ラララ科学の「水星の魔女」

大変久しぶりにnoteで水星の魔女記事を読んでたの。その中に化学とか数学とか色々それっぽい内容を配した

実に残念な記事

を読んでしまい、ワイは今ものすご〜くがっくり来ている。あかん、中高生レベルの科学知識がかなりダメぽだ。俺は悲しい。

1.水星の魔女にガチ科学は合わない

パーメットを「元素」にした段階で、もうこれハードSFになりようが無いの。水星で昔採掘出来たとかのネタと、元素や分子以下の粒子や電子を扱うと人体に対する影響ガーとか様々な理由でどーしてもパーメットを原子にせざるを得ないというのは分かるのだが……ウルトラスーパートンチキ時空にしない限り、パーメットは超ウラン元素で粒子加速器の中で1秒以下の寿命しか持ち得ないため、それを活用したテクノロジーは発達しない。

それを無理矢理SFに落とし込むなら元素周期表を3次元拡張するとか、扱う時空間を3次元から4次元以上の世界にしないといかんのさ。通常の原子周期やイオン化傾向、そもそもは原子番号とはなんぞや的な話が了解できないフレンズが山盛りである以上……土台無理な話を既存科学と同レベルの精緻さに仕上げようとしたら「更に話が分からなくなる」のは確実である。パーメットの話を既存科学の範囲で扱ったらそらまぁ無茶な話になる。

ダンバインという偉大な先例を踏襲するべき

ここは小宇宙コスモやエーテルや魔力みたいな既存科学では扱えない不思議な物質・エネルギー扱いすべき。
あの長文書いた子は原子や分子の挙動における電荷とかの授業マトモに聞いてない可能性が大である。同じく授業はマトモに聞いてなかったワイに指摘されるとは何たることか。一つの原子に「同じ元素」が4つ着いたら電荷により平面構成にはならぬ。正四面体の中心とその4つの頂点に原子配列されるがな！

メタン(CH4)なんかがそうだべな

2.人の記憶というものの扱いがアレ

なんでみんな簡単に脳内の記憶を忘れられると思うンゴ……
確かに皆の身近にも、ボケて痴呆で昔の事すっかり忘れてたり、自身も学校で学んだ筈の知識がすっかり欠落して残念になってる子がおるかと思うが、忘れるという脳の挙動は実に不思議なものである。ボケ老人とか案外大昔の事は覚えてて、1週間前とか昨日のことはあっさり忘れるんよ。特にスレッタ≠エリクト説とか、スレッタとエリクトの関係性をやたら複雑にしたがる連中は「エリクトの記憶はルブリスやエアリアルに吸い取られた」と主張して、その際生体側には記憶が残らなかった……なんて話するんだけども、脳には運動機能の記憶や心臓動かしたり呼吸を意識の外で行うデータも入っており、脳内データみんな吸われたら即死すっぞ？
するとこうなる。何らかの事故で記憶は失われたが「大変都合の良いことに」生体を維持する為の脳内データは消えなかった……ちとご都合主義過ぎんか。
更にだよ、記憶が存在する箇所を外科的に切除したら確かに脳はそれを忘れてしまう(取り出し方法が無くなると言う方が正しいか？)。これは過去に人類がロボトミーという無茶な施術した時にかなり確認されてる。記憶ってのはコンピュータのメモリとは異なり、物理的なニューロンやシナプスの接続なんであるよ。だから物理的に損傷すると機能障害が発生する。脳挫傷による半身不随とかが参考になるだろう。逆に言えば物理的な行為を伴わなければ意図的に記憶を消すのは無理だ。
最新医学関係で言えば、ガンマナイフとかの癌細胞破壊装置を転用したら脳内の特定部位のみ破壊することも出来るかもしらんが、それ事故ではなく完全に任意の記憶を消す為の装置になりませんか。
BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)が高精度になったら脳内のデータを精緻に読み取ることは可能だろう。だが、その為の機器で脳内記憶を消去は出来ない。脳への偽記録書き込みもちょいと難しかろう。神経細胞接続を人為的に行わせると言うのは難しい。コンピュータのメモリ書き換えみたいには出来んのよ。
まぁ、1.みたいに魔法とかエーテルとかオーラ力ぢから扱いしたらえーんですが。水星の魔女なんだし魔法であってもえーんちゃう？　ただ、マトモなSF考察する意味無くなるけどな！

