落語の話

テキスト落語「死神」

 昔から、流行り廃りなんて事を言いますが、これは何も人間ばかりじゃなく神仏にもありまして、神様といっても中には有り難くない神様もあります。
 疫病神、貧乏神、疱瘡神、死神なんぞは、どうも人には歓迎されません。

「どうしたんだい、じれったいねこの人は。
 僅かばかりの金を算段に行って出来ずに、ぼんやり帰ってきてどうするんだい!」
「だって金がねえってんだからしょうがねえ」
「お前ぐらい意気地無しはないよホント……、ばか、間抜け、トンチキ。お前なんぞ豆腐の角に頭をぶつけて死んでおしまい!」
 散々悪態を吐かれた挙句、出てけー! ってんで、奴さん追い出されてしまう。

「あんな凄いカカァてのはないね。豆腐の角に頭ぶつけて死ねと言いやがる。
 家に居りゃぁ銭がねぇとギャーギャー言われるし、何処行ったって金は貸しちゃくれねえし、もう生きてんのが嫌んなってきちゃったな……そうだ、死んじまおう」
 さて、どうやって死のうかと考えているうちに、いつの間にか橋の真ん中。
 ふと、橋の欄干から川を眺めてみるけれど、
「身を投げるのは嫌だな。七つん時に井戸に落っこった事があるんだ。あんな苦しい思いをするくらいなら生きてたほうがいいや」
と思い直してトボトボ歩いていると、目の前に樹齢数百年は経とうかという大きな木が立っている。

「お、こりゃぁ大きな木だね。
 そうだ、首を括って死のう。だけど、これまで首括った事なんざねぇしな。どうやりゃぁいいもんかな」

「教えてやろう」

「え!?」
 不意に、木の陰からひょっと出てきた男を見ると、歳は八十以上にもなろうかという老人。
 頭に薄い白い毛がぽやっと生え、鼠の着物の前をはだけて、浮き出た肋骨(あばらぼね)は一本一本数えられる様な、痩せっ痩けて藁草履を履き、竹の杖を突くじいさん。

「教えてやろう」
「なんだイキナリ、お前さん誰だい」
「死神だよ」
「ひゃっ! あー嫌だ。それまで死のうなんて思ったこともないのに、急に死にたくなったんだ。さては手前ぇの仕業だな? あっちいけ!」
「へっへっへ、まぁそう邪険にするな。お前ぇにはまだまだ寿命が残ってる。そう言う奴は死のうたって死ねねえようになってんだ。
 それより色々相談もあるからこっちへ来い」
「やだよ! 死神と相談することなんぞねぇや」
 その場から立ち去ろうとするのを、死神は慌てる風でもなく言います。

「おいおい待ちな、逃げたって無駄だ。お前ぇは二本の足で走るが、俺は風に乗って飛ぶ。あっという間に追いついちまうぞ。
まぁ、色々話もあるからこっちへ来いよ」
「何言っていやがんだ、死神に相談なんぞしたってしょうがねぇじゃねぇか」
「死神死神と邪険に言うなよ。お前ぇと俺とは深い因縁があるんだ。そんな事は言ったってお前ぇに分かりゃしねぇから言わねえが、随分困っているようじゃねえか。だから俺がいい事を教えてやろう」
「いいことって? 死神の下請けでもさせようってんだろ」
「何を言ってやがる、死神の下請けなんてぇ商売ぇがあるか」
 と呆れ顔の死神、唐突に「お前ぇ医者になんな」と言います。

「え?」
「俺がやり方を教えてやる。
 いいか、長患いをしている病人には枕元か足元、どっちかに死神が憑く。
 足元に座ってんのは何とか脈がある。逆に頭の方に死神が座ってるのはもうダメだ。寿命がねぇんだから手をつけちゃぁならねぇ。
 そこにお前が行って、もし枕元に死神が座ってたら、これは寿命だから諦めろと言え。
 逆に、死神が足元にいたら呪文を唱えて、死神が離れれば病人は嘘のようにケロッと治る。
 どうだ、そうすりゃお前ぇは立派な医者だろ」
「呪文てのはなんだ」と聞くと、死神はまぁ慌てんなと言って声を潜める。

