四間飛車初心者の壁をぶっ壊す（vs右四間飛車編part.２）

　　今回から、いよいよ右四間飛車左美濃急戦を攻略していきます。

　　前回の速攻右四間飛車に関しましては、力戦の将棋になりやすいですが、お互いにしっかり玉を囲うこのタイプは、序盤で、双方の手が限られる為に、研究通りの進行になりやすいのです。

【はじめに】

　　先ずは、上の局面をみてください。見覚えがある四間飛車党の皆さんは多いと思います。

　　特徴としては、

　　・▲５六銀と腰掛け銀の形にしている。

　　・▲９八香の一手を入れている。

　　・△８五桂に対して、▲８六角とかわす。

　　これは、定跡とされています。

　　しかし、結論から言えば、級位者には扱いが難しすぎるのです。

　　多くの方は、銀が盤上に取り残され、飛車角がいじめられた経験があると思います。私もそうでした。

　　そこで、安全に戦える方法はないかと模索したところ、ノーマル四間飛車の駒組で互角に渡り合える作戦がありましたのでご紹介します。少なくとも、級位者の方にとっては、救いになると信じています。

【基本図について】

　　上の二つが基本図であり、我々四間飛車党にとっての課題局面です。

　　二つの違いは何でしょう？

　　四間飛車党の皆さんは、基本的に、美濃囲い→高美濃囲いと発展させていくと思います。ここで、級位者の方がしばし陥りやすい誤解なのですが、「囲いの発展＝固い」ではないということです。それぞれの囲いには、メリット、デメリットがあります。

　　囲いの発展には、手待ちの意味がありますので、高美濃囲いに組む順序も、相手の戦法によっては重要になります。

　　上図の２枚目では、後手が△９四歩、△３三角を入れているが為に、高美濃に進展しました。急戦の将棋は、基本的に居飛車に仕掛ける権利があります。振り飛車は、相手陣によっぽどの隙が無い限りは待つのが基本です。

　　さて、前置きが長くなりましたが、二つの囲いの違いは、５八に金がいるかどうかです。高美濃囲いにすれば、飛車に紐がついていないことを念頭に戦ってください。

【右四間飛車左美濃急戦】

問１

　　後手が、△３一玉と入城しました。ここで、一番重要な一手があります。

解答▲５六歩

　　これが一番重要な一手です。囲いの進展をみた手であり、後に銀が進出する足場となります。

問２

　　△７四歩は、次に桂馬を跳ねてこようとしている手です。囲いの進展を図りつつ、様子をみます。

解答▲４六歩

　　じっと▲４六歩と待機するのが正解です。余談ですが、後手の桂馬の活用方法の一つに、△９四歩～△９三桂～△８五桂と端から跳ねるパターンがありますので、それも後に確認します。

問３　　

　　△７三桂と跳ねてきました。これで、後手はいつでも仕掛けられます。もう一手待ちましょう。

解答▲３六歩

　　▲４七金は少し気持ち悪いです。▲３六歩の方が、玉の周りが広く、また、右桂を攻めに参加させる余地があります。夢の詰まった一手なのです。

問４

　　△８五桂と仕掛けてきました。角はどこに逃げますか。

解答▲８八角

　　▲８六角と逃げるのはいけません。常に角は向き合った状態がベストです。また、この作戦には、「桂馬の高跳び歩の餌食」にする狙いも含めています。

問５

　　△６五歩ときました。▲同歩としていいでしょうか。

解答▲８六歩

　　▲同歩はいけません。これが冷静な一手です。いつでも桂馬を取れる準備をします。▲同歩と応じれば、△８八角成、▲同飛、△７九角打、▲７八飛、△４六角成と進行し、とてもじゃないですが勝てません。

問６

　　△６五歩と取り込んできました。▲同角、▲同銀、どちらが正解ですか。

解答▲同銀

　　▲同銀が正解です。問１で解説した通り、５六の歩は銀の足場でもあります。セットで覚えてください。

補足

　　間違えて▲同角と応じると、上図のような展開になり、指しにくいです。

問７

　　前問から、後手には、△６五銀とぶつける手、△６五歩打の２パターンがあります。先ずは、△６五銀とぶつけてくる手から検討します。これには、どう応じますか。

解答▲同銀

　　▲同銀が正解です。銀には銀です。

問８

　　前問解答図から、△８八角成、▲同飛、△７九角打と進みました。飛車はどこに逃げますか。

解答▲７八飛

　　場合によっては、▲９八飛もありますが、こちらの陣形が美濃囲いの時は、角にあてながら逃げます。

問９

　　△４六角成と、王手で馬を作りました。どうやってこの王手を受けますか。

解答▲３七銀打

　　持ち駒の銀でしっかり受けます。△３七銀や、△３七桂ではいけません。▲３七銀打に対し、△７三馬に対しては、▲６四歩。△４五馬に対しては、▲６八飛で優勢です。

問１０

　　後手の最善は、△６五飛です。これには、どう指しますか。

解答▲６六歩打

　　▲６八飛と飛車をぶつける手はいけません。△６七歩打、▲同飛、△同飛成、▲同金、△６九飛打と、陣形を乱された上で、相手に手番が渡ります。

問１１

　　△同飛と取ってきました。次の一手は簡単でしょう。しかし、後手は分かっていてもこの歩を取るしかないのです。引けば▲８五歩と桂馬を取られますし、面白い展開になりません。

解答▲５五角

　　当然の一手です。

問１２

　　△３三角と受けてきました。これには、どう応じますか。

解答▲６六角

　　飛車を取ります。

問１３

　　△同角ときました。飛車をどうしますか。簡単です。

解答▲６八飛

　　この一手です。

補足

　　以下、△９九角成、▲６一飛成となった局面が上図です。後手に早い攻めは無く、振り飛車十分の展開です。

問１４

　　問１２の△３三角打に代えて、△６九飛成と龍を作りました。これが後手の最善です。ここでの次の一手はなんですか。

解答▲２二銀打

　　▲１一角成は疑問手です。次に、△２二銀打と馬を封じられ、面白くありません。こうなれば、左美濃が固く、攻略は難しくなります。王手をかけ、後手陣を一気に乱します。

問１５

　　後手は当然、△４二玉の一手です。ここで、さらに暴れます。

解答▲２一銀不成

　　桂馬を不成で取る手が正解です。これがまた銀に当たっています。▲１一銀成を考えた方もいるかもしれませんが、疑問手です。玉から離れたところに成銀を作っても、それは後手陣の脅威にはなりません。攻めている時は、どんどん喰らいつきます。

問１６

　　△同銀としました。まだ攻めは終わりません。

解答▲３三桂打

　　これで攻めは続きます。

問１７

　　「両取り逃げるべからず」と、△４四銀打と角にあててきました。３手進めてください。

解答▲４一桂成、△同玉、▲４四角

　　角は逃げません。銀と交換しましょう。

　　解答図以下は、△同歩、▲６八飛、△同龍、▲同金として上図の局面となります。例えば、後手の次の手としては、△２四桂がありますが、▲２五銀としっかり受ければ大丈夫です。後手陣には、飛車の打ち込みの隙が多く、また、桂馬を拾って▲３三桂打も狙えます。振り飛車十分の展開です。

【まとめ】

　　今回は、問７が大きな分岐点です。銀をぶつける手は、後手が面白くありませんでした。次回は、△６五歩打の変化をみてみます。

・右四間飛車に対しては、▲５六歩の一手が重要。

・△８五桂に対しては、▲８八角。

・△６五歩を取らず、△６六歩に対して▲同銀。

　　それでは、また次回もよろしくお願いします。