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ねじりパン

ご存知だろうか。群馬県には「みそパン」というご当地グルメがある。これは、甘辛の味噌ダレがたっぷりとついたパン状の食べ物、「焼きまんじゅう」から創作されたものである。
群馬県民にとってなくてはならない、といったら大袈裟かもしれない。ソウルフードのひとつである。食べると必ず口の周りに味噌がついてしまうのが唯一の難点だ。

Photo by punimaruko

それを解決しようと奮闘したのは、私の地元、沼田市にある「フリアン」というフランス菓子店だ。パンに味噌ダレをつけてしまおうと開発された。時々テレビ等メディアでとりあげられ、今では群馬県内のパン屋さんでも作られるようになった。

私が幼かった頃、フリアンは中心市街地である商店街の真ん中にあった。当時の自宅から20分くらい歩いて買い物に行った。
家族もみんな割と好きだったので母親もよく買っていた。

みそパン、実はぶっちゃけあまり好きではない。
どちらかというと、ジャムとマーガリンのミックスパン、ピーナッツパンがとりわけ好きで、未だにスーパーで見つけると手に取ってしまう。

他にはツイストドーナツ(たまにコンビニなどで見かけます。)が大好きだった。私は「ねじりパン」と呼んでいた。
母が言っていたのだろうか。どうしてねじりパンなのかは覚えていない。
食べると、口の周りにお砂糖がついてしまうのだが、それが私は好きで、なんともいえない多幸感があった。
焼きまんじゅうもまた、食べた時に口に味噌ダレがついてしまうので、ねじりパンと共通した魅力かなと思う。

中心市街地から移転したフリアンに、私はまた、「歩いて」出かけてみた。

実は、移転されてから店舗(郊外1号店)へ足を運ぶのは初めてだった。
主だった商品はスーパーに置いてあるので、直接店舗に行く、ということがなくなってしまったのだ。

入り口に入ると同時に味噌パンの味噌だれの甘い匂いが漂ってきた。

私は、昔と比べるとだいぶ狭くなっていた店内に気づいた。
それでも、惣菜パンから菓子パンまでいろんな種類のパンが陳列されていて、一つ一つをみているだけで気持ちがほっこりする感じは変わらずだった。


また、あることにも気づいた。
昔から食べていた1部の商品がないのだ。

それは、私の好きな「ツイストドーナツ」。そう、「ねじりパン」がどこを探してもなかったのだ。

どうしても気になってしまった私は店員さんに聞いてみた。

「今は作っていません。」

ショックを隠しきれずに店をあとにした。

なかったのはツイストドーナツだけではなかった。

パンプキンドーナツというこれもまた1個70円くらいだったか、握りこぶしの3分の1より小さめのものがなかった。

聞いてみてはいないが、きっとこれも今は作られていない(おそらく材料費や経費の高騰が原因?)のだろうと想像する。

私の好きなフリアンのツイストドーナツ、どうしたら食べれるようになるのだろう。

何かいいものを食べます。生きます。