「いいか、決して人に言うなよ。『アジャラカモクレン、セキグンハ、テケレッツノ、パ』と唱えてポンポンと二つ手を叩く。そうすると、どうしても死神は離れなきゃならねぇ決まりになってるんだ。やってみな」
「へえ、『アジャラカモクレン、セキグンハ、テケレッツノ、パ』で、手をポンポンでいいのかい?
 あれ、死神さん? あぁそうか。呪文を唱えたから帰ぇっちゃったんだ。
へー、こりゃぁいい事を教わった」

 そう言って家に帰ったが、看板にする板なんぞないから、昨日食べたカマボコの板に「医者」と釘文字で書いて表に引っ掛けると、ものの十分と経たないうちに人が訪ねてくる。

「ごめんくださいまし」
「へい、何か用ですか?」
「こちらはお医者様でいらっしゃいますか?」
 この俺が医者に見えるかと思ったが、死神との話を思い出す。

「 あ、そうだそうだ。へえ、ここが医者ですけど、なんです?」
「手前は日本橋の越前屋四郎兵衛と申します者の手代でございます。
 実は、主人が長病でございまして、色々な先生方に診て頂きましたが、どうにも思わしくないと言うので当たると評判の易者に占って貰いましたところ、
帰り道で初めて目に付いたお医者様にお願いすれば必ず病気は治ると言われまして、それでこちら様にお願いに上がった次第でございます」
「へえ、それでアタシんトコを最初に見つけて。へえへえ、よござんす。じゃぁ行きましょう」
「いえ、先生に……」
「ああ、アタシが医者なんです」
「……」
 どうにも小汚いナリをして、とんでもない者に頼んだと思ったが、まぁしょうがないから店に連れて行く。

 これが、大層立派な大店でございまして、番頭に話をすると「まぁまぁ診せるだけなら間違いもなかろう。頼んだんじゃ仕方がない」と言うんで案内をされ、奴さんもおっかなびっくり病人の寝る奥の間に入ってみると、いい塩梅に足元の方に死神が座っている。

「お、ほほ、こりゃぁご主人治るね」
 奴さんが嬉しそうにそう言うのを聞いて、番頭さん思わず「しかし、どの先生も皆…」と言いかけるのを遮って、「治ります」と自信満々に言う。
「直せばお礼は頂けるんで? ああ、そうですかい。実はアタシはね、医者もやるが呪い(まじない)もやるんで、ちょいとお待ちください」
 そう言って、死神を見て、

「アジャラカモクレンセキグンハテケレッツノパー」

 と唱えて手をパンパンと二度打つと、死神がすっと居なくなる。
 すりと、今まで真っ青だった病人の顔色にパッと血の気が戻って
「おい、お茶を持ってきておくれ」などと言いますから、これには店の者も驚いた。

「頭からすスッと雲が晴れたようで腹が減ったな。何か食い物はないかい」
「あの先生、病人が何か食べたいと…」
「あーはいはい、何か食わしてやったらいい」
「やはり、重湯か何か…」
「いやいや、鰻でも天ぷらでも何でも、ご主人の食いたいってモンを食わしておやんなさい。もう大丈夫だから」
「では、お薬は…」
「え、ああ……お薬ね。じゃぁ渡しますから家にいらっしゃい」
 そう言って家に連れてきたはいいが何もありゃしない。

 台所を見回すと萎びた大根の葉っぱがありましたので、コイツを紙っきれに包みます。
「お待たせしました。はい、お薬」
 手代さんそれをしげしげと見て、
「これは煎じるんでございますか」
「そうそう。煎じたって構わないですよ。こう、お湯でグラグラっとね」
「それはどういう風に…」
「どういうふうでも構わない。二杯を三杯に煎じりゃいいでしょうよ」
「二杯が三杯に増えるのでございますか?」
「いや、そういう事じゃなねぇんでね、まぁ、二杯でも三杯でもいいから適当にお湯ん中ぶっこんで煮ちゃいなさい」

