弟の自死 - 13. 遺品整理
"遺品" と言っても、弟の部屋にある遺品ではない。
遺体発見時に、鑑識が弟の部屋から持ち出した物で、死体検案書の説明を受けた後に返却された。
財布
現金(約\1,500)
免許証・マイナンバーカード・カード類
スマートフォン
部屋の鍵
電気代やガス代、スマートフォン料金未納の督促状
レシート
ノート(1日1行程度の簡単な日記)
驚くことに、全ての物に酷く臭いが移っている。
人の "死臭" がこれほど大変な事になるという事を初めて知った。
鑑識の方が入念にアルコール等で拭き取ったらしいが、それでも臭いが取れなかったらしい。
一つ一つ密閉した袋に入れてくれていたが、それでも臭いが漏れてしまうような状態だった。
帰宅後すぐに、返却された遺品の整理を行った。
遺品は臭いが酷い為、部屋の中には持ち込みたくない。
マスク・ゴム手袋をして、玄関で遺品の整理を始めた。
・レシートは食料品の物で、1枚当たり\1,000程度が数枚
・精神状態が良かったであろう時に書いていた、1日1行程度の簡単な日記
・電気代やガス代、スマートフォン料金未納の督促状
紙類も臭いが酷く、中には体液が付着している物もある。
保管出来ない為、全てスマートフォンで写真撮影し、すぐにごみ袋に入れた。
必要最低限の物だけを残そうと思い、スマートフォンと部屋の鍵のみを残して、他は全てごみ袋に入れ、すぐにごみ置き場まで持って行った。
スマートフォンにも臭いが強く残っている。
部屋の鍵は、アルコールに漬け置きしてなんとか臭いが取れたが、スマートフォンの臭いは取れなかった。
電気料金やガス料金未納の督促状が有ったが、弟の負債が総額どのくらいあるのかが分からない。
もし、スマートフォンを調べる事が可能であれば、負債把握に役立つと思っていた。
遺体発見以降、悲しむ気持ちがある一方で、弟の負債がどの程度あるのか・・・とても不安でもあった。
整理を終えて、スマートフォンから情報が取れないかを試みた。
スマートフォンのロックを解除出来るのか?
という事が最大の課題であったが・・・
結果的に無事ロックを解除出来た。
4桁数字のロック解除が2回目で解除出来たのだ。
1度目は、弟の生年月日を入力したが失敗
2度目に、母の生年月日を入力したらロック解除成功
母の生年月日を暗証番号にしている事に、
「可愛いところがあるな」
などと思った。
少し怖い気持ちもあったが、負債把握の為にスマートフォンの中身を調べる事にした。
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