【1日1文献】内側型変形性膝関節症患者の lateral thrustの運動学的特徴#内側型変形性膝関節症#Lateral thrust#動作解析

参考文献:内側型変形性膝関節症患者の lateral thrustの運動学的特徴
筆者:館山 唯大越 康充岩崎 浩司川上 健作清水 健太浮城 健吾三浦 浩太井野 拓実小野寺 智洋近藤 英司岩崎 倫政
発行日:2022年
掲載元:運動器理学療法学 2 巻 (2022) Supplement 号
検索方法:インターネット
キーワード:内側型変形性膝関節症,Lateral thrust,動作解析

【はじめに、目的】 
・Lateral thrust(以下 thrust)は重度内側型変形性膝関節症(膝 OA) の歩行において稀に観察される膝の急激な外方移動である.
・Thrust では内反角度最大値および角速度が大きいことが知られているが, それ以外の運動学的特徴については明らかではない.
・本研究の目的 は thrust の運動学的特徴を明らかにすることである. 

【方法】 
・2017 年~2020 年の間に膝 OA にて高位脛骨骨切り術,人工膝関節全 置換術予定患者 196 例に対して三次元動作解析が行われ,そのうち 計測時の歩行動画で thrust の有無を明確に判別し得た 39 例を対象 とした.
・Likert scale(0-4 点)を用い,経験年数 10 年以上の理学療 法士 5 名により明らかに thrust がある(20 点満点)と判断された 20 例 20 膝を thrust あり群(stageIV11 膝,V9 膝),明らかに thrust なし(0 点)と判断された 19 例 19 膝を thrust なし群(stageIV17 膝,V2 膝)と分類した.
・これらの症例に対しポイントクラスター法 に準じた光学的モーションキャプチャー技術によりキネマティクス を算出した.
・また、体表マーカーの位置情報から算出した三次元下肢 荷重軸(3D-MA)が,脛骨近位関節面に設定した XY 座標を通過す る点(3D-MA 通過点)とその軌跡について解析した.
・一歩行周期は 100% に規格化された.
・歩行動画と解析ソフトの同期により thrust 発生期間を判断し,その期間のキネマティクスを検討した.
・統計解析 には対応のない t 検定を用いた(p<0.05). 

【結果】 
・背景因子では Trust あり群において年齢が高く,身長と屈曲 ROM が低値であり、XP 評価によるアライメントが内反であり、いずれも 有意差が認められた.
・Thrust は初期接地後,歩行周期の平均 13.2 ±2.6% までに認められた.
・Thrust あり群は,なし群に較べ thrust 期間を通して有意に内反位(8.8±8.1°vs 1.6±4.9°),内反変化量が有 意に高値(4.6±2.3°vs 1.6±1.2°)であり,屈伸変化量は有意に低値 (3.1±9.1°vs 9.1±11.5°)であった.
・脛骨回旋と前後並進,体幹前後傾 角度には有意差は認められなかった.
・3DMA 通過点は有意に内方に 偏位しており,thrust 期間における内側への変化量が有意に大きく, 後方への変化量が有意に小さかった. 

【結論】 
・Lateral thrust の特徴として、内反角度変化量が大きいのみならず屈伸変化量が小さいことが判明した.
・屈曲変化量が小さいことは大腿 四頭筋の弱化を示唆するものと考えられる.
・先行研究では荷重応答 期において大腿四頭筋が内反モーメントに拮抗する最も重要な筋活 動であると報告されており,大腿四頭筋の弱化は小さな屈曲変化量 の原因だけでなく,lateral thrust の要因でもあると考えられた.
・Lateral thrust は歩行周期の約 13% まで認められ,荷重応答期と概ね一 致していた.
・また、荷重応答期における大きな内反角度変化だけではなく屈伸変化量の減少も lateral thrust の運動学的特徴と考えられ た.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jofmpt/2/Supplement/2_P-126/_pdf/-char/ja

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