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ドルビーシネマで『AKIRA』を初めて観た。

 おはようございます。ぷかおの初投稿です。本日初見だった『AKIRA』にあまりに熱い感情があふれ出たので、noteを書く決心をしました。今日から私の好きなことについて不定期で投稿したいと思います。

< みんな、アニメ映画『AKIRA』を見よう。>

 『AKIRA』とは

 1982年から1990年まで週刊ヤングマガジンに連載されていた、漫画家の大友克洋によるSF作品です。最近の日本では、あまり耳にすることが少ないですが、現在ハリウッドで実写化映画が企画進行しているほど、世界中の多くの人に影響を与えたアニメーションです。

 私自身、実は『AKIRA』をつい最近まで知りませんでした。2000年生まれのため、エヴァンゲリオンの興奮すらつゆ知らなかったわけで、生前の革新的なアニメーターとの出会いに震え上がっているこの頃です。今後機会があれば、庵野秀明と今敏についても書いてみたいですね。

 『AKIRA』との初めての出逢いは、スティーヴン・スピルバーグ監督による映画『レディ・プレイヤー1』を数年前に見たときに「金田のバイク」が登場したことです。それから、今年に入って東京オリンピックの予言が話題になりましたね。2020年の東京オリンピック、そしてその中止を求める社会運動がくしくも現実同様になったのです。

 とても興味深くなり、見たいみたいと思っていた矢先、ドルビーシネマで上映されることを知りました。ドルビーシネマの映像・音響が素晴らしいことは聞いたことがあったので、それもついでに体験してみたいと思った所存でした。

 ここからは、行って観た感想になります。

 私が行ったのは梅田ブルク7のドルビーです。まず、青を基調とした照明によって劇場へのエントランスすら錚々たる雰囲気を醸し出していました。その後、上映前のドルビーの紹介映像で追加料金¥500がいかに安いかを実感したわけです。すごいよ、あれ。映画見る前にもう感動したもん。シートの質感から部屋の音響、モニターの光の質感などすべてにおいて普通の劇場とまるで違う。

 それから、『AKIRA』が始まりました。ネタバレ要素はもっと下に書くので、安心して見てください。

 感想としては、完成度が高すぎる。

 まず、シナリオなんですが、無駄なシーン、無駄なキャラクター、無駄な設定が一つもないんですね。すべてにおいて文脈的というか、緻密なんですよね。絵はもちろん奇抜で斬新なんですが、心地よく物語が進行する安心感がありました。また、キャラクターそれぞれに味があり、感情移入が容易でしたね。難点といえば髭の生えたおじさんキャラが多く、最初その見分けに苦労するくらいですね。声優さんの演技も見事です(個人的には玄田哲章の声が特にマッチしていると感じた)。物語の設定が冒頭に説明的になるアニメ作品が多い中、じわじわ観客に明らかになる感じもさ流石でした。

 次に、音響。何だあのテーマ曲は。竹の打楽器でしょうか、エキゾチックで不思議な感覚になりました。他にも随所随所でサントラが入り、その後一世風靡するエヴァンゲリオンとの共通点も見受けられました。ドルビーはすごい、爆発音の重低音さえ実際の振動となって目の当たりに衝撃を受けました。ドルビーで見てよかった。

 最後に、アニメーションです。ひとつひとつの構図、配置が完璧でしたね。本当に「となりのトトロ」と同じ年に上映されてたの?スピード感のあるアニメーションが特徴的で、暴走族が爆走している臨場感、実際に乗っているかのような錯覚も得ました。頼むからユニバにアトラクション作ってくれ、クールジャパンで。あと、キャラクターのファッションセンス、最高ですね。主人公の赤もいいですが、個人的には兵隊の装備もかなり好きでした。色がいいですね。都市の夜景にしても地下道の電線にしても、ただの金属にしてもレーザーの色もすべて思惑通りといいますか、配色が素晴らしかったです。