 なんだかよく分からないが、言われた通り大根の葉っぱの茹で汁を飲ませると、ケロッと治ったもんだから「あの先生は名医だ」と評判が立つ。
 あっちからもこっちから引く手数多。
 しかも、いい塩梅に死神が足元にいるから、呪文を唱えて手を打つとスッと消えちまって、患者はたちまち元気になる。
 たまさか頭の方に死神がいるときは、「これはもう寿命が尽きているからお諦めなさい」と言って、屋敷を出るかでないかの間に患者はコロリと逝ってしまうので、更に評判が上がる。

 今までは裏長屋でくすぶっていたヤツが、立派な邸宅を構えて、いい着物を着て美味いものを食う。
 そうなるってえと、どうも小皺の寄った女房なんぞ面白くないってんで、別宅に若いオツな女なんかを置いて家に帰らなくなる。
 ヤキモチを焼いてギャーギャー言う女房に、カカァなんざいらないからってんで、金と子供を渡して別れてしまいます。

「ねぇ先生ぇ、アタシ上方見物に一度行きたいと思っているんですよぉ」
「上方か。いいねぇ、俺も一度行ってみたいと思っていたんだ。じゃぁどうせだから家を畳んで行こう」
てんで、家を売って金にして上方に。

 金のあるのに任せてアッチコッチと贅沢三昧に歩いたが、金というのは使えばどんどん無くなってしまうもの。
 金の切れ目が縁の切れ目てんで、女の方はいつの間にかいなくなっちゃって、仕方がないから一人江戸に戻り残りの銭で一戸を構え、さぁ、俺が戻れば門前市を成すだろうと待ち構えたが、どうしたことか一向に患者が来ない。
 コッチから用を聞いて回るわけにもいかず、たまに患者があっても、死神はみんな頭の方に座ってるからお礼を貰うわけにもいかない。

 そのうちに、麹町五丁目で伊勢谷伝右衛門という、その当時指折りの金持ちの手代が主人を診てやって欲しいとやってきた。
 それきた! と勇んで行ってみると、死神は枕元に座っている。

「あーダメだこりゃ。この病人は助からない。お諦めなさい」
「そこを何とか一つ、先生にお骨を折って頂いて」
「骨を折るったって治らないものはしょうがない」
「では如何でございましょう。五千両まではお礼を致しますが」
「うーん、金を貰ったところで助からないものはしょうがないんだから、諦めとくれ」

「それでは如何でしょう。ふた月、三月でも寿命を伸ばして頂けたなら、一万両までお礼を致します」
「へ!? 一万両? そうなると何とか助けたいが……」
 奴さんウンウン唸って考えた末に、ハッと閃いた。
 番頭さんの耳元に小声でボソボソと話をします。

「あのね、病人の寝ている四隅に、気の利いた若い衆を置いてね。
 アタシがポンと膝を叩いたら、一斉に布団を持ち上げて足と頭の場所を入れ替えて欲しいんだが出来るかい?
 それが出来りゃぁ、旦那さんも助かるかもしれねぇ。
ただし、いいかい? 一回勝負、やり直しは出来ないよ」

 番頭さんも大旦那の病が治るならと手筈をして、病人様子を見ている。
 夜が更けると、死神の目が爛々と輝いてきて、病人がうーんうーんと苦しむ。
 そのうち夜が開けてくると、死神だって疲れますから、そのうちコックリコックリ船を漕ぎ出します。
 それを見て、若い衆に目配せをしておいて、ここだなと思うところでポンと膝を打つと、途端にサッと床が変わる。
 それ今だてんで、

「アジャラカモクレンセキグンハテケレッツノパー」

と早口で唱えて手を二回パンパンと打った。

 さぁ、驚いたのは死神。
 わーっ! と飛び上がるとそのまま消えてしまう。すると病人はたちまち容態が変わるというわけで、
「ありがとう存じました」
と金を届く。
 奴さん、その金で一杯やって、加え楊枝で夜道を歩いています。

