「SCDのリハビリテーションの実際」まとめ

文献:SCDのリハビリテーションの実際
著者:宮井 一郎 
臨床神経 2013;53:931‒933

https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/053110931.pdf

運動学習の前提

脳損傷後の運動障害に対する神経リハビリテーションでは、麻痺肢を使った練習量の確保が重要であると考えられている.運動機能回復と麻痺肢使用で生じる脳の可塑性の関連が示されたから。
それには小脳や大脳基底核などが担う運動学習の機構が保たれていることが前提。

SCDに対するリハ効果検証の課題

①小脳の機能低下があっても十分な介入量によって代償できるのかどうか
②変性疾患においてもリハ効果がどの程度持続するのか

技能獲得時の脳活動から示唆されること

通常、技能獲得の時には前頭前野の活動量が低下し、補足運動野の活動が増加する。
小脳梗塞では、前頭前野の活動が蔓延していた。
このことから示唆されること「活動の習熟によるフィードフォワードな制御にいたるにはより多くの練習が必要」
ちなみに、CVAではバランス能力改善と補足運動野活動上昇の関連が指摘されている。

SCDに対する特異的なリハ介入

小脳の固有感覚や視覚などの感覚入力を強化する方法がある
・重り負荷
・弾力帯装着
・フレンケル体操
・固有需受容性神経筋促通法(PNF)
・はや歩き
→しかし、示されているのは即時効果のみ。持続効果は不明

SCDに対する包括的なリハ介入

・静的・動的バランスex
・転倒防止のためのステップ練習
・安全な転倒方法の練習
・肩と脊椎の拘縮予防など
頻度:1h/回 × 3日/w × 4週間
→SARAが改善(小脳性運動失調評価法)

加えて自主訓練指導を行うと、1年後も効果が持続された。ちなみに運動失調が軽い患者ほど、効果が長期的に保存されている
文献:Scale for the Assessment and Rating of Ataxi(a SARA)を用いた 脳卒中に伴う運動失調重症度評価の有用性について
著者:山内 康太、小柳 靖裕、岩松 希美、熊谷 謙一、藤本 茂、鈴木 聡
要旨:
【背景・目的】Scale for the Assessment and Rating of Ataxi(a SARA)は脊髄小脳変性症における運動失調の評価を目的として作成された.脳卒中による運動失調を SARA にて評価した研究は少ない.本研究では急性期脳卒中における SARA の有用性について検討した.
【方法】2011 年 6 月から 2012 月 7 月までに椎骨脳底動脈領域の脳卒中による運動失調に対しリハビリテーションを施行した 18 例を対象とした.発症 1 週目における SARA,National Institute  of the Health Stroke Scal(e NIHSS),Functional Ambulation Categor(y FAC),Barthel Inde(x BI)および入院期間を調査し,SARA の有用性を検討した.
【結果】発症 1 週目における NIHSS と BIは相関を認めなかった(p=0.557,r=−0.148).しかし SARA と BI は有意な負の相関を認めた(p=0.001,r=−0.725).FAC に関しては,NIHSS との相関は認められず(p=0.582,r=−0.139),SARA とは負の相関を認めた(p<0.001,r=−0.800).NIHSS と入院期間に相関は認めなかった(p=0.550,r=0.151).SARA と入院期間は正の相関を認めた(p<0.001,r=0.874).
【結論】脳卒中に伴う運動失調の重症度評価において,SARA は NIHSS に比べて FAC,BI,入院期間と相関が高く,有用であることが示唆された.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/35/6/35_418/_pdf

 


まとめ

短期集中リハによって、小脳性運動失調や歩行に対する一定の効果は得られることが考えられる。


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