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弟の自死 - 25. 特殊清掃 書類確認

特殊清掃業者へ依頼する際に、負債がどのくらいあるのか分からない為、書類等は全て残しておいて欲しいと依頼していた。
特殊清掃へ依頼してから11日後、特殊清掃業者から連絡があり、書類を纏めているので、いつでも確認してくださいとの連絡があった。

特殊清掃を依頼した後、弁護士に相続放棄を依頼した為、もう必要が無い作業ではあるのだが、念の為書類確認に行くことにした。

とはいえ、再度弟の部屋に入るのはかなり勇気が必要な事だ。
臭いが怖い為、予め鼻栓を買っておいた。
また、暗い部屋に入るのも怖い為、弟の部屋には昼間に行く事にした。

平日の昼間、弟の部屋へ行った。
部屋の中に有った物は、ほぼ全て搬出されていた。
何やら大きな扇風機の様な物が部屋にあり、ずっと稼働している状態だった。
弟の自死以降、"特殊清掃" というキーワードで情報収集していた為、どのような事をしているのかは理解できた。
オゾン脱臭をし続け、部屋の臭いを除去する処置を行っているのだ。

だが、この時点では、まだ臭いが強く残っていた。
遺体発見時から比較すれば少しマシにはなっているが、はっきりと死臭と分かるくらい臭いが残っている。
この臭いが本当に無くなるのか?と、不安がとても強くなった。

段ボールの中に書類が纏めてあった為、全てに目を通しつつ、必要そうな物は写真に残す事にした。

日記・代金未納の督促状・様々な契約書類など、、、
弟が過ごしていた足跡がよく分かる。

日記
鑑識が持ち出した日記以外にも、簡単な日記が記載されたノートが有った。
1日1行程度の出来事を書いているのだが、前向きな気持ちの時に書いていた事が良く分かる。
弟は、精神状態が良い時、悪い時、かなり波があったのだが、良い時はとても前向きな気持ちであった事が読み取れる内容だった。

就労支援センターでのノート
弟は、生活保護受給者となってから約2年ほど、就労支援センターに通っていた。
タイミング悪く生活保護受給者となった直後にコロナ渦となってしまい、対面の授業が無くなる事も多かったようだが、とても真面目に取り組んでいた事がよく分かるノートだった。
母は、弟の社会復帰を強く望んでいた。
一方で、担当医は "無理せず、このまま仕事せずに生活保護でも良いのではないか" という意見であった。
母は、担当医の意見に怒り、猛反発していた。
この事はいつか別の記事で記載したいと思うが、少なくとも弟は、前向きに取り組んでいたのだという事が感じ取れるノートで、何やら悲しい気持ちになった。

万引きで捕まった際に書いた書類
そういえばこんな事もあったなぁと思い出した。
弟は自殺未遂や金銭問題だけでなく、万引きで捕まった事が3回あった。
毎回、警察から母へ連絡が入り、母が謝罪と弁済をしていた。
潔癖なほどに正義感の強い母にとっては、とても苦しい出来事だ。
母はこの事件の度に "私が(弟)と一緒に死ぬ事が、この世の中に対して迷惑をかけず、最良の解決だ" などと言い出してしまうような状況だった。
弟の万引き事件は、苦しかった事を象徴する出来事だった。

代金未納の督促状
いくつかあったが、弟のスマートフォンからは見つからなかった負債も見つかった。
後払いサービスによる負債であった。
だが、この負債は弁護士に相続放棄を依頼した為、事業者様には申し訳ないのだが、不安が増すようなモノでは無かった。


その他、遺書のようなモノが無いかという期待もあったのだが、結果的には何も無かった。

2時間ほどで全ての書類に目を通し終えた。
ポジティブな内容とネガティブな内容
いずれも感じ取れる書類整理であったが、帰宅する際には暗い気持ちになってしまった。

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