「へっへっへ、ありがてぇありがてぇ。やっぱり人間てぇものは苦しい時は知恵が出るてぇ事を言うがまったくだね。あの死神の驚いた顔ったらフフフ…」
 思い出し笑いをして夜道を歩いている後ろから、低い声が掛かる。
「バカ野郎。何故あんな真似をした」
と言われて振り向くと、そこには死神の姿。

「あ、こりゃあ死神さん、どうもお久しぶりで」
「何がお久しぶりだ。まさか手前ぇ、俺を忘れてやしねえだろうな」
「ええ、もちろん忘れたりしませんよ。一番初めに助けて頂いて、あなたのお陰で随分儲かったもの」
「そうか、ちゃんと覚えていたか。それなのにあんなバカな真似をしやがって。おかげで俺は減俸だ」
「え、なんです減俸って」
「月給を減らされたんだよ。手前ぇ、恩をアダで返すような真似をしやがって……」
 どうやら、あそこにいたのは奴さんに呪文を教えてくれた死神だったらしい。ところが死神というのは皆同じ姿かたちをしているから、奴さんもそうとは気付かなかった。

「え、それじゃぁアソコにいた死神はあなただったんで? へへへ、そりゃあ申し訳ない事をしちまった。
 死神てぇのは皆同じ姿かたちだからさ、まさかあなたとは思わなかったんだよ。それじゃぁね、アタシが貰った金から幾らかあなたに上げるから、それでひとつ勘弁しとくれよ」
「何を言ってやがる……。まぁ、やっちまった事はもうしょうがない。
俺と一緒に来な」
「え、嫌だよぉ。着いてったら大勢の死神が待ち構えてて、吊し上げようってんだろ? 勘弁しとくれよ、ねぇ、金は出すからさ」
「いいから、俺と一緒に来い」
 有無を言わせぬ死神の迫力に、奴さん、仕方なくトボトボついていきます。
 しばらく歩いてやってきたのは、いつか首を括ろうとした大きな木の根元。
 見るとそこにはポッカリと虚のような穴が開いていて、下に向かって階段が続いている。

「さぁ、ここを降りろ」
「え、何だいこの穴は。嫌だよぉ、こんな気味の悪いところへ降りるなんて。  ねぇ、金は半分上げるよ。だからさ勘弁しとくれよ。あなたとは知らずにやったことなんだよ」
「いいから降りろ」
「降りろったって、中は真っ暗じゃないか。こんなところ歩いたら転んじまうよ」
「大丈夫だ。俺の杖に掴まって降りて来い」
「え、この杖に捕まってって、ちょっとちょと待ってくださいよ。そんなに引っ張ったら危ない、危ないよ」
「ビクビクする事ぁねえ。さっさと降りろ」
 死神の杖に引かれて、真っ暗な階段を下りていくと、やがて明るい場所に出ます。

「ほれ、これを見てみな」
「ありゃ、随分ロウソクがたくさんあるね。何ですこりゃ」
「これは全部、人に寿命だ」
「なるほど、昔から人の寿命はロウソクの火のようだなんて例えはよく聞いたもんですが、随分どっさりあるもんですね。
 長いのや短いのや色んなのが……、あ、ちょいとちょいと、ここにおそろしくロウが溜まって暗くなってるのがありやすね」
「そういうのは患っている。ロウを取って、炎がまっつぐに立てば病は治る」「へー、なるほどねー……、お、ここに随分長くて威勢良く燃えてんのがありますね」

「それはお前ぇの倅だ」
「奴ですか。奴ぁ随分長生きなんですね。その隣に半分位になって威勢よく燃えてんのがありますよ」
「それがお前ぇの元のカミさんだよ」
「ああ、カカァですかい。やっぱり奴も長生きをするんですね。
 おや、ここに随分短くなって今にも消えそうなのがありますね」

