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CDレビュー グレン・グールド『ゴールドベルク変奏曲』(約500字)

グレン・グールドが1955年に録音したバッハの『ゴールドベルク変奏曲』です。晩年の録音もありますが、私はこちらの方が好みです。

いろいろなクラシックのレコードの中で最も好きな一枚です。他のピアニストが演奏すると優雅で繊細になりがちな曲を、グールドは自由に伸びやかに
演奏しています。美しいものがとめどもなく溢れだしてくるような演奏の中に身を浸していると、心が浄化されます。

グールドの演奏から伝わってくるのは純粋な喜びです。素晴らしい曲を弾くことが嬉しくてたまらない、と言う感じを受けます。小さな子供が夢中になって遊んでいる時の嬉しさと似ています。自分の技量とか他人の評価とか、そういうものは一切忘れてただただ無心に弾いている感じが伝わってきて、聴いている方も嬉しくなります。

音楽を含めた芸術の核の部分には喜びがあるのではないかと思っています。このアルバムはそれを体現しています。よく知られたことですが、この録音にはグールドの唸り声が入っています。失礼ながらこれは結構可笑しいです。同時にこの天才的なピアニストに親近感を覚えてしまいます。この唸り声も夢中になって遊んでいる子供の歓声と同じです。



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