【考察】小林勝行 「from隔離室」

皆さんこんにちは。
松田優太郎です。
普段はラップの歌詞をよく挙げていますが、今回は数ある日本のヒップホップの音源の中の題目の曲についてお話していきます。
私のポリシーとして、アーティストさんの歌詞を丸々載せることはしません。いかに私の文章でアーティストさんの良さを伝えるか。そこを楽しんで頂ければ幸いです。
それでは、どうぞ。

小林勝行 セカンドアルバム「かっつん」収録
「from隔離室」

題目から伝わる通り、隔離病棟での出来事や心情を歌ってらっしゃいます。そこまでの経緯等についてはご自身で知る方が感じ方が違いますので割愛しますが、小林勝行さん自身の体験から出来たこの音源。彼自身がどういった心境で隔離病棟に入り、その後、隔離されている時に、どう感じたかを生々しくもリアルにそして正直に描いています。特に隔離室の中の様子や、看護師さんとのやりとり、薬の服用、幻覚や幻聴の様子など、聴くだけで想像が出来るほどに歌詞で表現されています。ここの、リアルに歌詞で表現される部分については、私もかなり衝撃を受けました。まさに現代における詩人といって良いと思います。
また、小林勝行が発する声と、独特のフローがどこか武骨ながら、色気のある仕上がりになっており、市和浩氏が演奏する優しい鍵盤の音にハードな歌詞が組み合わさり、独自の雰囲気を醸し出しております。ここは彼自身がロックのカバーバンドをやっていたというバックボーンからも、音楽性の高さは容易に想像がつきます。
そして何より、彼自身思いや心境が露骨に出ている歌詞がまた魅力であります。外に出てまともになりたい、自由になりたいといった気持ちが、少ない文字数ながら力強く伝わってきます。ここは先の表現力についてと付随する部分ではありますが、何よりノンフィクションであることから出る「リアル」であることに他なりません。
また、他人に訴えているのか、自分に訴えているのか。他人と話しているのか、自分に問いかけているのか。あえて詳しくは言わず、そこの様子や言葉を格好つけずに晒す部分や、本人の葛藤や今は平気だが、またその波が来ると、、という精神病との付き合いについてなど。赤裸々に自分をさらけ出し戦っている姿に感動を覚えます。
自分の失敗を棚に上げ、人の失敗を嘲る、一度の失敗すら許さない。そんな一部の人間達にはこの音源は響くのではないのかなと感じます。

最後に。

歌詞丸々載せるのはポリシーに反しますが、少しだけ私の好きなリリックを紹介し、終わりたいと思います。

"お前は何も狂ってないで"

"歩く歩く 気持ち軽く歩く"

小林勝行 from隔離室より引用



ではまた。


11/17  表題画像削除しました。お詫び致します。

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