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大噓物語#3 「魔法学校のサウスポー」

ガソリンスタンドには妖精がいる。

魔法学校で唯一の左利きだった先生はこう言った。その先生は徹底的な左利きだった。教科書を読むときも後ろのページから手前に向かって読む。それに従って授業の内容も難しいところから簡単な方に流れるので生徒からの授業の評価は賛否両論だった。

また、先生は猫を飼っていたけれど重度の猫アレルギーだった。魔法学校の先生でもアレルギーは防げないものらしい。家でも先生は圧倒的な左利きなので猫を必ず左手で撫でる。それを覚えた飼い猫も先生の左にいつも身を寄せる。それにより、先生はいつも鼻の左穴だけから鼻水が流れ出していた。それにより、先生は点鼻薬をいつも差していた。差さなければ鼻から出る水分で死に至るほど鼻水が出る。ある日も先生はサウスポーでサウスポー(飼い猫の名前)を撫でて、左鼻穴から鼻水を垂れ流していた。そろそろ点鼻薬を差そうかと思い、点鼻薬を手に取ると点鼻薬が空になっていた。

「やばい、死んでしまう、、、」

先生は急いで点鼻薬を買いに薬局へ向かった。先生はバイクに跨り走り出す。先生は攻撃呪文専門なのでほうきに乗って飛んでいくというジブリ的移動手段はない。もちろん圧倒的左利きの先生は左手しか使わない。どうしても右のレバーを触る必要がある時は手をクロスにして左手で扱う。

もちろん、右折なんてしない。右折したかったら左折を繰り返して目的地を目指す。薬局まであと3kmとなった時、大量の左折のせいかガソリンランプが光りだした。これは危ない。先生はガソリンスタンドに向かうことにする。バイクの踏ん張りのおかげでガソリンスタンドにギリギリ到達することができた。が。現金がない。点鼻薬一本分の現金しかない。ガソリンを入れるお金がない。左鼻穴から鼻水が涙のように流れている。

「はぁ、、もう帰るしかないか。。クソッ」

「ドポポポ」

なぜかチューブからガソリンが漏れ出してきた。なぜか。先生はガソリンを満タンに入れて(もちろん左手)ガソリンスタンドを飛び出し、無事点鼻薬を手に入れることが出来た。

このことから「ガソリンスタンドには妖精がいる。」と先生は言うようになった。あのガソリンスタンドには焦げたような大きな跡があったらしい。

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