【1日1文献】作業療法におけるピアサポートの内容と 作業療法士の役割に関する文献レビュー#ピアサポート#インフォーマル#作業療法士

参考文献:作業療法におけるピアサポートの内容と 作業療法士の役割に関する文献レビュー
筆者:横山 和樹,小笠原那奈,小笠原啓人、 矢部 滋也,森元 隆文,池田 望
発行日:2021年
掲載元:作業療法の実践と科学 3(3):4755,2021
検索方法:インターネット
キーワード:ピアサポート;作業療法士;役割

【抄録】
・本邦の作業療法におけるピアサポートの内容と作業療法士の役割を探索的に明らか にすることを目的に文献レビューを行った.
・対象文献11編を分析した結果,ピアサポート の内容は,多い順にフォーマルなピアサポート,インフォーマルなピアサポート,仕事とし てのピアサポートに分類された.
・作業療法士の役割は,グループの立ち上げや運営,グルー プ参加前後の個別支援,当事者の希望や役割等の評価やそれを生かした実践,ピアサポー トの活用に向けた治療構造や環境の調整等が報告された.
・また,ピアサポーターと連携す る時の役割として,同等な立場としての関わり,当事者が安心・安全に活動するための体 制づくり等が挙げられた.

メモ
・これまでサービスの受け手 としかみられてこなかった当事者が,自らの経 験を生かして活動することは,専門職には代わ ることのできない重要な役割や機能を果たす6). 
・これまでにピアサポートの利用による効果とし て,QOLの改善や再入院率の減少等の臨床的 効果,および理解される感覚や信頼される感覚 が持てるといった個人の心理的効果が示されて いる7).
・また,ピアサポートの提供による効果 として,自己効力感の向上,自己理解の促進, 更には対人援助の経験による技能の向上が示さ れている

・近年,作業療法(以下 OT)においてもピア サポートを活用した事例や実践による効果が報 告されている.
・精神障害領域の取り組みでは, 地域生活に対するイメージがより具体的になることや病棟内外の行動に良好な変化が起こるこ と8),支援に対する敷居が低くなることや他者 とのつながりを持った生活を送ること,自尊感 情の回復や社会参加の機会の増加につながるこ と9)が効果として示されている.
・また,身体障 害領域においても,ピアサポートを活用した事 例が報告されており,新たな作業の拡大につな がること10) ,心身両面の苦痛の軽減や活動性向 上につながること11)が効果として示されている.

・作業療法士は,当 事者が自己の経験を語ることを促すために,同 様の経験だけではなく作業活動の共通性にも注 目し,当事者の生きがいや役割,興味関心,お よび当事者の所属集団を把握し,治療構造を柔 軟に設定する工夫をしていた.
・この点は作業療 法士の特性を生かした関わりだと考える

・ピアサ ポーターとの協働に向けて,同等な立場から関 わりながらも,ピアサポーターが安心・安全に 長く参加できるように,治療の枠や環境の設定 を工夫し,相談できる体制を作ることが,どの 時期にも共通した作業療法士の役割だと考える.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/psot/3/3/3_47/_pdf

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