えっちゴゴロはみんなにあるのか

 小学2年生のときに急にクラス全員の女子から総攻撃を喰らった。当時男子の中で一番小さくか弱かった私は簡単に殴られ蹴られた。メソメソ泣けば、暴力女に「男のくせにっ!」と言われてしまった。

 あとから知った話だが私に恋した女子が、クラス全員に優しかった私を独占できないことをに耐えられず、女子を暴力で従え私をいじめ始めた。女子全員と男子の半分くらいが敵に回った。いままで女子の大半と一部男子かわいいかわいいともてはやされていたのが一気に反転。強い者は私を殴り、賢い者はテストの点でマウントを取り、口達者な者は言葉巧みに色々聞き出しては噂を撒き、そうでない者は私を無視して遠くから見ていた。(いやかわいいともえはやされた頃だって思い返せば多くの人はネタ的に消費していただけなのかもしれないのだが)

 今まで女子と仲良くしていたことが仇となる。いじめが始まる直前くらいに「〇〇ちゃんのこと好き?」と複数名の女子の名前を聞かれて、当時恋愛の概念がな質問の意図がわからぬまま「好きだよ」と友情的な意味で答えるとなんだか周りがニヤニヤし始める。思えばその時点で何らかの標的にされてることに気づくべきだったかもしれない。だが当時のまさいぬさんには皆の悪意に気づけるほど賢くなかった。なにやら「まさいぬさんは『えっちごころ』があるから女子と仲良くしてたんだ」というウワサが流れまくる。そんなこと言われても当時えっちの概念がわからなかった。私にえっちごころが芽生えるのはそれから9年後の17歳まで待たなくてはいけない。しかも対象は男である。まさにとんだ勘違いである。

 それから母親に相談したところ……
「みんな『えっちごころ』があるってからかうんだ。ぼくはえっちってなんなのかよくわからないのに。『えっちごころ』ってなんなの?」
「まぁ……えっち心は大人になれば多かれ少なかれみんな持っているんだから変なことじゃないよ。」
えっち心とは何かという問いがスルーされているものの、その言葉に少し安心した。

 それから何度もまさいぬさんはバカでえっちという話で持ちきりになる。ある日否定するのも無視するのもしんどくなって一言「えっち心はみんなにあるっていってたもん!それを変態だっていうのが変なんじゃん!」そしたらクラス全体が一瞬静まり返った。その後クラスは大騒ぎ。私にそんなことないと言う人、それでもまさいぬって変だよねそうだよねと確認し合う人。まさいぬはえっちだと言う声がクラス中に溢れた。

その影響があったのかなかったのか、下ネタはおろか恋愛話を20歳くらいまで一切しなかった。そういうことを言うと下品で下世話な人の興味を引いてめんどくさい事が起きるような気がしていた。30で初えっちだ。あの日騒いだ人の9割は私より早くえっちごころを持って私より早くえっちをしたのだろう。そんなまさいぬさんも今では「ぺろんぺろん」「男の人とお休みしたい」とツイートしては、別の意味でえっちなひと扱いされてる……きがする。

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