四間飛車初心者の壁をぶっ壊す（vs 右四間飛車編part.1）

【はじめに】

　　我ら四間飛車党のライバルの一つが右四間飛車です。居飛車なのに飛車を振り、右四間飛車左美濃急戦といったカッコいい名前の戦法もあります。簡単に倒したいところですが、なかなか攻撃力が高く、一手間違えればたちまち劣勢になります。

　　互角以上の形勢で、中盤、終盤を迎えられるような戦いを覚えましょう。

　　ここでは、右四間飛車を速攻右四間飛車、右四間飛車左美濃急戦、天守閣美濃右四間飛車、端桂右四間飛車、右四間飛車穴熊と細かく分類して、実戦で現れやすい展開を検討します。

【速攻右四間飛車】

　　先ずは、右四間飛車側が右桂を活用せずに攻めてくる速攻右四間飛車への対応をみていきます。

　　（問１までの指し手）

▲７六歩、△３四歩、▲６六歩、△６四歩、▲６八銀、△６二飛、▲６七銀、△７二銀、▲６八飛、△６三銀、▲４八玉、△４二玉、▲３八玉、△３二玉、▲２八玉、△５二金、▲１六歩、△１四歩、▲３八銀、△５四銀、▲５八金、△６五歩

問１

　　お互いに美濃囲い、舟囲いと、最低限の囲いを完成させました。その瞬間、△６五歩としかけてきた局面。▲同歩と応じてもいいでしょうか？

解答▲５六歩

　　じっと▲５六歩が正解です。▲同歩と応じてしまえば、△８八角成、▲同飛、△６五銀と進出され、あまり好ましい展開とはなりません。

問２

　　前問解答図から、△６六歩、▲同銀、△６五銀と進んだ局面です。これにはどう指しますか？

解答▲同銀

　　銀を取ります。また、問題の局面で銀をぶつけず、△６五歩としてくる場合があります。後手が右桂を活用している場合ならまだしも、この場合では疑問手です。▲５五銀、△同銀、▲同歩として問題ありません。

問３

　　前問解答図から、△８八角成、▲同飛、△７九角打と飛車取りにあててきました。これは居飛車やりすぎです。慌てずに対処してください。

解答▲７八飛

　　角にあてつつ飛車を逃げます。

問４

　　△２四角成と馬をつくってきました。馬をつくられたものの、振り飛車優勢です。ここは、手厚く指していきます。

解答▲６四歩

　　銀を守りつつ、飛車を封じ込めて優勢を拡大します。これでは居飛車が銀損。次問で、後手の別の手段をみてみましょう。

問５

　　角交換後、△３三角（△２二角）と、飛車取りにあててきました。飛車を逃げる前に、持ち歩を使って味をつけます。

解答▲６三歩打

　　これに△同金とすれば、飛車先が重くなり、大きな利かしになります。△同金とした後は、▲５五歩が筋です。△同角とすれば、▲９八飛として、後手は指す手がありません。▲５五歩を入れてなければ、△２四角～△７九角成の筋をみせられます。

