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ビアトリクス・ポター

2校戻す。

昼間仕事でゲラを読み、夜ベッドに入ると趣味の読書。文字まみれ。

図書館でふと手に取ったこの本

ピーターラビットは子どもの頃から大好きで、娘に買ったボックスセットは実は私が欲しかったもの。

ポターの本だ、とふと手に取って、開いてみると小説仕立てであると書かれていて、それってどうなんだろう?と思いつつも読んでみると。

面白かった!

原著も面白く書けているのだろうし、訳もいいのだと思う。1900年頃の英国中産階級の暮らしぶりがなんとも素敵で。

ポターについてはほとんど知識がなかったのだけど、資産家の家庭に生まれ、外に出されずに育ち、両親には仕事など下層階級のすることといわれていたらしい(祖父の財産を受け継いだため、両親は投資だけで暮らしていた)。30過ぎてはじめて本が出て、自立に向かって動きはじめる。結婚して家を出たのは47歳。だいぶ遅咲き。

手にしたお金は湖水地方の土地に姿を変えた。愛すべき田舎を守りたいがため、あるがままの姿で残すために購入し、最終的にはナショナルトラストへ遺贈したのだった。このあたり、生きるのに精いっぱいの庶民とは違う、ノブリス・オブリージュな感じ。

英国は階級社会。当時は今よりさらにそれが強かったことだろう。お話にはポター家の使用人や、湖水地方の農場の人びとなんかも登場し、さまざまな視点が深みをあたえている。物質的に持っているもの、社会的な制約、階級にはいろいろな側面があるけれど、みなそれぞれの持ち場でそれぞれに生きている感じ、なんかよかった。

聖地巡礼、中上健次の熊野を訪れてみたことがある。湖水地方もいつか行ってみたい。



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