ハピバレ2015参加作品「わからないブラウンと、かわらないブラウニー」
紙をくしゃくしゃにして、髪をぐしゃぐしゃにして、キミは泣きわめく。うめく。
ボクにはわからない、変わらないキミの視界が、キミの世界。
いろんな色が付いた、キミの手の彩り。とりあえず手を取り合うと、それがよくわかって、ボクの気持ちも変わる。
今、キミが描いてる絵。
色使いが暗くて、くらくらしそうでしにそう。キミの絵はクセが強くて、そのくせ自分の気分で描くから、だいぶ損をしてる。
でも、そんな不器用なタイプのキミが好き。スキだらけのキミが好き。気味が悪いくらいに、泣きそうなくらいに。キミが悪いんだよ。
キッチンできちんと作ってるんだよ、キミのために。創るキミのために作るんだ。
キミがよく使うブラウン。うん、好き。
それと、よく似た色のブラウニー。うーん、ラブ。
さっそく味見。うっ………不味い。こんなの渡したら、まずいよね。まず、いいことないよ。
なんて思ってたら、「ねえ、なに慣れないことしてんの?」だなんて、イヤミなキミが冗談を言いながら階段から降りてきた。
「あげないよー!」
ボクが舌を出すと、キミは下を見て黙ってしまう。そんなキミが可愛いから、いじる甲斐があるんだ。
「ごめん……」と5秒後には言っちゃう、そんなキミ。素直になれない、損なキミ。
スキだらけの君が、だいぶスキで、ダイブしたいくらい、泣きたいくらい。
キミの手の彩りが、また、まだ、増えていく。くらくらしそうな暮らしのなかで、奏でられてるブラウニーのハーモニー。
ボクには代わらない、わからないボクの世界が、キミの視界。
ボクがキミのメシアになるために……。
さあ、召し上がれ。
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サウナはたのしい。