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ガンプラ入手が困難だから 筋彫り編

さて。初心者がガンプラに筋彫りをやってみる場合、どの辺から始めるかという話をしてみよう。

世間一般では筋彫りやモールドの少ない場所に「面の情報量を増やす」なんて理屈で筋彫り追加してる奴がいるが

盛大に間違っておる


これはデザイン初心者アルアルで、実は私も若年時に会社の広告原案作る際にやらかした。デザイナーにこっぴどくdisられたである。クライアントなのに。曰く「これじゃスーパーのチラシですわ」

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うん、上から下からデータ詰め込んでるね。ただ単に。空間恐怖症かな?

幾つか指摘したい。
まず、ガンプラとか大元のモビルスーツデザインは、一応プロがデザインしたものだ。それに対して貴方は何者か? プロデザイナーか?
ガンプラの改造というのはリデザインだ。貴方に人に誇れるデザインセンスはあるのか?
ついでに言うと、貴方の加工技術はどうか? 立体物に左右対称、均質な線を刻むだけの技量はあるのか?

例えば貴方がプロデザイナーではなく単なるガンプラ好きで、デザインセンスに自信はなく、加工技術もそんなに高く無いなら……私は「筋彫りの追加」をお勧めしない。大体すごーくテキトーな線をセンスなく書き込み、更にヘボいヨレた筋彫りをして作品完成度を下げるだろう。好きなMSの設定画を拡大コピーしてパネルラインを書き込む練習でもした方が良い。そっちは平らだから定規があればできる筈だ。定規当ててるのに線が曲がる、水平にならない、左右対称に出来ない、なんか線入れたらもっさりした……紙で良かったな。入手困難なガンプラを練習で潰す所だったね! 紙でそれなら立体物ならまともな線にならんぞ。

何故筋彫りを追加すると良さげに見えるかだが、大体立体物というのは要素が整列してると美しく見えるものなのだ。均等な幅で立ち並ぶ柱、繰り返されたパターン、垂直や直角の取れた線や面……大体こんな風になってると人は美を感じる。筋彫り追加やデカール貼りは多くの場合立体物に「要素を追加し」その整列で美しさを見せる技なんだが……それ、省略された細部の再現とかのデティールアップではなく、デティールの追加、なんだわ。

ただ何も考えずにプラ板細切りとか筋彫り追加しても「美しくは見える」(事もある)
機能性とかリアリティをぶん投げても「美しく見えてしまう」んだよ。戦闘兵器という機能性こそが重要視される世界でも、各種要素を追加したらカッコよく見える。性能はどうか知らんが。しかし実際に対弾性が必要な装甲兵器でパネルラインってのは「今は」あんま無いんだわ。特殊鋼板を溶接して作るんで、継ぎ目ないの。(ちょっと前までは戦車の砲塔とか鋳造してたりなんかした)
対弾性に限界のある航空機なんかなら分からんでもないが、火砲直撃に耐えるべき兵器が筋彫りだらけというのはちょっと頂けない。まぁリアルさは死ぬ。

そこで以下の様なやり方を提唱したい。プロの生み出した線を活かし、本来あるべき省略されたモールドを彫り直す。

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例えばHGUCジムカスタムの肩の部品であるが、概形としては前後2分割のモナカ構造だ。が、実機はどうなっているだろう? 恐らくはいくつかのパーツ(装甲板)の組み合わせで構成されているのではないか? しかしHGUCでは一体成形……これを別部品の様に見せる為の筋彫りはどうだ?

2次元の設定画では面と面の交じわる所に「線」が描かれている。この線(凹部の線」に筋彫りを入れてみましょう、と。

既存線の解釈変えだからセンスは問われないし、基本凹部がガイドになるのでヨレ難い。

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そんな感じでデザインナイフの背側を使ってシャープにカリコリする。この時接するどちら側の面に彫るかだけ注意。例えば上記の写真では胸の排気ダクト下を上に向かって彫った。その様にして食い込んでた方が可動などを仕込むのに有利だろうと考えたからだ。彫刻方向に関しては他のガンプラを参照してどんな風にパーツ分割するの確認するのもアリだろう。

この様にして「ここの分割はどんな風になっているか」考えながら彫る。ただ単に凹部(専門用語でイリズミという)に彫り込むと、実はエッジが鋭く見える。話はちょいと難しいのだが、プラモデルの射出成形の関係上、エッジ部というのはダレやすいのだ。ここに浅くでも筋彫りするとシャープな造形に見えるぞ!

将来的に何もない面に筋彫りするにしても、最初から難易度が高くセンスを要求される「デティールの追加」より、難易度低めで効果が高い「デティールアップ」から始めた方が良いかと思う。まず隗より始めよであり、最初からアムロを目指さずカイ・シデン並みに慎重に作業を進めろって話ですわ。

所が……大変残念な事に失敗する事も有るだろう。というか初心者は10中9まで失敗するに違いない。

1.勢いが止まらず引っ掻き傷付けた
慌てずヤスリがけしてリカバリーだ。

2.深めに引っ掻き傷付けた!
ちょい前に書いたプラ削りカス使ったリカバリー法を試そう。

3.指切った!
絆創膏を貼れ。

いずれも「力を入れすぎると発生する」プラ(PS ポリスチレン)は柔らかいから力を入れず何度もなぞると大吉だ。そしてこの「彫り込む際の力加減」は何もない所にガイドテープ貼って新規に筋彫り彫る時にも役立つ。是非ともイリズミだけではなく既存筋彫りモールドの彫り直しなどして勘所を掴んで欲しい。また、彫りの深さにも注意だ。ガンプラのパーツ厚みから見て0.5mmぐらいまでにしておけば良いのだが、偶に掘り過ぎてパーツ切り離してしまう猛者も居る。注意しよう。まぁ、やり過ぎたら修正だ。どーとでもなるから!

モデルに彫刻を施す。これはプラスチック模型以前の木の模型(ウッドカービング系)の頃からある技法だ。やがては皆も勘所を掴んでモリモリ彫刻する様になると思うが……何事にも踏むべき段階と、各段階で学ぶべき事がある。まず最初の一歩目で可能な限り学んで欲しい。つうか2段階目以降は(私のやり方だと)治具作りからはじまっからな!

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