3.水星は過酷なのでエリクトは死んだ。

エリクトも水星で暮らす人も水星の地表で暮らしてないゾ。確かに水星地表は過酷な場所であるが、なんもそこに生活圏作る必要はなく……人類は水星の軌道上にコロニーとかフロントとか基地建設してそこで暮らしてる。ちゅーかポンポコ人が死ぬ環境に定住したがる奴は居ないし、もう一つの指摘として「水星には老人ばかりが居住してる」と言う点がある。
老人は環境変化に滅茶苦茶弱い。寒暖差が激しかったりしただけで下手したら死ぬ。実は子供の方が(ある程度育ってしまえば)環境に対する耐性が強いまである。老人が生存し続ける事が出来る環境というのは、若者にも過ごしやすい環境であろう。可能性としてはガンなどの細胞変異系の病気は老人の方が耐性が？ある(体細胞が弱ってて、ガン細胞化しても増殖速度が遅い)可能性が高く、若者の体細胞は大変お元気なので癌には弱い(迅速に増殖して死に至る)って部分はある。
しかしそれゆーたらだな、地球みたいにオゾン層とかでガンの原因になり得る宇宙線防御してる場所から離れて宇宙で暮らすってのがそもそも無理ゲーなんですよ。A.S.アドステラ100年代にはこの辺テクノロジーの躍進により改善されてると見るべきだろう。水星は過酷でも水星の極めて近傍にある人の生活圏はそこまで過酷ではない筈だ。なんで水星の地表面で暮らしてると思ったの？　馬鹿なの？

で、実はここが水星の魔女の科学考証のガバガバ部分なんだけど……水星って地球より重力小さいのであるが、それでも惑星から衛星軌道上までモノを上げるのは大変な事なんだよね。ゆりかごの星ではエアリアルが基地から発進して地表で事故ったジジイを救出してんだけど……40トンのエアリアルを数分で衛星高度まで飛翔させるって、かなり無理だぞ(真顔)

ざっくり重力は地球の1/3ぐらいだから、H3ロケット(静止衛星高度に6.5トンの荷物を打ち上げられる)だと空気抵抗も無いし4倍の26トンぐらい打ち上げできるかな？　わぁ、H3ロケットみたいなブースター付けてもエアリアルを軌道上まで打ち上げられないや(棒)

注：かなり緩めに見積もっても、エアリアル君は単独では衛星軌道まで戻るの無理っス。ファラクト戦が舐めプになってしまう……

しかしなんかエアリアル単騎で衛星軌道上の基地まで数分で飛んだらしいのだ。

宇宙機動用の専用バックパック、要るか？

なんか、水星でパーメットリンク4の超加速使いまくって無いですかねぇ……おーこーちクンこういう部分ガバいぞ。

4.2期に向けて

こんなガバガバ設定で考察させようってのが無理筋である。水星の魔女世界は監督や脚本家の「俺時空」であり、現実世界の物理法則や科学技術と乖離し過ぎてるから悩むだけ無駄であろう。よって、考察するなら作家や製作陣の好みとか性向を主軸に考えた方が良く、ロジカルに考察するのは悪手では無いかと思う。
大体ショッキングに、視聴者に分かりにくく、視聴者が見たいものより自分が見せたいモノを優先して「考証を軽視する」って線で考えれば外さないのかなぁ、と。

これを若者向けって考えてるなら、少なくともパーメットという「元素」を考案した奴は吊るすべきであろう。現役の学生がそんなアホくさい設定受け入れると何故思えたのか。

……という事で、科学やSFマインドがダメぽな作品と理解して、その辺好きな人は「SFマインドに目隠しして」楽しむべきだと思います。キン肉マンのゆで時空や車田正美と同系ですな。

補注：
確証がいまいちないので触れなかったが、某人の珍説中の「3次元から直接5次元にはアクセス出来ない」は直感的に「無いやろ」と思いました。3次元からは2次元と4次元にしか直接アクセス出来ないなら、3次元からは1次元にアクセス出来ない事になってしまう。8次元にある物体は3次元空間に影を写せなくなるというのはなんか腑に落ちない。5ほど次元を落とすだけの話がそんなに困難なんやろか。8次元存在の3次元分には3次元空間でアクセス可能なんでは無いかい？