【エッセイ】絵の具の使い方ひとつ取っても

先日、長女が妻に「白の絵の具を買って欲しい」と頼んできたそうです。
学校で使用している絵の具セットの白だけが無くなり、補充をしたいとのことでした。
私はこの話を聞いて、「え、逆ではなく?」と答えました。それに対し、長女も妻もキョトンとした顔で私を見つめ、しばらく我々の間にはクエスチョンマークが浮かび続けていました。

小学生用の絵の具セットには、白が二本付いてきます(小学生用に限らずでしょうか?)。私は自分が小学生の頃、これが何故なのかずっと疑問に思っていました。
図画工作の時間は白の画用紙に描くことがほとんどでしたから、色画用紙でも使わない限り、白の絵の具の使い道など早々ないではないかと、それが何故二本も用意されているのか分からなかったのです。

使い切る色はいつも決まっていて、黄色と紫、そして青でした。
気に入った色ばかりを使う為、私の描く絵はいつも同じような雰囲気のものばかりだったと記憶しています。

このことを妻に話すと、「私はむしろ白がすぐ無くなっていた。」と言うではありませんか。
何に使うのかと聞くと、毎回色を作る時に必ず白は混ぜるから、その分減りが早いとのこと。

色を作るの?毎回?

もちろん、色同士を混ぜて新しい色を作ること自体は私も知っています。
しかし、小学生の頃に調色の概念などほとんど無かった私は、用意されているセットの中の色の範囲で絵を描いていました。特段、色に対して拘りが無かったのかもしれません。
聞けば、長女も毎回色を作るところから始めるとのことでした。別の色同士を混ぜる際にも、白は必ず混ぜ合わせると。

曰く「白混ぜないと、暗闇になっちゃうんだよ」とのこと。

標準セットとして白が二本あるのですから、むしろこのやり方が一般的だったのでしょうか。
周りの友人らがどのように白を使っていたのか、今となっては思い出すことはできませんが、毎回白だけをほとんど使用せずに余らせていた私の方が、少数派だったのかもしれません。

同時に、絵の具の使い方ひとつ取っても、夫婦親子ですら使い方に差が出るのですから、個性というのは無理に引き出そうとはせずとも、自然とそれぞれに身につくものなのだなと改めて感じました。

食費になります。うれぴい。