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Oi-SCALE実験公演「現象グラデーション」

言葉と物語について再検討する7つの短編公演
オイスケールが過去に骨太な物語作品を発表する中で、より強い表現を描く為にはどんな「手法」が有効かについても、さまざま趣向を凝らしてきました。
ストーリー構成や時間軸の扱い、演技感のチューニング、照明や美術のデザインも大切な要素と捉えて、そのアイディアを実験的に試演する場として、本公演と並行して、2005年から「オムニバスofOiOi」と銘打ち、テーマや設定を限定した短編企画で演劇界内外の表現者との共作も多く重ねて来ました。また、空が飛べると想ってみる。名義で劇場外での「共有と体験」に焦点を当てたドラマアート空間の構築にも着手して来ました。
その中で短編ゆえに取りかかりやすく、思い切ったアイディアがむしろ活かしやすいケースもありました。
本企画では、台本に囚われない演技論にこだわる林灰二が、その為に「台詞」について実験的な挑戦を行った過去4作品を集め、プラス3作品の新作書き下ろしを加えまとめた短編集を日替わりプログラムで発表します。

タイムテーブル

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短編レパートリー

出演:横尾宏美 藤岡みゆう 八木井里緒 田辺学 神嶌ありさ イトウエリ 龍村仁美 鈴木貴大 山田梨佳 他

「童話が生まれた」

2011年震災の後に直面して僕が最初に書いた作品です。
おばあちゃんが戦争を知らない僕たちに戦争の愚かさと恐ろしさを泣きながら話してくれた。
2011年を経験した僕も、震災を知らない若い世代に伝えなければいけない事ができたと想った。僕は物語で伝える。そう想ってつけたタイトル。
母の迎えを待つために病室ではなく廊下で眠る入院患者の少女を巡る物語。患者たちの妄想が重なり合いながら、窓の外の世界へ想いを馳せる様子が描かれます。
過去作品の中でも自分の作品の灰色の色彩を決定付けた作品だと想います。

澤井裕太 藤崎朱香 内古閑由亘 白井肉丸 富山華佳 名取えりか 長谷川晏士 田辺学 他

「まるで悲鳴みたいに」

すごく心も落ち込んだ時に、熊野古道にある和歌山の湯の峰温泉に行った事がある。そこの壺湯は世界遺産にもなっていて、餓鬼病となった小栗判官がその湯に浸かり死の淵から息を吹き返したという有名な伝説もある。その帰りの道中に立ち寄った白浜の海水浴場は多くの水着姿の若者で溢れかえっていた。夏だった。波打ち際でまるで悲鳴みたいに笑う女の尻を沢山眺めて「ああ、東京に戻ってもう一度頑張ろう」と想った。温泉よりも女の尻に心を救われたのかもしれない。
事故で聴力の失った女が、同じ事故で死んだ浮気相手の火葬場に現れたものの、煙突から立ち昇る煙から目を逸すお話です。聴覚障害の女から見えてる世界を描くために役者の声を排除し描きました。実験性の高い挑戦作です。

井野おりこ 市島琳香 芥川美織(激団やれたらやるわ) すずき環 高森修平(劇団いいのか・・・?)

「君の頷く作文」
北海道出身の林灰二は登場人物全員が「北の国から」の純ばりに独白台詞だけの芝居を書いたよ。人の心は透けて見えない。そのもどかしさと物悲しさ。遠くへ想いを馳せる人。近くの愛情を見過ごす人。そういう物語を描きたかったんだと想う。この作品はなんせ全員独白台詞のみなので、それぞれの人物の内心が観客にとっては透けまくりです。ただし会話してる台詞は分かりません。心のうちがわかっても表情や声や言葉はそれに伴わない人間模様が描かれます。愛に包まれて強く生きて欲しい、当たり前にみんなが自分らしく生きて欲しい。過去作品の中で随一ファンタジーでメルヘンな作品だと想います。
港町で海の向こうで暮らす母へと想いを馳せる少女の物語です。僕の生まれ故郷が舞台です。俳優の声と演技質が要求される難作だと想います。

宇都宮功一 大川原歩 高橋唯子 小川恵夢 時村雄大 Fana 横室彩紀 うさみみずほ 長谷川晏士 他

「wakka2023」

このシリーズはギャラリー公演から始まり、野外や配信なのどの形で着手してきた観客と演者が一緒に輪になって、まるでキャンプファイヤーを囲んだ夜のように、同じ想像や物語の中を旅するような時間を作れたらいいなと想って製作を続ける特別な作品です。ワッカはアイヌ語で「水」という意味ですが、水は世界を大きく循環します。雨として大地に降り注ぎ、ダムの湖となり、川を流れ海に辿り着き、蒸発して雲となり。多くの生き物の生命の源として。みんなで輪を作って、言葉を連ねてそこから生まれた想像はどんな物語ができるのか。WAは「話」であり「和」でもあり、「羽」でもある。言葉から生まれる想像が物語になる感触を観客と演者、その場に居る皆との体感し、共感したい。物語はどれだけ僕達を遠くに飛ばせてくれるのか?

