Johnny, Be Good! (7)
「とにかくジョニー君に話しかけるのは禁止。それやるとジョニー君素直ーに周りに話しちゃうから。言葉にせず概念だけ念じたらなんとなく通じるから!」
はぁ〜い! 今日もおネムのジョニー君の中から生中継! 邪魔なのに消えることも出来ない厄介者のジョニーさんdeath!
今日はこの曲から行ってみましょう! 石川智晶さん「アンインストール」
「ちょっと聞いてるの? ジョニーさん!」
「ええ、聴いてますともジャンヌさん。ジョニー君起きそうだからそろそろ沈みますわ。まったねー……」
厳密に言えば彼も僕なんだけどね、彼の成長を鏡越しに見てきた僕にはジョニー君は甥っ子みたいなモンだった。彼に話しかけたり彼に子守唄を歌って聴かせるのはまともな外界接触が無理な僕……ジョニーさんにとっては本当に、ほンっとーに大事な時間だったんだ、分かるかい? この5年間僕は心底孤独だった。子供みたいにスネちゃって格好悪いことこの上無いけどさ、もう出てくんな的な扱いされたらそりゃメゲるわ。
「どうですかな、シスター・ジャンヌ」
「え? 何故枢機卿様がここに?」
「まさかの時に来るのが枢機卿でしてね。女神様から指令があったのです……」
嘘やろと顔を見合わせる近習とジャンヌ。信心が薄いことで知られたヒネメス枢機卿が?
「悪魔……憑きの?……人が来る。彼を…………助けて……との事でした」
なんだその疑問形?
正解は「悪魔と誤解されてる人が来るから誤解せずに助けてあげて。……おーい? 聞こえてる? 返事して枢機卿ー! …………ダメだ通じてない!」なのだが、信心が薄いが故に曖昧になった部分を枢機卿は勝手に補完した。
「きっと女神様も必死だったのでしょう」
(余りの受信精度にね! 伝わってねーじゃん!)女神は割とカンカンだ。
「しかし私が来たからにはもう大丈夫! 悪魔よ去れ!」
魚の居ない池に釣り針を垂らしても魚は釣れず、悪魔が居ないところで悪魔祓いをしても悪魔は立ち去らない。
緊張感が周囲を支配する。
(あー……えーーっと……難易度高いなぁ……)
(……とりあえず蛍飛ばすわ。後は任せたジャンヌちゃん!)
「あー! 見えます私! ほら、あそこ! 弱々しい悪魔が!」
「おお流石シスター・ジャンヌ! あれがあく……ま…?」
「悪魔です(断言)」
「え? 本当に?」
祓った本人が疑問形なの面白すぎだろ。
「流石ヒネメス猊下、透き通った信心の素晴らしさを垣間見た気がします!」
「多少霊力があるからと増長してはいけませんよシスター・ジャンヌ。ただ神に赦しを願い、ひたすらに祈るのです……」
((どのツラ下げてそのセリフ吐くかなー))
皆の(女神当人含む)ツッコミは霊的階層においてイズラフェルすらびっくりするほどの美しいハーモニーを奏でた。
「しかしシスター・ジャンヌ。まだこの子には残滓が残っている様だが……?」
(なんで見えなくていいモン見えちゃうかなー)
「それはきっと貴方の霊力ですよ」
唐突に皆の背後から大工が声をかけた。身長180cmぐらい? そして髭。Who are you?
「デェク(大工)だよ少年」
何故分かった?
「何をしに来たのだね、大工よ」
「父から教会の補修を頼まれまして。ご迷惑ですかね?」
「それはきちんと入札をして」
「これは私にしか出来ないもので」
「どれくらいかかる?」
「ちょっと時間が掛かりそうですが……」
「いや、費用だ」
ヒネメスの言葉にみんなドン引き。何故か女神は固まっている。
「……いや、その、奉仕でして…はい…」
何故かジャンヌは膝を付いて合唱礼拝。
方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!