見出し画像

雨だっていい

 息子は小さい時から、雨が大好き。

 雨の日は少し窓を開けて、その傍でじっと耳をすませば傾けている。


 はじめはそれが何だかわからず

「おーい、何やってるのー?」と尋ね、


「ぼく、雨の音聞いてるの」といい、じっと外を見ている。

 

 また別の日には、雨が降る中、ウッドデッキで

じっとしている。



 ああ、無粋なわたしよ、そっとしておけばよかったな…


 濡れるから、雨は避ける。

大人になって、わざわざ雨の中に傘もささずに出ることはそんなにない。


 今日は雨予報だけど、どうしても苗を植えてしまいたくて、何となくはじめてみた。

 降ってから、考えよう。


 借りている畑に行き、途中になっていた畝作りをスタートして、レモングラスやエキナセアを植える。

何度も想像して、紙におこしたように植える。

梅雨が終わる頃には、違う景色になっているはず。


 片付けて、家に戻り、庭に植える分の苗も植え終わった頃、小雨が降り出した。

植え終わったのだけど、家に這入りたくなくて

ローズマリーの剪定や梅の剪定をした。


 雨を気持ちよさそうに受ける植物。

それを見て幸せになる。

そして、自分も一体になったかのような感覚になる。

しっとりした外の空気に草のにおいが混じる。


 何とも気持ちいい瞬間。



 その時、少しだけ息子の雨に近づく感じがわかったかもしれない。


 でも、大人は風邪ひいちゃうよ、とか言いたくなる。


事実、身体はしっかり冷えている。

温かいハーブティーを飲もう。


 息子の感じがわかってよかったな。

それを踏まえて、声をかけよう。

 

そして、冷えたなら、温まる術を伝えたらいい。


 小さき1人のひとと、またひとつ豊かな関わりができそうで
今、マグカップを持つ手も心も、ほっこりしている。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?