問６

　　先ほどの▲６三歩打に、△同飛、▲６八飛、△９九角成と進みました。既に優勢ですが、前問の歩の意味も考えて、さらに優勢を拡大してください。

解答▲６四銀

　　前問で飛車を釣り上げたことにより、この筋が生まれました。

問７

　　△６一飛（△６二飛）と飛車を逃げました。ここで手を休めると、桂馬を取られ、差が縮まります。一気に攻めましょう。

解答▲５三銀成

　　飛車をぶつけます。

問８

　　飛車を取られては困るので、△６八飛成と飛車交換を迫ってきました。▲同金と飛車交換に応じるか、▲５二成銀と攻め合うか、どちらが正解でしょう。

解答▲５二成銀

　　攻め合う手が正解です。玉の固さが違います。

問９

　　馬を作る手も、飛車を狙う手もやり過ぎでした。右四間飛車側の最善は、単に△６五飛です。この手にはどうしますか。

解答▲７七桂

　　左桂を活用します。単に、▲６八飛と飛車交換を挑むよりも、いずれ取られる運命の桂馬をこのタイミングで活用するのがベストなのです。

問１０

　　前問解答図から、△６九飛成、▲６八飛、△９九龍、▲６一飛成、△５一金引と進行しました。龍をどこに逃げますか。

解答▲７二龍

　　王手をかけながら逃げる▲７二龍が正解です。この王手をどうやって受けるかは後手次第ですが、その後は、左桂の活用や、露骨に６三の地点に駒を打ち込んで振り飛車が指しやすい展開です。▲６六角打の攻め筋も忘れてはいけません。また、▲８一龍と桂馬を取りながら逃げる手は疑問手です。次問でみてみます。​

問１１（居飛車版）

　　▲７二龍とするところを、▲８一龍と間違えて桂馬を取りました。一見すると良さそうですが、居飛車の立場で次の一手を考えてください。

解答△６六角打

　　この筋を常に警戒しなければいけません。これは次に、△３九銀からの一気の寄せを狙っています。この角打ちが入ってしまえば、▲３九銀打など受ける展開となってしまいます。▲７二龍と王手を先手で入れなければならない理由はこの為です。

問１２

　　問１０の▲６一飛成に△５一金引ではなく、△２四香としました。後手の狙いを察知して、手厚く受けてください。

解答▲５九銀打

　　持ち駒の銀をここに投入します。もったいないようですが、この一手で相手の攻め筋は大幅に減ります。△２四香には警戒を。失敗例を次問でみてみます。

問１３（居飛車版）

　　△２四香に対し、▲８一龍と桂馬をとりました。しかし、これは大悪手です。後手の次の一手は？

解答△５四角打

　　これで振り飛車もちません。２七の地点は美濃囲いの弱点です。こうなれば、▲４一龍、△同玉、▲５九金打と粘るしかありませんが、ぼちぼち攻められて負けです。

問１４

　　四間飛車党としては、美濃囲い崩しの手筋を知る義務があります。この△５七香打も一見するとタダのようですが、怖い狙いがあります。

解答▲同金（▲４八金寄も正解）

　　▲４八金寄とすれば、次に△５九銀打と絡まれます。それに対し▲同金は、△同龍とされ、受けてばかりの展開（▲４九銀打）になります。正しい対応は、▲５七金と香車の方を外します。そこで△４七銀不成と攻め込んで来て、次問で同じ局面に合流します。

問１５

　　さらに銀で絡まれます。正しく受けてください。

解答▲６九歩打

　　底歩で受けます。▲同金とすれば、△３九角打が入り、たちまち寄り形です。

問１６

　　△５七銀不成としてきました。ここで攻め合います。

解答▲５五角打

　　これで次に後手が受けに回る展開です。後手の候補手としては、△２二角、△３三角、△４四金打でしょうか。角をあわせてくる手には、▲同角成とし、形を乱し、△４四金打には、▲２六香としましょう。先に間違えた方が負ける、難しい将棋になります。

【まとめ】

　　右桂を使わないタイプの右四間飛車を相手にする時は、お互いに龍をつくり、激しい展開の将棋になります。

　　玉の固さは一見すると美濃囲いが勝っているように見えますが、対応を間違えれば酷い将棋になりかねません。美濃囲いの急所を知ることが、このパターンの将棋での勝率を上げることにつながります。

　　逆に、相手が美濃囲いの急所を知らなければ、必ず囲いの固い振り飛車側が勝ちやすい展開になります。

　　次回は、右四間飛車左美濃急戦への対策です。

　　攻めに右桂が参加します。玉の固さも増します。序盤で不利にならない指し方を必ず覚えましょう。今回の速攻右四間飛車よりも、実戦で同じ形が現れやすいので、知っていれば作戦勝ちを期待できます。