見出し画像

徒手療法を学ぶ前に知って欲しい「触る」ことの本質について

どーも、あんどぅです。

今週はゲストライターでございます^ ^

僕は理学療法士って目と手(観察と触診)が大事だなーって思うんですよ。さらに言うと触診においては医療系資格の中では最も優れているのでは?と思っています。

そんな触診の手前の「触る」と言うことについて、八木大樹さんにめちゃくちゃ深く書いていただきました!!!!


それでは、バトンタッチしまーす!!



あなたの中で「当たり前」が出来る前に読んで下さい

新人のみなさんは、そろそろ職場にも慣れてきて、患者さんのリハビリにも少しずつなれてきた所でしょうか?

この記事は、そろそろ何か新しい手技を勉強したいと思っている若手セラピストには特に読んで頂きたい内容になっています。

今回は「徒手療法を学ぶ前に学んでほしいこと」と題して、主に触ることについて、書籍や今までの経験などから僕自身が学んだことや、感じたことを踏まえてお伝えしていきます。

今回の内容はよく言われる「触診は大事」というような内容ではありません。それよりももう少し根本的な内容になっております。

みなさんの今後の臨床に生かしてもらえたら幸いです。



触ることの意味

触れることのメリットの一つにラポールが構築しやすい事があると思います。
ラポールの構築は、その後のリハビリの効果に影響を及ぼすため非常に重要であると言えます。

なぜ触る事がラポール構築に重要なのか。それはパーソナルスペースとオキシトシン、副交感神経の観点から説明できます。



「触る=パーソナルスペースが0になる」こと

まず触れるということはどういう事かというと、患者さんとセラピストの距離が限りなく0に近づくという意味を持ちます。これはパーソナルスペースが限りなく0になるのと同義になります。

パーソナルスペースとは、個人が持つ「入られたら不快に感じる間合いのようなもの」で、誰でもパーソナルスペースの広さに差はあれど、この内側に入られると不快感を感じやすくなります(図1参照)。
患者さんとの関係性が良好であればこの不快感はかなり減らす事が出来ます。

スクリーンショット 2020-05-04 22.24.33

逆に不快感なくパーソナルスペースので中に入る事が出来れば、自分を受け入れてくれたということになります。これは関係性を構築する上で非常に重要な役割を持つと思います。



触る事で身体に起きる変化

触ることで快刺激が入力されると、副交感神経が優位になり、オキシトシンが分泌されます。

自律神経系は主に生物の生存に関与しており、身の回りの環境に応じて段階的に優位になる神経活動が変わります(図2参照)。階層が上がるほど、安全であり、安心している時に活発になります。

主にトラウマの治療を行うための理論で、ポリヴェーガル理論と呼ばれるものがあります。

ポリヴェーガル理論によると、副交感神経は大きく、有髄のもの(腹側迷走神経)と無髄のもの(背側迷走神経)があり、有髄の副交感神経は主に哺乳類からの持つ神経回路で、リラックスしている時や、社会性を持って活動している時に働いています。反対に無髄のものは爬虫類から持つとされており、身の危険が生じた際に「死んだフリ」を行い、身体を苦痛から守ろうとする反応を起こします。

スクリーンショット 2020-05-04 22.22.22


オキシトシンは主に、出産後の授乳時などに分泌されるホルモンとして有名でしたが、近年では「絆ホルモン」とも呼ばれ、自分と親しい人を他の人と識別する際などに分泌され、関係性の構築などに必要なホルモンだと言われています。
このホルモンも副交感神経が優位になることで分泌されると言われています。

猿など他の社会的行動を営む動物では、お互いに毛繕い(グルーミング)を行うことで、信頼関係を築き、集団行動を円滑にしているとされています。

このメカニズムには先ほどの有髄の副交感神経が関与していると考えると、我々も他者に不快感なく触られることで有髄の副交感神経が優位になり、オキシトシンが分泌されると、社会性の高まりや相手との絆が深まると考えられます。

相手との絆が深まれば、ラポールも構築されやすくなるということが言えます。



触る前に意識するべきコツ

次からは実際の触る時や触る前に必要な工夫を紹介していきたいと思います。
徒手療法に限らず、リハビリを行う上で私自身も特に注意している部分になるので、是非参考にしてみて下さい。


・「見る、話す」を切らさない

実際に徒手療法を行うまでの流れは
「患者さんに近づく→触る→徒手的介入」
という順番になります。

まずは患者さんに不快感や圧迫感を与えずにパーソナルスペースに入る事が必要です。

ここから先は

2,486字 / 5画像

2020年9月までの過去の100本以上の記事はいつ購読開始して頂いても読めます。 2020年10月からの記事は入会月より継続購読している方のみ読めます。単品だと390円ですので、こちらの方がお得になっております!

あんどぅコラム from physio365

¥480 / 月 初月無料

あんどぅの雑多コラムです。毎週1本更新!! 主にphysio365の私の記事をこちらにも載せていきます!他のメンバーの記事も読みたい方はお…

・365日理学療法に関する情報をお届け! ・過去コンテンツ!1000コンテンツ以上読み放題! ・コラム・動画・ライブ配信であなたの「知りたい」をお届け!

365毎日お届けするマガジン!現在1000コンテンツ読み放題、毎日日替わりの現役理学療法士による最新情報をお届け!コラム・動画・ライブ配信…

サポートはいりません!!それでも少し…という方がいらっしゃれば、シェアという無料でできるサポートをお願いいたします^ ^