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自分で勝手に来た犬の話

実話。

10年一昔とすると「むかしむかしむかしむk」ぐらい前、東武野田線(今アーバンクラインとかゆーんだっけ?)沿線に住む若い女性が子犬を飼っていました。名前はフジ丸。雑種のオスです。
彼女は犬を飼って程なくして彼氏と良い仲になり同棲する事になったのですが、なんと彼のアパートはペット厳禁。フジ丸くんは里子に出されることになりました。

で、ウチが引き取ると思うだろ?
当時は我が家も川口市中青木のマンション住まいで犬飼えなかったのだ。何故かでけーボルゾイ飼ってた人も居たが、あれはなんか周囲住民を説き伏せたらしい。

ボルゾイ。大型犬で大抵躾はしっかりされている。躾出来てないと飼うのがめちゃくちゃ困難だからだ!

で、結局フジ丸くんは女性の直接の上司であったウチの母の得意先で川口オートレース場に近い小さな運送会社のオフィスで飼われる事になり、会社が休みになる土日休日だけウチで預かることになった。金曜夜預かって月曜日の朝に出勤……ワンシーズンぐらいそれやったかなぁ? 

で。
運送会社では鎖に繋がれていた訳だが、彼はすぐに首輪抜けを覚えた。そして事務所近くを勝手に散歩して飯時だけ事務所に帰ってたらしい。それは猫ではあるまいか。
次に、事務所から中青木のマンションまでの道を覚えた。母の車で送り送られて来る時に景色を覚えたらしい。何故覚えたか確認出来たのか……中坊だった私が自宅に帰ったら、異臭を放つ生ゴミじみた生き物がドアの前に居たからだ。つまりフジ丸君である。

イッヌには不思議の習性があり、生ゴミやウンコを身体に擦り付けたりするんよな。1.5kmぐらいかなぁ……事務所からマンションに来るまでに生ごみと遊び、雌犬追っかけたりして昼過ぎぐらいにウチに来て、そこのニーちゃん(私)にシャンプーして貰って晩飯を食う。その快適さに慣れて勝手に外泊する様になったという訳。

これには参った。
この無断外泊というか、押し掛けペット状態が2〜3ヶ月続き、部活が模型部で当時一番帰りが早い私が毎日のように臭い思いして風呂に入れ続け、結局根負けして(公然の秘密であるが)ナイショで彼を飼うことになったのである。

脱走癖は終生治らず、中青木時代に保健所に捕まること数回(毎回親父が迎えに行った)
今の新郷地区に引っ越した後も塀の手すりから勝手に遊びに行くもんだから、手すりに金網貼ったりしたんだけど金網破って脱走するし、こいつ行動半径が2kmにも及ぶので勝手に遊びに行くとマジで捕まえようが無い。山犬かよ!(マジ走りしたイッヌなんぞ、人間の脚では追いきれん……)

保護犬活動の宣伝で、保健所に捕まったイッヌが悟った様な顔してるとかの話を見かける。よく迎えに行った亡父もそれを目の当たりにして大層心を痛めたそうだが、そのしんみり空間の中に

「とーちゃん! とーちゃん来た! ここでーす! ボクここでーす! 捕まっちゃいましたぁっ!」

と言った感じではしゃぐトンチキ風来坊犬もいたという事である。

冒頭のイッヌの絵は、彼の死後私が水彩で描いたフジ丸くん4〜5歳時の肖像である。我ながら良く描けてるなぁと感心する出来栄えだ。散々洗って乾かして、飽きるほど毛並み見たからなぁ。

予定では、私が三途の川を渡った先で、2番手3番手のイッヌを従え河原で待ちくたびれているという事になっている。ワイの冥府到着初仕事は三途の川の水でコイツを洗う事になるのだろう……

親父が危篤になった際、フジ丸の墓前で「親父来たら追い返せ」と命じたら、本当に親父一回意識取り戻したから「言ってみるもんだなぁ」と思いました。マジで。

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!