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ガンプラ「ここまでの解説」

2回に分けてこんな話を書いた。

気付いている人は気付いているだろうが(トートロジー)、一連の話は

1.考えなく手を動かせば出来る(逆に言うと手を動かす……技法……の習得)
2.考えながら手を動かす。イマジネーションを作る部分の修練。

という方向に段々とシフトするように記事書いてたりする。

創作とはイメージを構築してその抽象概念を具象に落とす作業であり、抽象概念の(可能な限りの)具象化を「脳内」で行い、その細密な抽象概念を作業により具象化する際に「テクニック」が必要になる。イマジネーションとテクニックは創作における両輪なんですわ。どっちか欠けても魅力的にはならないんだなぁ。

どーもイマジネーションを作るという事が軽視されてる気がするんだが、立体作れる程度にイマジネーションを精細に作るのはかなり難しい。例えばガンプラ好きならザクもグフも知ってると思うが、ザクの頭やグフの頭を「資料見ずに」描けるだろうか? シャアザクを自分のイメージ通りに作ると意気込むのは良いのだが、では自分のイメージ通りのシャアザクを絵にできますか? 色々なポーズや角度で描けますか?

これはちょっと自慢なんだが、私は幼少期からLEGOで遊んだりしていてバーチャファイターorバーチャファイター2程度のポリゴン数のモデルを脳内で構築できる。HGUCの寒ジムとかジムコマンドならそこそこリアルに脳内モデリング出来て、色々な角度やポーズでレンダリングできる。

たまーに頭にUSBケーブル挿して脳から直接3Dプリンターに出力したら理想の形が手に入ると夢見てる人もいるようだが、バーチャファイター(初代)レベルですら脳内でモデリング出来る人は少ない。

絵描きが上記の様な木偶人形を人物画描くときに用いるのは、この脳内モデリング能力が足りないからだ。大体絵描きは「想像で描くな! 実物見ろ!」とか指導されるのだが、それは美術的なセンスに恵まれた連中でも脳内イメージはぼんやり気味である事に起因している。皆も自分のスニーカーに紐通す穴が何個空いてるかとか、結び目がどう見えるか、恋人の眉毛の「密度」がどんなもんか、通勤で使う駅の階段が何段かとか分からんべ? 我々は割とボンヤリ生きているのだ。

そのモデルがあるポーズ取った時にそのアングルからどう見えるか「高精細に想像できないから」木偶人形を使うだよ。あと、上記画像ググって気が付いたが、木偶の手をそのままモデリングの参考にしてる奴おるな? 美少女フィギュアで前に手が奇妙なことになってるの見かけた事があるが、動かし方が上記木偶の手と同じだ……

多くの人の心の中に理想のモビルスーツは、多分いない。多くの場合そこにあるのはかなり抽象的な概念でしかなく、形としてはスライムなんではないか? だから逆にガンプラで理想を追い求める時には「目の前のガンプラを弄りつつ」具体的な像を練り上げる事が多いのではないかなぁ?
これはこれで悪くは無いのだが、現物合わせだけで理想を追うと手数が増えるし、最終的なバランスが崩れる可能性がある。例えばガンプラの脚を太くするという作業でも、実際に太くする、太く見える様にする、色で補正するみたいなアプローチ方法がいくつかあるのよ。

上のGM/GM改造した時、腹は幅増しせずにC面にプラ板貼って「C面の面積減らす」事で太く見える様にした。(面取りの「C面」って奴は見え方にかなり大きな影響与えるから注目すべきである)
実際に太いのと「太く見える」はビミョーに違うのだ。この辺の話は小娘達の自撮りとかではかなり研究されていて、奴ら子タヌキは痩せてないのに痩せてる様に見せかけおる。ポンポコ村の住人には注意せよ。綾波ヘアーで小顔演出とかよーやりおるな!

最終的には「モノをどの様に見せるか」から、実際ボリュームを弄るのか、色彩や面の取り方で印象を変えるのか、レンズの歪みを利用してそう見せるのかなどを都度選択しながら「モノ」を作ることになる。特に写真で見せる事が多い昨今のSNS上での作品紹介は後者の比率がかなり高い。なので写真撮影技術が高いと良作判定されやすくなる。

逆に写真による加点が全く無いのが実機展示だ。模型サークルの展示会やプラモ屋の店頭展示はボリュームコントロールやカラーリングのテクニックを存分に楽しめる。

八潮の展示会見に行った時の写真

可能な限り、上手い人の作例を自分の目で確認すると良い。写真では確認しにくい色味や「形」を把握するのに役立つ。言ってしまえば写真撮影が「厳密では無い」為に「写真には映らない部分」ってのが結構ありましてね……

先に挙げたコレなんかも写真映りを考慮してかなり極端な陰影を塗っているのだが、「それは写真にした時は自然に見える様」調整されている。逆にいうと実モデルを生で見たらかなり粗い塗装が確認できるだろう。自然に見える程度でこれだから、写真でも分かる程度にコントラスト作ったモデルだと実際見たらかなり異質に見えるグラデーション入ってるかもしらん(若しくは撮影が下手で「自然に見えない」可能性も)

余程の才能が無い限り?脳内には厳密な「理想の形」は無いんですよ。それは目の前の「実物」を弄り、段階的に変化をフィードバックしながら結実して行く。その作業を反復して経験を積みまくると「何をどうするとどう見えるか」がわかる様になり、脳内イメージが高解像度化して行く。ここまで来ないと実は「想いを具象化する」なんてことは出来ないのだ。

ざっと書いてみたが、「考えながら手を動かす」の次は「考えてから手を動かす」になる。
しかしこの「考える」の為には見え方や作り方というテクを網羅していかないといかんわけですわ。どうしたらどう見えるか分からないと「こう見せたい」を何して実装していいか分からないし、トライ&エラーという効率的では無い方策を取らざるを得ない。当たりが出るまでクジを引き続けるようなものだ。

硬いものが硬く見えるのはどんな時か。柔らかく見せたい時にはどうしたら良いか。自分の目が対象をカッコいいとか可愛いと感じているのは「どんな要素があるから」だろうか?

モノアイの色が素敵と褒められたが、これキット付属のシールなんだけど……(大脱線)

こんな事考えながらガンプラ作って行けば、必然的に立体把握・構築能力は上がる。素組・改造・スクラッチやプラ板工作はそれぞれ独立した技法ではなく、全て繋がっているのである。素組を綺麗に組み立てようと考え始めてしまえば後は一直線だ。欲望に果てはないなんて言うけれど、ガンプラも一度ひとたび「綺麗に、カッコよく仕上げたい」なんて思い出したら……その欲は果てしなく増長して地獄の最下層まで堕ちていく羽目になるんよね。

さぁ、冥府魔道までお散歩いこか!☆

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!