人を殺傷する覚悟は「出来てしまって」いる。だから私は手でペチンのシーンでは余り驚かなかった。一度他人に殺意を向けて引き金引ける様になった奴は、いつか人殺しに「成功して」しまう。

フルメタルジャケットは遠くになりにけり

ペチンのシーンは「上手く敵を殺せなかったスレッタ」が初めて殺人敵兵排除に成功した所だ。そりゃあ「にこやかに笑う」だろう。しかも自分の恋人助けたんだぜ?

覚悟が決まってない状態で、初めて殺意を向けてあのテロ屋を「ミオリネを助ける為に」衝動的に引き金引いたら、殺人の重さにガクブルでしょうな。覚悟決めて命のやり取りこなした後にアレなら、多分ガクブルなんかせんと思う。当たらなかっただけで殺しの為の引き金はもう引いてるんだもん。

ガクブルするとしたらここやろ

12話の戦闘見ると分かるのだが、スレッタは初の戦場でビビってるのかガンビットを防御で多用している。下手に当たると死ぬからだ。
そして地球寮の皆が無事であることを確認した後に「敵に撤退という選択をさせる為に」超強力な攻撃を繰り出している。個別に叩いてる間に地球寮の皆が狙われないとも限らないからね。
実は水星の魔女では全般的にビームライフルが中々当たらない。良く当たるのは当たる距離まで接近してボコる系射撃兵器「ガンビット」ぐらいのものではある。

みんなと一緒にやったという免罪符

だから逆説的に、エアリアルとスレッタは威嚇射撃や脅しではなく本気でMS狙って殺す気でバスターランチャー撃っている。もしも殺人への葛藤や恐れがあるなら、この撃つシーンの直前直後にあるべきではないか。

それで敵を追い払った、仲間を守る事に成功したと思ったその時にテロ屋がミオリネ狙ってるシーンに直面する訳だわ。

2発目の引き金はさぞかし軽かろう。そして敵兵排除というミッションにようやく成功した、生き延びたという安心。ミオリネさんも無事で……

割と普通にこの顔にならんか。戦場というキチった価値観の中で揉まれた後だ、これでまだ人を殺しちゃっただのなんだのでイジイジしてたら逆に怖いわ。お前は何考えてガンビットライフル撃ったのかと。

命のやりとりを行うと決意して戦場に立ち、その狂気の中を潜り抜けた後だって視点が抜けてると思うんだよね。それが普通の精神状態だったら逆にヤベぇよ。

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