ぷにぷにアザラシ
電気生理学という学問を主に、体の中を走る「電気」の仕組みを紹介します。初心者向けの記事や研究者向けの記事が混在しますが、誰が読んでも楽しくなるように心がけます。
研究室生活において気を付けるべきことなど、書いていきたいと思います。主に理系の研究室に所属する大学(院)生向けです。
海外留学(主にアメリカ)する際の準備、アメリカで生活して感じたこと、そもそも留学先をどう決める?ということを書いていきます。このブログで紹介されました-->https://kou-naqua.com
Slackが有料化される!というわけで、どうしようどうしようと思っているうちに、もう来週には9月になってしまいそうです。そんな私に、とある友人が、slackバックアップの相談を持ち掛けてくれたおかげで、ようやくこの問題に立ち向かう決心がつきました。 友人より、このQiitaのリンクを送ってもらい、このままでは動かない、どうしようどうしようと悩んでいるうちに、「あれ、これ全部pythonで解決できるのでは?」と思うに至ったので、今回その方法を公開することにしました。 私みた
2021年のノーベル生理学医学賞、David JuliusとArdem Patapoutianに決まりましたね!受賞理由は ”for their discovery of receptors for temperature and touch(温度や触覚に関わる受容体の発見を讃えて)” 。2人の、「体性感覚」という誰もが感じる、しかし得体の知れないものの正体を、遺伝子レベルで明らかにした、その素晴らしい業績がようやく讃えられました。長年TRPチャネルを研究していた身として、簡
「先生に実験のことを伝えても、ちっともわかってくれない。」 こんな気持ちになったこと、みなさんおありではないでしょうか?今回は、研究室でどうして先生と会話が成立しないのか、そういうところに焦点を当てて記事にしたいと思います。 1. すべてのはじまりは「先生、うんち!」さて、タイトルのこの言葉、おそらくほぼ全員が見聞きしたことのあるものだと思います。一般的には、小学生くらいの子供が、授業中におなかが痛くなって我慢が出来なくなった時に、先生に対して発する言葉ですね。この言葉、よ
前に書いた記事がそこそこの反響を受けましたので、研究室での生き方を題材に、何本かnoteを書こうと決めました。 今回は、研究室生活の私なりの捉え方について紹介します。 ※ 今回も私個人の意見ですので、すべての大学・研究室に当てはまるものではありません、あらかじめご了承ください。 1. そもそも大学生活をどう捉えるか?前回の記事では研究室生活での目標にフォーカスを当てた内容を主に取り扱いましたが、そもそも論として、研究室生活って何なのでしょうか?特に学部や修士で卒業する学
現在までに2年程、大学で教員として働いてきました。この記事を読んでいる方にとっては、私は「敵」のような存在かも知れません。そんな私ですが、この2年を振り返って、大学生に学んでほしいと感じた事項を、ここに記したいと思います。これから研究室に配属されて研究を頑張ろうという大学生の方の参考になりましたら幸いです。 ※ 当方は薬学部(生物系)の教員ですので、どうしても理系(特にwetの生物系)の大学生・大学院生に向けての内容になってしまっております。あらかじめご了承ください。 0
さて今回は、「パッチクランプ」において電流を測る機械「パッチクランプアンプ」の中身について紹介したいと思います! ※1 正直今の時代なら、こんなことがわからなくても、電気生理の実験はできるし、データも解釈できます。ですので、これがわからなくても落ち込まないでください。 ※2 ここで出てくる回路は、理解しやすいように、単純化してあります(例えば出力インピーダンスとか無視している)。本当の回路とは少し違うことを、どうぞご理解ください。 1. 簡単な物理(電気)のおさらい今回
さていよいよ今回は、今日の電気生理学に欠かせない、「パッチクランプ」について紹介したいと思います! 1. パッチクランプ法とはパッチクランプ法とは、細胞の膜を「パッチ(つぎはぎ、あて布、の意味。小さい膜の断片、くらいに思ってください)」にして「クランプ(固定・保定)」する方法のことです。つまり、ガラスでできた測定電極の先に、小さい膜断片(細胞1個以下)を保定して、その膜を流れる電流を測る、というものです。これまでの方法(卵母細胞など)と大きく違う点は、ざっくり言えば、 1
