浮力

「浮きをかける」

武術で時々耳にする言葉。

浮くって、私は幽体離脱みたいなイメージで捉えていた。ほわ〜って霞になって消えていくイメージ。

でも 、幽体離脱みたいな浮く感じって、動きが終わっていってしまうんだ。何かが抜けていってしまうんだ。


体幹内操法の先生が教えてくださった「浮き」は
湯船に逆さまにした洗面器を沈めようとしている時みたい。

洗面器は沈まない。
強烈な浮力が働いて、洗面器の上に身体を乗っけても
なかなか沈まない。
一瞬沈んでも、すぐに浮き上がってくる。

浮力が常に働いている。

「浮きをかける」の「浮き」は、そういう強烈な浮きだった。


この浮力

演技の先生が教えてくださる
「役の人物は何かに駆りたてられているんだよ」

駆りたてている何かみたい。

歌の先生が教えてくださる
「グルーヴに乗って」

私を運んでくれる何かみたい。

人形を遣う時の
「今、命宿ったよね」

生き始める瞬間に入るスイッチみたい。


浮力が働いていないと

死んだ台詞、死んだ歌

そして、死んだ動きになる。

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