「それがお前ぇだよ」

「え?」
「お前ぇの寿命だよ」
「だ、だってこれ、今にも消えそうじゃないか」
「消えそうだな。消えた途端に命はない。もうじき死ぬよ」

「お、脅そうたってダメだよ。だってお前さん、初めて会った時に、お前にはまだ寿命があるって、そう言ったじゃないか」
「俺は嘘はつかねぇ」
「だってほら、い、今にも消えそうだよ」

「お前ぇの本来の寿命はこっちにある。この半分より長く威勢良く燃えているのが、お前の寿命だ。それなのに、お前ぇは金に目が眩んで、寿命を取っ替えたんだ」
 死神が目を細める。
「フフフ、可哀想に。お前ぇもうじき死ぬよ」
「そ、そんな事知らなかったんだよ。なぁ、金は全部お前さんに上げるからさ、寿命を元に戻しとくれよ」
「もうダメだ」
「そんな事言わねえでさ、なぁ頼むよ死神さん、死神様、しーさん」
「何がしーさんだ。いっぺん取り替えちまったものは二度と元には戻せねえ。
死にな」
「そんな不人情なこと言わねえでさ、か、金なんかもういらねえからさ、だから頼むよ。もういっぺんだけ!」
 そう言って奴さん、死神に手を合わせます。
 それを見た死神、呆れたように足元に転がる燃えさしのロウソクを拾い上げると男に渡す。
「しょーのねえ野郎だ。ほれ、ここに灯しかけがある。これとその消えかかっているロウソクを繋いでみろ。上手く繋がれば助かるかもしれねえ」

「ありがとう、ありがとう」と涙ながらに礼を言って、ロウソクを受け取ると、消えかけのロウソクを手に取ろうとしますが、これが短くて中々摘めない。

「早くしないと消えるよ」
「き、消えるったって、こんなに短くなっちゃってるんだもの。摘むったって中々摘めないんだ……」
 ようやく、地べたからロウソクを剥がして手に持つと、燃えさしに火を移そうとするが、手が震えて中々移せない。

「どうした、何を震える。震えると消えるよ」
「そ、そんな事言ったって、身体の野郎が勝手に震えるんだからしょうがねえじゃねえか」
「震えると消えるよ。消えると死ぬよ」
「黙ってておくれよ! お前さんが消える消えるてぇから、尚こっちは震えて上手くいかねえよ」
「ほら、今にも消えそうだ。フフフ、早くしな。死ぬよ」
「う、うるせえ! 黙ってろ!」
「ほら、早くしな。早くしないと消えるよ。フフ、フフフフフ……ほら早く。
もうすぐ消えるよ、ヒヒヒ、消えるよ、消える、消えるよ、ヒヒヒヒ………」
「うるせえ! つけ! つけ! つけったらつけよ、こん畜生!」
「消える、消える。死ぬよ、死ぬよ。ほらもう消えるよ。ヒヒ、ヒヒヒ……」
「あぁ、消えちまう! 消えちまう! あぁぁ……」


 ほら、消えた。


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今、アニメの方も大詰めに差し掛かっている「昭和元禄落語心中」で、八雲と与太郎の出会いとなり、その後も事あるごとに物語の大切なシーンで登場した古典落語「死神」です。

元は、グリム童話の第二版に収載された『死神の名付け親』という物語を、幕末期から明治期にかけて活躍して多数の落語を創作した初代、三遊亭圓朝が落語に直して高座に掛けたのが最初だそうです。

今回は、六代目 三遊亭圓生さんの噺をテキストに書きおこして、読みやすいように少し手を加えたものですが、落語では「ほら消えた」と死神が言った後に、演者がバタンと前に倒れて終わるのがスタンダードなパターンのようですね。(舞台を暗転させて「ほら消えた」というパターンもあります)

死神を退散させる呪文は「アジャラカモクレン、○○、テケレッツノパ」の他にも流派や演者によって色々なバージョンがあって、圓生さん自身もその時節で話題になった名前を○○の部分に当てはめていたようです。

怖い話ですが、普遍的な人間の業の深さを描いていて、だからこそ古典として今も残っている演目の一つなんでしょうね。

ではではー(´∀`)ノシ




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