見出し画像

鳴らしてます。

ご来店いただいている中で

「なんかちょっと乱雑よね」

って思ったことのある人、少なからずいるとは思うのですが、実はわざとです。

鳴らしてます、音。


BGM以外の音って、あんまり着目されない気がする。
けど、とっても意識しています。


まずはやっぱりエスプレッソを淹れるの時の一連の動作の中から生まれる音。

これがリズムよく、小気味良いのが理想。
それが心地良いのが良いバール。

そして、この音を鳴らしたかったから、カウンターの天板は石にした。
と言っても過言ではありません。

ソーサーを置いた時のあの音。
写真から聞こえてきそうじゃないですか?
石と陶器が弾けて混ざる音。

そして、そこにカップを置いて、スプーンを添える。

この音を鳴らすが為に、何となく側から見ると乱雑に見えてしまうかもしれませんが、


「この音を聞きに来た」と言わしめるまで、僕は日々精進致します。



イタリアでは、なんか物を置く時とかに、ちょっと大袈裟に音を立てるイメージがあるんですよね。

バールなんかで言えば、お釣りの小銭なんか優しく手を包み込んで返してくれたりなんかなく、キャッシュトレーに「じゃらーーーん!」って置くんですよね。

いや、むしろ「放り投げる」が正しい表現ですかね。

昔一緒に働いてたイタリア人に何故なのか聞いたことあるんですけど
「なんか『いぇーい』って感じで、良くない?」という何とも抽象的な答えが返ってきたのをよく覚えています笑。


まぁ、つまり「演出の一つ」としての音、な訳ですね。


『バンビーノ』というイタリアンレストランを舞台にした漫画が昔ありました。
その中で主人公のバンビが、グラスの乗ったトレイを派手にひっくり返す、というミスをする場面があるんです。
その時、それを支配人や給仕長が咄嗟に誕生日のお祝いの演出に代えてしまう、という何とも漫画らしい展開がありました。

あり得ないでしょーって展開ではあるのだけど、音を演出の一つとする、という点では何となくイタリアらしいエピソードだなあって。



味覚や視覚だけでなく、聴覚でも味わってみてください。
台所から聞こえてくる包丁の音で、晩御飯にわくわくしたあの頃の様に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?