【1日1事例】小児在宅医療を受ける家族からみた在宅医の役割の質的検討 #在宅医 #小児在宅医療 #家族

参考文献:小児在宅医療を受ける家族からみた在宅医の役割の質的検討
筆者:島﨑 亮司  , 中村 仁隆, 星野 宏, 横山 由香里
発行日:2022年
掲載元:日本在宅医療連合学会誌 3 巻 (2022) 3 号
検索方法:インターネット
キーワード:在宅医, 役割, 家族, 小児在宅医療

【抄録】
目的:小児在宅医療を受けている家族が感じている在宅医の役割を検討する.
方法:6名の家族を対象に,半構造化面接を行った.質的記述的研究方法を用いて在宅医の役割を抽出しカテゴリー化を行った.
結果:在宅医の役割として,【不安の軽減】,【家族の負担の軽減】,【子どもの成長発達支援】,【医療的ケア児が暮らしやすい地域の創造】の4つのカテゴリー,10のサブカテゴリーが見出された.
考察:在宅医は医療対応のみではなく,生活面のサポートに役割と価値があることが考察された.その役割を果たすためにも多職種との協働や子育てをサポートしたいという心構えが必要である.
メモ
・小児在宅医療の対 象となる患児は難病等比較的稀な疾患が多く,人 工呼吸器等の医療的ケアが必要であり病態として 重度なことが多い.そのため病院との結びつきも 強く,定期通院が実施されており,小児在宅医療 は病院での治療と並行して行われる5)6).患児の 疾患の治療や緊急対応が主に病院で行われるた め,小児在宅医療における在宅医の医療面の役割 が見えにくくなっている.成人の在宅医療であれ ば在宅医が治療方針等を決定することが多く,在 宅医の医療面の役割が明確であることに対して対 照的である.
【不安の軽減】
すべての協力者が,在宅医がいることで【不安 の軽減】につながっていることを語った.
〈緊急時の不安の軽減〉〈医療的ケ アが必要な生活における不安の軽減〉〈在宅医の 存在による安心感〉の 3 つのサブカテゴリ―が含 まれる.
【家族の負担の軽減】
家族は,患児のケア以外にも在宅医による恩恵を感じていることを語った.
〈通院の負担の軽減〉,〈家族の通院負担の 軽減〉のサブカテゴリ―が含まれる. 「医療処置を自宅で行うこと」,「病院で行う検 査・治療を代わりに実施してくれる」,「普段の病 状管理をすることで病院受診の回数が減る」と いった医療対応の他,「衛生材料の相談ができる」 という医療材料の面で対応が在宅医で可能であることから,病院への通院回数が減り〈通院の負担 の軽減〉となっていた.
また「きょうだいの予防接種を実施してくれ る」,「きょうだいの健康問題に対応してくれる」 というきょうだいへのかかわりを在宅医が行うこ と,「母の健康問題に対応してくれる」,「母や父, 祖父母の予防接種を実施してくれる」という家 族の健康問題へのかかわりを在宅医が行うことで 〈家族の通院負担の軽減〉となっていた.
【子どもの成長発達支援】
〈療育,教育の相談〉,〈制度活用の支援〉の役割 を在宅医が担っていることを語る
「小学校教育の相談に応じてくれる」,「小 学校のカンファレンスに参加してくれる」,「療育 施設の通所の意義について相談できる」など在宅 医が〈療育,教育の相談〉に応じていることが語 られた.
「医療的ケア児の子育ての制度利用を 相談してくれる」,「子育てに必要な書類を記載し てくれる」など,療育施設利用等に必要な手続き を在宅医が行い〈制度活用の支援〉をしていることが語られた.
【医療的ケア児が暮らしやすい地域の創造】
家族は,〈地域職種のつながり〉,〈継続的な診療〉,〈小児在宅医療の風土つくり〉についても肯 定的に語っている
家族からは,「訪問看護が情報共有してくれて いる」,「薬局からの薬剤・衛生材料の配達が可能 となった」といった地域内の専門職のつながりが 語られた.
また「地域の各職種が様々な職種を お互いに紹介してくれる」,「在宅医療に関わるスタッフが地域資源を教えてくれる」という地域内での交流の広がりが語られた.これら 2 つの側面 から〈地域職種のつながり〉に在宅医が寄与して いることが抽出された.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jahcm/3/3/3_3.3_1/_pdf/-char/ja

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