私の取説

私の取り扱い説明書はですね……なんて語りだしたら

「何様だよ⁉」って言われそう。

でも、刀禅のお稽古で、自分の取り扱い説明書が  わかった気がして、むちゃくちゃ嬉しかったんだ。


肘をクルクル回す動きをしていて、

(うーん、難しいな〜)
(右肘なんか全然回らんぞ〜)

ってなっていたんですよ。

そうしたらね、先生がサラサラッて絵を描いて

「肘の中に これがあって、クルクル回っていると思ってください」

と おっしゃったの。(実際には 肘の中にそんな物体ないんですよ)

そうしたらさ、クルクルクルクル回りだしたわけ
肘が。


私は、頭でっかちな人間なんだ。

「お前は考え過ぎるからダメなんだ」って
言われ続けてウン十年。

「ハイハイ、どうせダメな女ですよ〜」で生きてきた。


でも、刀禅の先生が おっしゃったことは面白かった。

頭と身体の結びつきが強い人、私のように頭が身体を支配してしまう人は、
頭の認識を書き換えてあげると、動きが劇的に変わったりするんだって。

確かに、肘を、なんか豚バラブロック肉の塊みたいな感じで捉えてしまっていたかもしれない。

「肘の中に これがあるんですよ」って言われた瞬間
豚バラブロック肉が、どこかに消えちゃったんだ。

さっきまでとは別人の肘じゃないの?って感じで
右肘もクルクル回ってる。

(あんた、さっき びくともしなかったよね?)

私は、心の中で文句を言った。


先生の話だと、良い意味で考えない人、身体に任せられる人は、
こういうこと言っても あまり変化がなかったりするらしい。


私さ、ふて寝しているオオアリクイだったんだ。

長い舌を使ってアリを食べるのが得意なの。
その戦略で生き残ってきたの。

それなのに、周りが「舌使うな」って言うの。
「舌使ってるから、お前はダメなんだ」って言うの。

舌使わなきゃ、私は食べられないのにだよ。

だから巣穴で、不貞腐れて寝てたんだ。

(どうせ、皆さんのようには なれませんよーだ)

投げやりになっていた。


でも、私の中のオオアリクイは むっくり身体を  起こした。

のそのそと巣穴の外に向かっている。

取説を手に入れたから。

取説には書いてある。


「その困った特性を逆手に取れ」


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