 この頃見たアニメ映画では断トツで1位の出来栄えですね。世界中で評価された理由を目撃できたという満足感がありました。

 私が行ったとき、ドルビーはガラガラでした。大きな劇場に15人くらいでしたね。コロナ対策を十分に行ったうえで、皆さんも見に行ってみてはいかがでしょうか。(小学生以下の方がご覧になる場合、保護者の助言・指導が必要になります。)


※この先、ネタバレになります。見たくない方は、ここでブラウザバックお願いします。














 

 

 はい、ネタバレします。

 ここで、ずっと言いたかったことがあります。


 AKIRAって主人公の名前ちゃうんかい!!!!!!!!

 

 主人公はずっと名字しか出てこなかったので、中盤までAKIRAという名前だと思ってました。恥ずかしっ。調べたら正太郎なんですね。

 思春期に葛藤する青年がテーマだと感じました。主人公は金田と鉄雄の二人ですね。金田は友人思いだが、欲に正直で、誰かより優位に立ちたいと思うガキっぽさがある。鉄雄は、自分が他に比べて何もできないと苦悩するものの、興奮すると冷静になれない気性があり、虚栄心が昂ってしまいます。二人の思春期における葛藤を、SFという大きな舞台で描いた作品だと感じました。 

 普通思春期を描くには「親」という存在が登場しますが、この作品には全く登場しないのがすごいですね。一方で、大人の象徴として、厳しい教師や暴動を取り締まる軍隊、金に汚い腐った政治家が登場しましたね。巧妙な手法だと思います。

 それから、終盤まで「アキラ」という存在を具体化しなかったのは天才ですね。ずっと抽象的な概念でしかなかったものが、鉄雄によってようやく明らかになる構成は見事でした。

 個人的に気になったのは、キャラクターの死についてです。

 昨今のアニメ作品ではキャラクターがどんどん死んじゃいますね。神漫画と重要ポストの死がセットになっているとまで言われています。『AKIRA』でもあっという間にキャラが死んでいきます。ただ、この作品ではそれぞれのキャラクターの死にちゃんと意味がある。つまり、そのキャラクターが死なないと物語が進行しないのです。逆に、死んではいけないキャラが死んでもおかしくなってしまいます。シーンごとに考えていこうと思います。

①暴走鉄雄を止めに来たスタッフ。暴走鉄雄が最初に殺した人物です。The 死亡フラグでしたね。こんなにすっきり死んでくれたキャラは、サイコロステーキ先輩以来でしたね。

②春樹屋の店主。かわいそう。鉄雄の精神状態描写の役割。

③山形。一番死んでほしくなかった。それだけに、相棒の友人が泣いているのには同情しました。愛されキャラだけだったために、死亡シーンをカットしたのは英断。

④配線工事を偽った人。警備のビークルの脅威を描写するには死んでもらうしかなかったのですね。

⑤竜さん。まさか政治家に殺されるとは、という衝撃。最後に、アキラの出現に湧く民衆を見てほくそ笑むシーンはかっこよかった。

⑥金の亡者政治家。薬で死ぬんかい。死んでよかった。

⑦かおりちゃん。途中で服をはがれて顔をボコられる、最後は肉で圧死。あのー、これを見た少年がリョナに覚醒してしまうのでこのキャラはとくに危険。何も悪いことしてないのに、最後圧死して歓喜した自分を恨んだ。鉄雄が唯一の自分のサポーターを自ら殺すことに意味があったのです。

⑧ドクター。最後に死んでよかった!作者ありがとう!

 死という何度も訪れた瞬間でしたが、それぞれがちゃんと印象に残り、なおかつ「死んだらだめでしょ」というシーンがなかったのが素晴らしい。昨今のアニメもこうあるべきではないでしょうか。

 この映画を観てしまった今、他のアニメ映画を見る目が変わりそうです。神アニメに出会えたことに感謝。

 ここまで読んで下さり、ありがとうございました。今後また、ほかのアニメ映画についても投稿しますね。


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