日記1



私は私の体型が好きだった。
シンデレラ体重というほど痩せてはいないが、太りすぎてもいない中間のこの体型が。
特に不自由も感じていないし、たまにちょっと痩せてみたいなあと思ったりすることもあるが、それでもこの体型を恥とは思わなかった。今までは。
 「肉付きがいいねえ」
知人Aに言われた。この場合の肉付きとは、太ってるねとゆうことなのだろうか。違うと思いたいがきっとそうゆうことだろう。

この一言から私の見える世界が少し変わった。
普段何気なく食べている食べ物も、これを食べたら太るだろうかと考えて喉を通らなくなった。周囲の人間も私の事を太っていると思っているのではと、疑心暗鬼になった。
他人の一言でここまで世界が変わるのか。私は私の事を少しずつ嫌いになった。20年付き合ってきたこの体型の全てが恥ずかしく思えた。
言葉とは恐ろしいものだ。あの一言で呪いがかかったかのように心が重苦しい。

私はどうすれば良いのだろうか。もう2度と好きな食べ物を楽しく食べられる気がしない。いつかできる恋人とデートで食事をしても気になるのはカロリーや糖質ばかりになるのではないか。友人との楽しいランチも、家族団欒の晩ごはんも苦痛の時間になる。

 あなたが私に放った一言は、それだけ強力なもの。私はあなたに聞きたい。あの時なんて言えばよかったですか?何て返事が欲しかったんですか?知り合って数年経ちますが、いつからそう思っていましたか?心の中ではずっと思っていましたか?そして私に言った時のように心の中では笑っていましたか?
もう2度とこの体型を好きにはなれない。この先の人生どんな体型になろうと好きにはなれない。そんな気分。

 お願いだから、他人の体型についてはどんなに仲が良かろうとも口出ししないでほしい。相手の人生が狂うことだってあるのだから。もう遅いけどね。

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