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天袋の海を行く

エアコン掃除しに行ったお宅の風景。確か外見からしてお高そうなお宅であり、クリーニングするクーラーがある部屋が京壁!

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水染みると変色しちゃうんだよなー。こらぁ大変だ!と入念に養生始めた時、天袋……これも普通の襖貼りではなく組み木の格子でこれまた高そ……う……

その奥に船がいた。三本マストの木造帆船……こ……これカティーサークか?

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しょーじき私も帆船には詳しく無いが、模型趣味者として帆船模型はヴァイキング 船→サンタ・マリア号と修練を進めてから本丸である「好きな帆船」をやれる程度のことは知っている。カティーサーク辺りだとこれだけで1年、修行期間込みで3年は掛かるシロモノだし仕上がり状態から見てかなり出来は良い。(ロープの張りがキモだったよーな?)

いや正直日本丸だったかも知らんしウィンストンチャーチル……では無いよな、帆の形からして。

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そいつは静かに天袋の海を航海していた。外から見てバッチリな角度で鎮座してるし、他の荷物が無いことからも大事にされてんだろうなという雰囲気は感じた。しかし、物がモノだけにひと昔前ならサイドボードの上に展示ケース特注してドヤドヤドヤァ!するアイテムなのにこの扱いは解せぬ。こいつが居るだけで大西洋の洋上が現出して小さな船員が見えるほどの圧倒的存在感。いい出来やんけ。汚しは入れてないが凄く綺麗に仕上っとる。

て、いうか。

何でこいつ天袋に入るの? 天袋って高さ一尺ぐらいでね? カティーサークって高さ……

まさか。カティーサークの為に天袋のサイズや高さ調整した?!


あり得る話だ。天袋格子戸にしてるのは余り見ない。
聞けば、このお宅は大工の棟梁が自分の家として気合い入れて自作した家だと言う。帆船模型も恐らく棟梁が作ったモノでしょうと。

これはあくまで仮定だが、頭領は人生で培った日本家屋建築の技術を尽くして日本家屋らしい家を建てた。ご予算数千万だったらしいが、それって棟梁だからその価格で買ったら桁が一つ上がりませんか的な……で、建てる途中で「この家に西洋帆船置くの違くね?」と気付いてしまい、愛着のあるカティーサークを日本間の天袋の海に放つ計画を立てたのでは無いか?
脚立に登らないと見えないし、時間によっては光が差し込まず見えないかもしらん。たまたま私はそこらの職人同様朝も早よから……いやまて、するってーとこれは棟梁が職人仲間にさりげなく見せつけてる……

足立区のどこかに、カティーサークの棲む家がある。天袋の海を行き、朝日を浴びてなお輝く……

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趣味の一つの極みかなぁ、と。(個人情報保護のためにいくつかフェイクを混ぜています)

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!