映画の話

黒澤明を観る!④ 「影武者」感想

ぷらすです、こんばんは。
この企画も、早くも第4弾。
今回観た映画は、カンヌ映画祭でグランプリを獲り、黒澤明の代表作の一つでもある1980年公開の「影武者」です。

この「影武者」は、黒澤監督26本目の作品です。
莫大な予算をかけすぎて、途中頓挫しそうになるも、海外版プロデューサーのフランシス・フォード・コッポラとジョージ・ルーカスの助力で完成までこぎ着けたんだとか。

それだけに、馬や人の数、セットなどは今では到底考えられないほどのスケールの大きさです。
その甲斐あってか、本作は当時の日本映画の歴代映画興行成績(配給収入)
1位という大ヒットを記録したんだそうです。
確かに、TVでも頻繁にCMや特集も組まれてたのを、なんとなく覚えていますねー。

さて、この本作のざっくりしたあらすじ。
天正元年(戦国時代)『甲斐の虎』と呼ばれた武将、武田信玄(仲代達矢)には二人の『影武者』がいました。
一人は、弟の武田信廉(山崎努)、そしてもう一人は信廉が仕置場(死刑場)で偶然見つけた、一人の泥棒(仲代達矢)です。
で、ちょうどその頃、東三河で野田城を攻めていた武田軍ですが、敵は籠城。
敵の水源を止めて、勝ちは目前というある日、その様子を見に行った信玄は、敵の鉄砲兵に撃たれて重症を負い、「自分の死後三年は、その事を秘密にして領地の守りを固めるように」という遺言を残して死んでしまいます。

この、信玄の遺言を守るためには敵はおろか味方にもバレるわけにはいかないということで、泥棒を影武者として立て、信玄の死はトップシークレットに。
しかし、信玄が撃たれたという情報は家康や信長にも伝わっていて、二人は事の真相を探るためにあの手この手で揺さぶりをかけてくるが……というお話。

で、感想なんですが、正直僕には合わなかったです。
3時間と冗長な作品ですが、それはまぁいいんですよ。
ただ、ワンシーンがやたら長くてテンポが悪い感じで、どうにも流れに乗り切れないんですよね。(特に中盤と終盤の合戦のシーン)
あと、カットとカットの繋ぎがやけに不自然だったり、なにより物語のピントがどうにもズレてるように、僕には見えました。

本作は、影武者(泥棒と信廉)の視点、敵である家康と信長の視点、家臣と信玄の息子 諏訪勝頼(萩原健一)の視点で語られて行くんですが、それぞれの見ているポイントが一致してないって言うんですかね。それぞれ別の物語を見ているような感じがしてしまうんですね。(群像劇なので当たり前なのかもですが)

最初、信玄の死が敵にバレるかバレないかというストーリーかな? と思って観ていたんですが、どうもそうではないっぽい。(途中まではその軸でストーリーが進むんですけどね)
信玄という偉大な父親の影から抜けられない勝頼の反発や苦悩と、古参家臣との軋轢がメインでもない。
信玄の影武者という重圧に苦しむ二人の「影」の苦悩がメインでもない。
いや、全部描いてるんですけど、なんていうか、中心軸になる物語がない感じなんですよ。
映画全体のテーマは影武者ではなく、武田信玄の巨大な「影」に踊らされたり苦しむ人々なのかな? と思うんですけど、なんかこう統一感がないというか中心になる軸がないから物語全体がブレちゃってる感じ。
うーん、うまく言えないなー。

例えて言うなら、超頑丈な家の大黒柱が折れちゃったって、ほかの柱でなんとか支えてようとするんだけどゆっくり瓦解していく様子を観せられている――みたいな映画です。
なんていうか、どうにも掴みどころがない感じなんですよね。
物語のスケールが大きすぎて、僕の視点が定まらなかったのかもしれませんが。

ただ、主役の仲代達矢さんの演技は素晴らしいですよ。
鬼気迫る演技っていうのは、ああいう演技のことを言うんだろうなーって思いました。本来は、信玄役は勝新さんだったんですよねー。(監督とケンカして途中降板)
出来れば、勝新版の「影武者」も見てみたかったです。

どうにもまとまらない感想でスイマセン。興味のある方は是非。

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