見出し画像

弟の自死 - 26. 訪問看護

過去の記事で、後述した事について記載しようと思う。

特殊清掃業者に現地見積を依頼した際に、弟の部屋のドアポストに名刺のようなモノが挟まっている事に気付いた。
いつから挟まっていたのか明確ではないが、おそらく遺体を発見した日にも挟まっていたのだが、気付かなかったのだと思われる。
内容を見ると、訪問看護師の方が弟に宛てた手書きのメッセージカードだった。

(弟)さん
食事は摂れていますか?
返信いただけないので心配しております
この前お話した、ロジカルラインを買いました
とても面白いので、今度一緒にやりましょう
何か有りましたら気軽に連絡してください

私には脈絡は理解出来ないが、訪問看護師の方が弟とコミュニケーションを取り、心配してくれていた事がよく分かる。

訪問看護に来てくれる方は固定ではないようで、数分で帰る人、積極的にコミュニケーションを取ってくれる人、相性が良い人・悪い人など、様々だったようだ。
だが、弟はこの訪問看護師の方をとても信頼していたという事は、弟本人からも聞いていた。
弟が自死する半月ほど前に、自殺をほのめかすメッセージを送っていたのだが、その時の相手はこの方だった。

私は、この方に一度だけお会いした事がある。
お会いしたのは、弟が自殺をほのめかし、訪問看護にも応答が無く、安否確認の為に弟の部屋へ行った時だった。
この時は結果的には無事だったのだが、終始とても心配してくれていた事をよく覚えている。

弟が他界する4年半ほど前から、弟は自殺未遂や金銭問題を繰り返した。
母は弟を甘やかしてしまっていた状況が続き、担当医や病院の社会福祉士の方との話し合いの上で、
・母と弟の世帯分離をした方が良い
・弟は生活保護受給を申請する
という結論になった。
母には、弟に構い過ぎないように促された。
とはいえ、1人で暮らす弟の様子を観察する事も必要な為、訪問看護を利用する事になった。
弟が生活保護受給者であった事から、無料でこの恩恵を享受していた。

私の日常生活で訪問看護の方と接する機会は無いのだが、ネットを検索してみると、業務上の苦労がよく分かった。

実際、母と弟は訪問看護の方に対して結構厳しい意見を言っていた。
訪問看護の方に対して、過剰に色々な事を求めてしまうのだ。
特に母は、担当医からはなるべく接する機会を減らすように注意されていた為、訪問看護の方に色々と求めてしまっていた。

弟、母、私の3人にとって、弟が他界するまでの4年半くらいの期間は、正直に言ってとても苦しい時間だった。
精神疾患を患っている弟、弟に構い過ぎて自身の精神状態を悪くしてしまう母、母にも弟にも嫌気がさして距離を置く私・・・
だが、金銭面は全て私が負担しており、先の見通しも立たず、
"このままでは3人とも共倒れしてしまうのではないか・・・"
と、不安が常に有るような状態だった。

そんな状況であった為、訪問看護の方々の支援は、弟だけでなく、母や私にとっても救いになっていた。
本当に尊い仕事をされていると思う。
弟に寄り添ってくれた訪問看護の方には、心から感謝の意を述べたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?