見出し画像

#2

 考察、
 世界は矛盾でできている。不条理で残酷で、優しさのかけらもない。かつていた少年は、大人になっていた三年前、真実を追う事には理不尽さがつきまとうと言った。そしてそれを、他人には負わせたくないとも言った。それは優しさによるものではなくて、理不尽そのものの大人のエゴだと僕は考えた。
 物事は常にまっすぐに成り立っているとは限らない。昨日晴れていた空が今日には雨を降らしているように、世界は僕達をあざ笑うように変化を繰り返している。
 観察期間中に遭遇した事件にて、彼は現場に真実を突き付けた。相変わらずの残酷さの中に、葛藤はあったのだろうか。僕は考える。変化だらけの世界の中で、少年の持っていた信念は確かに不変だった。目に見えるものだけが事実ではなく、重要なのは姿や名前だけではない。正しさだけで成り立たない世界で、君の正義こそが僕の記憶を真実にしていく。あの頃の時間は確かに存在していたと証明できるだろう。
 考察に変えて、君に感謝を。同じ世界を生きる冒険者として、未知の世界で再び会える事を祈りたい。

(一部抜粋:同人誌「冒険者たち」2020.12.30発行 / パンプキン)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?