見出し画像

「本当に必要な作曲の手法」作曲と言葉選びは似ている編

作曲と言葉選びは同じ仕組みのパズルに感じます。
例えば一つの単語に対して、どんな言葉を組み合わせようかと考えることは作曲の時に使う回路とよく似ています。
作曲力

こんな題材を考えてみる
コーヒーソーダと〇〇
〇〇には何を入れよう?

コーヒーソーダと休息
この言葉の組み合わせは、コーヒーソーダを飲む至福の時間をイメージさせます。しかし、そこから飛び出す勢いはありません。
なので組み合わせの相乗効果は薄いです。

でもこれを
コーヒーソーダと解放
とするとどうでしょうか?
解放には束の間の休息というニュアンスを感じることができます。そしてコーヒーと解放という響きはコーヒー豆栽培の不当な労働、フェアトレード、社会問題も想起させます。
またソーダのしゅわしゅわという勢いには解放のイメージに合います。

もう少し考えてみましょう
コーヒーソーダと自律神経
これはどうですか?休憩というニュアンスも感じることができますよね。整えよう自律神経!というイメージ。そして、解放よりも、もっと自己に近づくイメージが湧きませんか?健康や科学の話。カフェインの作用など。

それでは
コーヒーソーダとクラッシュアイス
こう書くと今度はグッとコーヒーのグラスに視点が動きませんか?これまでの言葉は「コーヒーソーダと私」という視点の中で角度が変わっていたように感じますが、この組み合わせだとコーヒーソーダにグッと近づきます。
なんで"クラッシュ"アイスなんだろう?これの方が美味しいのかな?わざわざアイスピックで作るのかな?コーヒーソーダを飲む視点に加えて、作る視点も見えてきそうではないですか?

このように選ぶ言葉によってコーヒーソーダという単語から連想されるものの距離感が変わります。そしてこの距離感を演出する為には、言葉とその言葉から連想される背景知識を持っていることが重要です。

同じようなことが音楽を作る上でも大切だと思います。
夏の曲を作るなら、夏と何を組み合わせるのか?という題材に対する距離感も重要ですが、音楽家として自立するには同じような感覚を音に対して持つ必要があると私は思います。

例えば常夏の地域の音楽ってどんなのがある?どんな楽器が使われる?その楽器にはどんな効果がある?コアとなるリズムパターンは?コード進行は?そのコード進行の時に現地の人はどんなムードでダンスをする?
これらは全部知識です。この知識を言葉のパズルのように、自分の音楽と組み合わせていくプロセスを大切にするべきだという主張します。

メロディの繋がりかた、コードの繋がり方、リズムの取り方それぞれに題材に対する距離感やイメージを持って作ることが本当に作曲をする上で必要な手法です。
これがないと確率論的な作曲となるか、あるいは分解すると単一の構造となる曲しか作れないという状況に陥りやすいと思います。
また私は作曲において個性とは、ここの題材に対するセンスにしか存在しないという立場です。
音って誰もが真似することができます。しかし、その内部機構である思想や発想は誰にも侵害されません。

だから、音楽を聞いて音楽を作るのではなく世界を知り、本を読み映画を見て、山に海に遊びに出かけて自分の感性を育てましょう。
音楽は模倣できてもその体験は個人のものに他なりません。
本当に作曲に必要な手法は、題材に対する知識と教養を駆使して、その切り取り方を考えて音にする技術だと私は思います。
例えばこんな風に作曲とは?と言語化することも私にとっては作曲のトレーニングの一環になるでしょう。

さて?皆さんはどんな音楽を作りますか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?