FURY / フューリー(2014) 感想

#映画

第二次世界大戦中の米軍甲連隊を描いたアメリカ映画。世界で唯一駆動可能な本物のティーガーI戦車を使った事が話題になった。
監督はデヴィッド・エアー、製作総指揮&主演はブラッド・ピット。

あらすじ

1945年4月、連合国がナチス・ドイツに最後の攻勢をかけようとしていた。
そんな中、戦闘中にドン「ウォーダディー」コリアー(ブラピ)が車長を務めるM4A3E8シャーマン「フューリー」号の副操縦士が戦闘中に死亡。
その代わりに配属されたのは、実戦経験のない若者ノーマン・エリソン(ローガン・ラーマン)だった。

最初は、ドンを始めとした「フォーリー」クルーに反感を抱くノーマンだったが、共に戦ううち、徐々に打ち解けていく。
しかし、軍上層部からの命令で目的地に向かう途中、ドイツ軍のティーガーI戦車と遭遇。
5台いたシャーマン部隊は、「フューリー」一台だけになってしまう……。

とにかく、2時間14分の間、ずっとシンドい。
観客は新兵ノーマンの目を通して、戦争の理不尽さや、いつ死ぬか分からない緊張感、徐々に戦争に沈んでいく感覚をこれでもか!っと見せ付けられる。

配属されてイキナリ、前副操縦士の「身体の破片」が飛び散るタンク内の掃除から始まり、初陣でナチの少年兵を撃たなかった所為で味方が死に、投降したドイツ兵をドンに無理やり処刑させられる。
まるで、無理やり生皮を剥がされるみたいに、人間性を一枚づつ剥がされていくノーマン。
それを強要するドンは、文字通り「鬼軍曹」のように描かれるんだけど、彼は彼で、軍人として、車長としてクルーを死なせないという強い思いがあっての行動だというのも、前半でさらっと触れてる。

ナチを退け占領した街で、アパートに女性二人を発見したドンは、ノーマンを連れて彼女たちの部屋に。
すわ、また酷いことをさせるのか!? と思ったら、ドンの態度は非常に紳士的? で、若い方の女の子エマ (アリシア・フォン・リットベルク)とノーマンがいい感じなのを見て、女性二人に物資を渡し、ノーマンに初体験させてやる。

女の子もノーマンの優しい態度に心を開き、二人は結ばれて、その後、ノーマン、ドン、二人の女性は静かな時間を過ごす。
ドンも本来はノーマン側の人間なのだ。

そこに、ほかのクルーがドカドカ乗り込んできたことで、雰囲気はぶち壊しになり、エマは怯え、ドン、ノーマンと二人のクルーの間に険悪な歩に気が流れる。
しかし、女性にの作る食事をしながらクルーの一人が語るエピソードで、それぞれ戦争の地獄を見てきたという事が語られ、彼らもまた戦争に飲み込まれたのだと分かる。

その後、次の作戦のために女性のアパートを後に準備をしていると、ナチの攻撃が。
その攻撃がアパートを直撃、二人の女性は死亡する。
そんなナチの非道に対して怒りに燃えるノーマンもまた戦争に沈んでいくのだ。

そして、最後の作戦へと進んでいくんだけど、上述のシーンあたりからナチの非道も徐々に描かれるようになり、観客もそれに応じて、「フューリー」クルーに感情移入するような作りになってる。
つまり、この映画はどこまでもノーマンの視点なんだよね。

この映画で、戦車を使っての戦闘シーンは何度か出てくるんだけど、その描き方は実に丁寧で手際がよく、戦車がどうやって動き、敵を攻撃するのか、素人にも分かるように内部のディテールも描かれている。
また、敵重戦車のティーガーとの超近距離戦は緊張感と迫力があって、もう、男子なら「うぉぉぉぉ! カッケー!」ってなっちゃう。
それまでずっと戦争のエグいシーンを見せられてるだけに、この瞬間はホント心の置き場所に困るんだよね。

まぁ、そのへんの興奮状態もノーマンにシンクロしてるわけで、くそう、上手いなーって思っちゃう。

俳優陣の演技も、撮影に入る前に実際に軍隊で特訓しただけあって、滲み出る軍人感っていうか、セリフや表情の「圧」が凄い。
「俳優が兵隊の演技をしてる」っていうより「兵隊の俳優」って感じで、戦闘シーンや立ち居振る舞いがリアルに見えるんだよね。(実際の兵隊は見たことないけど)

ただ、あえて言えば、ラストの方はブラピやクルーメンバーが少々ヒロイックというか、叙情的に描かれ過ぎな感じがしなくもない。
ただ、うーん。それは劇映画としては仕方ないのかな。

全体のルックやディテールもリアルで丁寧だし、ストーリーも上手くて凄くいい映画だと思う。
ただ、それだけに、しばらくは観たくないなぁ。
そんな映画だった。

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https://note.mu/purasu/n/nb98c1c6ade27

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