横尾宏美 神嶌ありさ 横室彩紀 芥川美織(激団やれたらやるわ)他

「以心伝心、或いはテレパシー」

新作短編です。日本人には超能力があるんだよ。そう想わない?あれ、それ、これだけで伝わる気持ち。忘れちゃいけないことを描きます。
夜のキャンプ場を舞台に、みんなが同じ流れ星や、カモシカの目や同じ光を見て同じことを想ってる〜〜雰囲気だけど・・・実際はどうなの?

澤井裕太 井野おりこ 名取えりか 白井肉丸 宇都宮功一 市島琳香  藤崎朱香 八木井里緒 他 

「マテリアルガールと黒猫」

マドンナの曲を思い起こす人は僕と同年代かそれ以上の歳だよね。
コミュニケーションって実際伝えたつもり、伝わったつもりが積もって成り立ってると想う。だから伝わらなくたって安心していいんだよって物語。かもしれない。このお話を見た後で、みんなもこの物語がどんなだったかを人に伝えてみて欲しいです。

林灰二 川崎桜 龍村仁美 他

「加担」

我関せずの人間だって知らずのうちに悪事に関与してることが多くあるのが社会の仕組みだと想う。戦争に反対したって武器を買うお金を作り出すことに加担していたり、痴漢をしてなくても満員電車は皆んなで作っていたり、動物を殺すのは無理でも食べるのは平気なのが人間だっていうどうしようもないカルマ。そういったことから目を逸らしてばかりいると人間の心は汚れてしまうと想うから、その浄化の方法をできる限り考えたい。
人の歴史を踏まえて、“今”の精神を形にしようとする試みこそが物語の役割だとも想ってる。
林灰二が幽霊にまつわる物語を語りつつ、劇世界と現実を行き来します。
こんなことを言うと誤解されるかもしれませんが、「加担」についてはもう観ていただくのはマストな上でのプログラムってことを理解していただきたいんですよね。強制ではないんですけど、なんかチケット想ったように売れてないんで言わせてもらいますけど、絶対観なきゃダメなんですよ!

林灰二より本作について

オイスケールで自分の作品を発表して20年が経ちます。その節目の記念として、過去作品をまとめた短編集公演をやるって言っても良かったんですけど、賞を取ったり特別なヒット作が出た記念とかでもないのに恥ずかしいなって想いもありますし、そもそも過去の自分の作品と時を経て向き合うっていうのはただでさえ恥ずかしいです。作品っていうのは、自分が吐き出した吐瀉物みたいなものだと常々想っているので、やっぱりどんなに背伸びして格好つけたところで、自分が噛み砕いて飲み込んだものしか吐き出せないですよね。売れ残りの安売り弁当しか食べてないのに、高級フレンチは嘔吐することは出来ないですもん。
インプットとアウトプットのバランスについてをもっと上手く話せるのが良い作家だろうけど、僕のこの下品で下手くそな例え話も、僕がどんな人間かバレてると想うんですよね。
長い年月が経った乾涸びた吐瀉物は、当時の自分が何を食ってたのかを嫌でも想い起こさせられるに違いない。どうせろくなもんは食べてこなかった。しかし何かの真似をすることを嫌ってきたことだけは自負してる。誰にも似てないオリジナルなゲロを吐き散らしてきたと想う。

台詞や台本に囚われず自分の声で演技をすることに拘ってきたので、この実験から物語と台詞の関係。演技をする上での台詞の捉え方を見出せたらと想います。
もちろんアドリブはないし、全てが台詞です。
大胆な実験作品が並びます。その中にも多くの共通項目があって、「月」「母を待つ子」「煙突と煙」「遠くの景色」「鳥と神様」とか色々。僕の原風景っていうのかな。そういったワードでつながり合う物語の実験を楽しんでもらえたらなと想います。
予定が許す限りで、好みの組み合わせを選んで演劇体験をしにきてくださいね。あと、「加担」は必ず観るんですよ。わかってます?

チケット通し券割引

チケット料金は 前売 4500円 当日 5000円(「加担」のみ 前売1500円 当日2000円)ですが、予約時に複数プログラムご予約いただける方には大変お得な値段設定をご用意しています。
プラス1000円で2プロ通し券5500円‼️
更にプラス500円で3プロ通し券 6000円‼️
予約可能です。
3プロ通し券の場合は実質1プログラム2000円で観劇いただける事になります。

通し券購入のお客様は、公演終了ごとに退場頂かなくてもそのまま客席にいていただいて結構です。近隣のコンビニ等へいく場合はチケットを受付で掲示していただけらば、一時退出ももちろん可能です。
9月1日(金)〜3日(日)は多少プログラム間の時間がありますので、その間客席や会場内でお寛ぎいただけるように、展示等も考えています。

Oi-SCALE2023年実験公演
現象グラデーション
~言葉と物語についてを再検討する7つの短編集~
公演情報・チケット予約 → https://stage.corich.jp/stage/268517

林灰ニ割引

どうしてもお金が無かったり、友達で下ばかり向いて元気がないやつを外に連れ出す口実だったり、死にたいって悩んでたりするやつが居て、もしも僕の作品を観たかったら、TwitterかInstagramとかでDMしてね。林灰二特別割引0円に決まってんだろって。

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