戸辺先生の気持ちを

というか上手の気持ちを頑張ってくみ取るのが指導対局だよねとも思う

2枚落ち銀多伝定跡。このへん位から

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ちょっと変則的な出だし。二歩突っ切りか銀多伝か迷うし、調べ方によっても最序盤微妙に違うし。

上手が22銀上がってないので3筋を突き越すべきか考える。まぁ突いても4二銀と上がられうるのだけど。まぁ位は力強そうってことで突く。

でもこれ後から感じるけど角を転換しにくくなる手でもある。

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7筋を突かないで金が出てくるのは見慣れない。金の可動域が広いかな。とはいえこう見ると上手の玉形めっちゃ不安だよねぇ。

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この歩取りの金は取られてから7八金と上がれば間に合う。一手一手に「この手の意味を理解してますか?」って語り掛けられているように感じる。

「はい。知ってますよ(知ってるつもりですよ)」と返せていたらいいんだけど。

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銀を上がらず端歩。「黙ってると突き越しますよ。こちらの駒組みを見ていますか?」と言われている気がする。銀を上がらず端歩。難しい手順だ。

こちらは突き越されると終盤の玉の逃げ道が広いので端は返す。

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これは「1筋を受けましたが、9筋もとりあえず返しますか?」と聞かれている。

角をそちらに転換する予定もなく、端攻めされるリスクがあるので返さない。

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「来るなら来なさい」と言われてる気がする。こちらの陣形整備ほぼ終わってるし。

ここで定跡的には5筋の歩を交換して飛車引いた後に、4筋の突き捨てて同歩に5筋に合わせの歩。

難しい順番だよなぁ。だったら先に4筋突いた方が一手得するじゃんと思った。

違いは飛車先の歩の有無。4筋突き捨てに同銀の時、5四歩に飛車の効きが直通する差。何が違うか。7筋に歩を垂らした時に同玉で飛車が走れる。

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「さあ危ないですよ。この手が怖いと分かってますね」と言われてそうなこの歩。実に危ない歩。4四に利かせる角の逃げ道が無い。手抜くとと金を作られるか角を取られる。9八香で逃げ道確保。

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そして7五金。「分かっているなら守りに使います」と言われている気がする。7四歩を突いていないので金の逃げ道があって取り切るのも難しそう。

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うーむ。眠っていた金が囲いにくっついた。

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こんな歩があったのか。しびれる歩だなぁ。垂らしは意識してたのに指してる時は見えなかったなぁ。

とは言え4五歩も定跡の教える筋の手でしょう。

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これも出っ張った銀を裏から支える歩。5四銀で王手だし論理的には苦しい歩のはず。

ここで▲4四角を考えたけど少し違和感がある。▲5四銀を狙う手だが、守られている歩を角で狙うのは不自然だろう。

この類の手は好手もあるが、シンプルに悪手であることが多いのできちっと読まないといけない。読んだ結果△4三金とかで急かされて決めきれないと負けそうなのでやめる。決めきれないという読みだったし。

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ここで合わせの歩を考えたけど同歩とは取れないし、取らなくても一手で実害ないし。

ソフトは5五歩で最善って言ってるけど上手に手広く二手指させるような手は決断が難しいんだよねぇ。

▲5五歩△6五金▲5四歩△5二歩で凹ませた形でも金が戦線復帰して飛車先突破も難しく選びにくかった。▲4四角で良かったらしい。更にその先▲7一銀が見えるのであれば。ってきっつ。

そこまで行って決まりそうな雰囲気あれば腰を落として読めるけど、決まりそうに見えてないし、ここで時間を投資って選択は出来なかった。

何より見えている7二歩の垂らしが一番リスク低そうだったしなぁ。

どうすれば読めたんだろう。いや、読める範囲の手ではある。読もうと思えば。

ではどうすれば読もうと思えたか。

1.他の手が見えたら時間を投資するようにする。

これは終盤時間が無くても頑張れる前提。投資した時間は次局以降にも生きる。1局でなく中長期のみを見る、ある種のストイックさが必要。

2.読まない。論理で攻める。

合わせの歩を取れないのであれば下手良しでしょ。の論理でその先で良い手を探す。逆に読みが淡泊になる。

3.上の二つを合わせる。

まぁこれが答えだろう。論理的に良いはずと考えたらそこから先を腰を落として考える。時間の使い方を気にしすぎない。実際この局面であと20分残してたんだしね。5分くらい考えても良かった。

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で、垂らした歩を取ればほぼ一直線から桂跳ねを手抜かれて金の活用。

ここは駒得に飛びつかなかった。偉い。まぁソフトは「駒得で手番渡さないんだから悪いわけないやろ」て言ってますけどね。

ここもそういう意味ではさっきの局面と同じ。戸辺先生が「金はこの位置で使いたい」と言ってるのだから桂跳ねで「駄目です」と言う事も出来た。

角の扱いに困りそうだけど。

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そして読んでない手に驚いた局面。5三角成と5五飛の比較。

1.自陣は飛車の打ち込みの隙が一旦無い。

2.飛車を切れば手番は取れる。

3.銀が質駒状態だけど飛車がこのまま眠ってしまいそうなリスクがある。

4.4筋に歩を叩きこまれそうなので手番の価値が高い。

5.飛車を渡さなければ角を渡すことになる。

他の手も見えてたけどすぐ悪くなるジャミング。

感想戦で戸辺先生のおススメは5三角成。やっぱり飛車を渡すと下手陣も薄くなり上手の火力が上がるので一気に仕留めないと難易度が上がる。ソフト的に飛車切りは最善だったけど難しい局面になっていく。

8筋とかに金駒をかけて追い込んでいってじっくり仕留める方が分かりやすい攻めだった模様。この辺の局面を簡単にする力は自分の課題。

飛車切って桂馬成って4筋攻められて渡した銀で受けられる。

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ここで手抜いて▲6三銀△8二玉▲4二成桂と迫る。

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一手空くので飛車の反撃が痛い。ここで▲7一角成で必死ッ!の予定。

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まぁ時間なくてもこれくらい読みましょうかね。あと5分あったし。

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まぁここで手番であったとして何を指すかは難しい。

最善は▲6一馬!狙いはシンプルだけど見えにくい手だなぁ。△9二玉に更に▲7一馬!

将棋って難しい。これ▲7二角成を決行してたとしても依然難しかったな。

勉強になったわ

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