オールドボーイ(2004) 感想

本国では2003年。日本では2004年公開の韓国映画。
原作は、1996年から1998年に「漫画アクション」で連載された漫画『ルーズ戦記 オールドボーイ』(土屋ガロン(作)/嶺岸信明(画))
第57回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリ、第37回シッチェス・カタロニア国際映画祭ではグランプリ受賞と、世界的に評価された。
監督はパク・チャヌク、主役のオ・デス役はチェ・ミンシク。

あらすじ

ごく平凡な生活を送っていたはずの男、オ・デスはある日、突然誘拐され15年間監禁された。
気の狂いそうな監禁生活が15年になろうとした頃、デスは脱走を計画。もう少しで成功というところで突然解放される。
その後、デスは自分が監禁された理由を解き明かし犯人に復讐するために奔走する。

TSUTAYAで、あの特徴的なパッケージを見た時からずっと気になってたんですが、後味の悪い内容だという事前情報もあり、ずっと観るのを躊躇してたんです。

でも、思い切って観て良かった。この映画超面白いです。
いや、北野映画的な「ぎゃー痛い痛い」というシーンは盛りだくさんだし、ラストの主人公デスの決断は賛否の分かれるところだと思いますが。

この映画は、人間の残酷性や暴力性に焦点を当てて容赦なく描いていく、いわゆるコリアノワールの元祖とも言える作品です。
で、それらコリアノワールの映画郡に共通するテーマというか、その根底にある物としてキリスト教的な思想を、僕はこの映画にも感じました。(って言えるほど観てませんけどね)

つまり『罪と罰と赦し』かな?

まず驚いたのは主人公オ・デスを演じるチェ・ミンシクさん。
DVDパッケージでは、かなり精悍な顔立ちでしたが、映画の最初では、ふっくら小太りの普通のおっさんなんですよね。
そんな普通のおっさんデスが酔っ払って交番か警察署に捕まってるところから物語はスタートします。
ここで、感心したのがチェさんの酔っぱらいの演技。
「あー、いるわー」っていう、質の悪い酔っ払いそのもの。
特に素晴らしかったのは、最初普通に喋ってたと思ったら突然声のボリュームが上がるトコ。街中で仕事してたとき、こんな人たくさん見ましたw

それで、友人がデスを引取りに来て奥さんに電話している隙に、デスは突然何者かに誘拐され、そこから15年間監禁され続けるわけですが……。

最初は混乱し、みっともなくわめき散らしたり、あまりの孤独に体の内外を蟻が這い回る妄想を見たり、テレビと会話したり、奥さんが殺され、自分に犯人の容疑がかかっていることを知ったり。
そして、ある日を境にデスは脱走を企て、そのために体を鍛え、部屋にある道具で、脱獄犯よろしく壁をくり抜き外に出ようとします。
で、この間に画面の中のデスは、どんどん痩せて逞しくなっていくんですね。
ここ、時間の進行に合わせて実際にチェさんが痩せて言ってるのか、それとも逆撮りで痩せた状態から太っていったのかは分かりませんが、どちらにせよ役者さんって凄いなって思いました。

で、いよいよ明日には脱獄計画が成功っていうその夜に、催眠ガスで眠らされたデスは突如解放されます。
そしてテレビで見た寿司職人の女の子と出会い、復讐のために一緒に犯人と自分が監禁された謎を探っていくわけです。

その中で、自分を監禁した組織を突き止め、トンカチを武器に闘ったり、拷問したりされたり、追い詰められたりするわけですが、物語の縦軸として『誰が、なぜ』の謎解きの過程と映像的な驚きで、観客をグイグイ引っ張っていく監督の手腕は素晴らしいです。

また、ずっと重苦しい展開なのかというとそんなことはなくて、随所に思わず笑っちゃうシーンも多々あってちゃんと息抜きが出来るように作られてます。監督はその辺のバランス感覚もいい人なんだなって思いました。

そして全ての謎が明かされてからの結末は、実際に映画を観ていただきたいです。賛否両論ありますが僕は「あー、そうなっちゃうかもなー」って思いました。

暴力が前面に出てる映画ですし、結末のモヤモヤ感も含めて、万人にオススメできる映画ではないですが、僕が見た何本かの韓国映画の中ではダントツに面白かったです。

機会があれば是非。

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