※ 今回の話は学生など、英語論文を書いたことがない人へ向けた記事ですので、ベテランの方には何の参考にもなりません。どちらかというと、提案があれば教えて頂きたいです。私もまだまだ素人ですので。 こんにちは、ぷにぷにアザラシです。 ずいぶん久しぶりの投稿になりますが、この度、peingにてこんな質問を戴きましたので、久しぶりに筆を(キーボードを?)とることにしました。 初めての英語論文、確かにとても手こずりますよね。私も今でも手こずりますが、それでも数本の英語論文を書いたおか
さて、前回まではひたすら前置きを語っていた本連載ですが、やっと「電気の生理学(電気生理学)」とはどのようにして実験するのか、今回から紹介していこうと思います。具体的なイオンチャネルを紹介しながら、少しずつ進めていく予定です。が、今回は "その" 序章です 笑 1. 生き物から電気を測定した最初の実験生き物の体に電気が流れているのでは?との知見は、18世紀末ごろからあったようです。当時はカエルの脚に電気を流して収縮を見たりしていました。しかし、生き物に電気を与えるのではなく、
前回、細胞の外と内で、イオン濃度に勾配があるということを紹介しました。今回はイオン濃度と電気との関係について紹介していきたいと思います。 ※ 2020/5/16 「電流の向き」について、追記しました 1. 濃度勾配 = 電気そう、濃度勾配こそが電気なのです 笑 これだけではもちろん何が何だか、と思われると思います。しかし、よく考えてみてください。イオンが多い場所とイオンが少ない場所の間にある壁に穴が開いたら、イオンはどう動くでしょうか?多い場所から少ない場所へたくさん流れ
今回は電気を生み出す正体、「イオン」について紹介します。 1. イオンの種類イオンとは、「電気を帯びた粒」と思っていただいて良いと思います。マイナスイオンは、マイナスの電気を帯びた粒、反対のプラスイオンはプラスの電気を帯びた粒、です。 では、私たちの身体にとってのイオンとは何なのでしょうか?その多くは、金属や無機物で構成されています。 プラスイオンとしては、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)が
今回は、生きていく上で必須のタンパク質の一群、“イオンチャネル”について紹介します。 目次 1. センサーとしての膜タンパク 2. 膜タンパクは多種多様 3. 電気発生装置 イオンチャネル 1. センサーとしての膜タンパク私たち生き物は皆、細胞というもの集まりで出来ています。細胞は、さまざまな生化学的物質を、脂質の膜でできた袋に詰め込んだ塊のことで、骨の細胞や筋肉の細胞、免疫細胞、神経細胞とさまざまな種類があり、それぞれの得意とするたくさんの機能を提供しています
今回からしばらく、「電気から見る生理学」というタイトルで連載をしたいと思います(週1ペースくらい)。バイオ・生命科学など理系の話題が好きな方、どうぞ楽しんでください。だんだんと話が難しくなるかも知れませんが、できる限りかみ砕いて、研究者以外の方にもわかりやすく進めていきます。 今回はイントロです。 目次 1. 生理学とは 2. 電気とは 3. ヒトにも電気が流れている 1. 生理学とはまず、生理学とは何でしょうか? 物理学を「物の理(ことわり)を理解する学問」とする
こんにちは、ぷにぷにアザラシです。突然ですが皆さん、学術論文や卒業論文を英語で書く機会がこれまでにあった方も数多くいらっしゃると思いますが、どうやって英語を調べていますか?例え単語が合っていたとしても、その単語や言い回し、本当によく使うフレーズなのか、自信はありますか?今回は、そんな悩みに応えるべく、私がいつも使っている「ライフサイエンス辞書」と呼ばれる科学英語に特化したWeb英和/和英辞書をご紹介します。 目次 1. ライフサイエンス辞書とは 2. 英和・和英 3. シソ
ぷにぷにアザラシです。昨今は海外ですら、どこでも研究費マネジメントが厳しいことが多く、「自分で研究費を持ってきたら留学しに来ていいよ」と言われることがたくさんあります。そこで今回は、どのような奨学金が存在するかを紹介したいと思います。 ※ 2018年現在の情報です ※ 目次 1. 概略 2. 出発前にしか応募できない助成金 3. 出発後にも応募できる助成金 4. まとめ 1. 概略 助成金・奨学金の種類は、大きく以下の4ジャンルに分類されます。 海外主催のもの