プラモ・ウル・ラピュタ
高校の時に憧れていた先輩と付き合った時の思い出
貧乏だった時の話
ダメな男とバカな女の話
認めたくなかったし認めなかった。 近くの細かい物が、文字がぼやけることを。 老眼鏡を買うにはまだ早いと。 でも同い年の友達がなんの抵抗もなく、セリアで買ったと言う老眼鏡を使用しているのを見た時に、自分の変なプライドが崩れた。
ずっと取りそびれていた中型バイクの免許を取得した頃のこと。 ものもらいになったある夏の金曜日。 仕事が終わった後、前から約束をしていた友達に電話をした。 「今仕事が終わったよ、何時に会おうか?あ、ものもらいになってちょっと目が腫れてるけどいいよね?」 子供の頃から何回も繰り返しているものもらい。経験上1度も人にうつしたことはないので、すっぴんだけどいいよね?くらいの気持ちで言った。 「え?いや、うつったら困るから今回はやめとくね」 と電話を切られた。 そんな…人
3月の私の誕生日さえ無視された4月。 何かのきっかけで怒らせ、また音信不通になった後、気まぐれな彼から連絡が来て、知らない土地のオシャレなBARに私たちはいた。 「美味しい!こんな美味しいの食べたの初めて!」 彼は「初めて!」と感動すると喜ぶ。 嫌われないように、怒られないように、何が正解なのか本当に分からず、ビクビクしながら必死に彼が喜ぶ言葉や動作を学んだ。 BARを出て外で少し話してると、急に彼が怒り出した。 もしかしたら最初から怒っていたのかもしれない。
完全なアウェイな3月の雪山にて。 彼は…リフト券をコンビニで買っておくなんて教えてくれなかった。 知り合いのいない、彼の仲間の中でアウェイな私には、彼しか情報を教えてくれる人がいない。 悲しかった。 例えただの友達だったとしても気をつかって話しかけてくれたり、分からないことは教えてくれるでしょう? 悲しみと怒りを抑えて 「あー!そうだったねー!お腹すいて朝ごはん買うのに夢中でわっすれてたー!」 精一杯天然の振りをする。 養殖の私は本当に惨めだった。
本来の目的の雪山に連れて行ってくれた3月。 スキー場に着く前のコンビニで車が止まった。 みんなサンドイッチやおにぎりを選んでる。朝ごはんでも買うのかな? 私はパンを買って車に戻った。 スキー場に到着した。 着替えた時、みんなリフト券を持っていた。 「ねえ、リフト券いつ買ったの?」 道中、車の中で話をした女の子に聞いた。 「え?さっきコンビニで買ったよ?」
友達とよく雪山に行ってスノボをしていた3月。 「オレの仲間とスキーに行こう」 連絡先を交換した本来の目的を忘れてなかったんだね…。 でも出発する2時間前に言うなんて、本当に都合のいい女だね私は。 それでも急いで支度をし、1時間かかる彼のマンションに向かう。 「あ、オレの仲間にはお前は友達って言ってあるから」 なんで??
たまに会っても映画デートばかりな私たちの2月。 おかしいな。 これが惚れた弱みか。 返事を焦らしていた頃とは全く立場が逆転していた。 急に連絡が取れなくなる彼に振り回されながら、ずるずると続いている関係。 平気で電話を無視するくせに、夜に会うと寂しいと言って帰してくれない。 悪い男にどっぷりとはまっていく悲しい女。
自宅でひたすら連絡を待つ1月。 「もしもし…?」 正月休みが終わり、会社に行き始めた頃、突然彼から電話が来た。 とにかく心配したこと、不安だった気持ちを訴えた。 「それで?どうするつもり?別れるの?」 もうはっきりさせたかった。 もうウジウジして時間を無駄にはしたくなかった。 「そんなつもりないけど?」 悪びれた様子もなく言い放つ彼。 なんて顔の良い悪い男…
自宅にて1月の寒さと切なさを思い知る。 年明け早々彼と連絡が取れない。 電話は何回鳴らしても出ない。 メールを送っても返事はなし。 彼とは年末まで数回デートを重ね、てっきり初詣も一緒に行くものと思っていた。 これが彼に翻弄される序章とも知らずに。 ただただ不安で連絡を待つ日々が続く。
映画デート12月別の日の車の中。 「そうかー、まだダメかー、」 「そういや…実はオレ、勉強会で他にも可愛いなーと思ってる子がいるんだよね」 何!そんなの初耳! すでに好きになりかけてた私は急に焦った。 この伊藤英明に似てる顔が良い彼をその子に取られたくない! とっさに、やっぱり付き合おう!と言ってしまった。 負けた。 ニヤリとした彼の作戦勝ちなのか。 それとも本当にもう1人狙ってた子がいたのか。 どっちにしろ呆気なく私は彼に落ちた。
映画館デート12月①の次の日 おかしいな。 思わず断った彼と次の日にまた映画デートをした。 相変わらず彼は付き合おう?と言ってきてくれる。 駆け引きなど出来ないはずの私は、私のくせにYESの返事を焦らしている。 「まだお互いよく知らないし、好きかどうかも分からないし」 どの面下げて言っているんだ私は。 大した恋愛経験もないくせに。 しかし 年上の彼の方がうわ手だった。
映画館で初デートした12月。 「オレ、お前がいるから手話の勉強会に行ってたんだよ?」 2人で映画を見終わった後、もう少し話そうよと誘われた車の中。 顔が良い。 伊藤英明に似てる男にそんなの言われると、もう何も考えられなくなる。 その後すぐ付き合おうと言われ、頭が真っ白になった私は思わず断ってしまう。 顔だけで即答しなかった真面目な私。 どっちみち好きになるんだからYESと言っておけば良いのにバカだなと思う私。
すっかり寒くなった手話の勉強会12月のこと。 当時スノボにハマっていた私は、ファンスキーをやると言う彼に、今度雪山に行く時は誘ってくださいと言って連絡先を交換した。 その後すぐに彼から連絡が来た。 「今度、2人で会おうよ」
手話の勉強会、新年度の4月 初めて役員になった会計係の私は、会員のみんなから会費を徴収する。 伊藤英明に似た彼も珍しく4月の勉強会に来たので、ちょっとドキドキしながら、すぐに徴収に向かう。 初めて彼と会話をした。 1分にも満たないあっという間の時間だったけど。 それからたま~に来る彼と、少しずつ話せるようになった。
手話の勉強をしていた時のこと。 彼の存在は知っていた。 手話の集まりにはほとんど来ないけど、仲間の女子から木村拓哉似のかっこいい人がいると聞いていたから。 初めて見た時は (ほんとだ、かっこいい) くらいの感想だった。 個人的には木村拓哉より伊藤英明に似ていると思ったけど。 彼を初めて見た次の年度、私は手話の勉強会の会計係になった。
もうすぐ20才になる19才の冬 人生でたった一度の成人式が終わった数日後、彼から電話があった。 「ごめんな、成人式のお祝いするって約束…守れなくて」 当たり前だ。とっくに私たちは別れているのだから。 「私の振袖姿…見たかった?」 何かを期待して聞いてしまった。 彼は少し黙った後…小さく口ごもるように呟いたかと思うと、じゃあと電話を切った。